クラシックに特化した音楽配信
「Apple Music Classical」の日本上陸に期待
アップルによるクラシックに特化した音楽配信「Apple Music Classical」は、2023年3月28日に提供を開始して以来、まだ日本ではサービスが立ち上がっていません。筆者が本稿を執筆している2023年12月20日時点では日本のほか、中国・韓国・台湾、ロシアとトルコの音楽ファンもまだこのサービスを体験できていないようです。
Apple Musicのユーザーであれば、追加料金を払うことなく「Classical」のアプリによるサービスが楽しめます。なおサービスの発表当時にはなかったiPadOSとAndroidのアプリが、現在はアップルがサービスを提供する地域で提供を開始しました。
Apple Music Classicalはクラシック音楽の複雑なデータ構造に最適化したアプリです。複雑な「曲名」「アーティスト」「作品番号」による検索の結果を正しく抽出できるように、アップルは1500万以上のデータポイントから楽曲情報をマッチングさせる独自のアルゴリズムを設計しています。アジア圏では「言語の壁」が横たわっていたことから、日本でのサービスインが遅れているのだろうと推察ができます。
Apple Musicでしか聴くことができないクラシックの新譜や、未発表音源の独占配信も行われるサービスなので、2024年は1日も早い日本上陸を期待したいです。
シリコンで音を鳴らすオーディオ向け「MEMSドライバー」
米xMEMS Labsが開発した「MEMSドライバー」という、イヤホンにヘッドホン、スマートグラスや補聴器に搭載される音響トランスデューサーが話題を呼んでいます。
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を使った集音用マイクを搭載するワイヤレスイヤホン・ヘッドホンは既に多く商品化されていますが、xMEMSは発音用スピーカーとなる新しいモジュールを開発しました。
MEMSドライバーは半導体チップの構成部品であるシリコンウエハーを切り出してオーディオの振動板として、これに電圧をかけることによって生じる空気振動を音に変換します。高音域の再現特性が良いことや、従来のダイナミック型やバランスド・アーマチュア型のオーディオ用ドライバーに比べてシンプルに製造ができることなどが特長に挙げられます。
米Noble Audioの新しい左右独立型ワイヤレスイヤホン「FALCON MAX」は、MEMSドライバーのオーディオ的な特性にいち早く着目して、高音域用としてMEMSドライバーを採用しました。10mm口径のダイナミック型ドライバーと組み合わせるハイブリッド・ドライバー方式のイヤホンとしたことで、リアリティに富んだサウンドを楽しませてくれます。MEMSドライバーの高音域はやや線が細い印象を筆者は受けましたが、純度が高く混じり気のない透明感は他の方式のドライバーには出せない魅力だと思います。
MEMSドライバーは従来のオーディオデバイス向けのドライバーに比べて薄く軽いだけでなく、耐久性能や製造面でもメリットが活かせるとxMEMS Labsは説いています。ポータブルオーディオに限らず、スマートグラスにXRヘッドセットの音をリッチにするコンポーネントとしても相応の役割を果たすでしょう。極小サイズのコンポーネントであることから「オーディオが楽しめるイヤリング」のような新しい種類のウェアラブルデバイスを誕生に導くきっかけにもなるかもしれません。
製品ジャンル | ワイヤレスイヤホン |
---|---|
ブランド | Noble Audio |
製品名 | FALCON MAX |
価格 | 予想実売3万9600円前後(12月29日発売予定) |
ドライバー | xMEMS×1、10mm口径 ダイナミック×1 |
Bluetooth | aptX Adaptive/LDAC/aptX/AAC/SBC/LC3 |
連続再生時間 | 約4.5時間(イヤホン単体/NC ON) |
質量 | 約5.5kg(イヤホン)、約39.5g(充電ケース) |

筆者紹介――山本 敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。

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