カスタム設計の平面ドライバーが特徴
BluetoothオーディオのコーデックはAAC/SBCに対応しますが、ソニー独自の高音質コーデックであるLDACや、aptX系のコーデックはサポートしていません。そしてソニーの1000Xシリーズなどの左右独立型ワイヤレスイヤホンには続々と増えているアクティブノイズキャンセリング、外音取り込みの機能がPULSE Exploreにはありません。モバイルアプリも不要。良く言えば「とてもシンプルな仕様」のワイヤレスイヤホンです。
代わりにPULSE Exploreはカスタム設計によるプレーナーマグネティック(平面磁界駆動型)ドライバーを搭載した点が特徴といえます。一般的な平面ドライバーの特徴については本連載でも前の回で触れていますが、PULSE Exploreのサウンドも平面ドライバーの良さを活かしています。繊細なニュアンスの表現力に富み、きめ細かくバランスの良いサウンドが楽しめます。
イヤホンのサウンドはドライバーの種類だけで決まるものではなく、音を決定付ける様々な要素を掛け合わせたチューニングの妙に依存します。チューニングの方向性とコンセプトに、それを製品に反映するための技術的なノウハウが合わさることで面白いイヤホンが生まれます。
サウンドの特徴は豊かな中高音域の表現力
PULSE Exploreには、SIEによるユニークなイヤホンを作ろうとする意気込みがしっかりと感じられました。おそらくはゲーミングサウンドが心地よく楽しめることを一番に重視した音づくりであることから、人の声を明瞭に聞くことができます。ゲームのダイアログ、音楽再生はボーカルが力強く立体的に浮かび上がります。
大きな編成のオーケストラによるクラシックの楽曲を聴くと、スケールの大きな音場感が得られました。中低音域の情報量がとても豊かなイヤホンなので、管弦楽器の音色もリアルに描きます。
一方で重低音の押し出しはやや控えめです。アクティブノイズキャンセリング機能がないため、屋外の賑やかな場所で音を聴くと低音のニュアンスが少し欠けて音像がつかみにくく感じられました。
サウンドの個性、製品としてのコンセプトが明快なイヤホンなので、購入を検討する前に実機を試聴しながらそのキャラクターに触れることをおすすめします。
次回はPULSE ExploreをPS5のほか、iPhoneやAndroidスマホに組み合わせて使う方法などを紹介します。
主なスペック | |
---|---|
製品ジャンル | ワイヤレスイヤホン |
ブランド | ソニー |
製品名 | PULSE Explore |
直販価格 | 2万9981円 |
ドライバー | プレーナーマグネティックドライバー |
ワイヤレス | デジタル無線2.4GHz帯、Bluetooth AAC/SBC |
連続再生時間 | 最大5時間(イヤホン単体)、最大15時間(充電ケース含む) |
質量 | 非公表 |
筆者紹介――山本 敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。
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