慶應義塾大学、筑波大学の共同研究チームは、40量子ビット(キュービット)以上の状態ベクトル型の量子コンピューター・シミュレーションを実行できるボードを開発した。比較的安価で、設置もしやすいため、研究室などにおいても最大43量子ビットのシミュレーションが可能になるという。
慶應義塾大学、筑波大学の共同研究チームは、40量子ビット(キュービット)以上の状態ベクトル型の量子コンピューター・シミュレーションを実行できるボードを開発した。比較的安価で、設置もしやすいため、研究室などにおいても最大43量子ビットのシミュレーションが可能になるという。 研究チームが開発したボードは、書き換え可能なLSIであるFPGA(Field Programmable Gate Array)にSSD方式の8テラバイトSATA規格のディスクを32枚直結。ハードウェアで直接量子ビット操作に相当する演算を実施することで、最大43量子ビットのシミュレーションを単独で実行できる。卓上に簡単に設置でき、ボードとSATAディスク代を含めて400万円程度だという。 同チームは、大阪大学などが開発したオープンソースの量子コンピューター・シミュレーション・ソフト「Qulacs(キューラクス)」を元に、主要なゲート操作に相当する演算を実行するハードウェアを開発した。40量子ビットのシミュレーションが3時間程度で実行できる。FPGAにSATAディスクを直結したボードは前例がなく、エッジコンピューティングにおけるビッグデータの処理など、量子コンピューターのシミュレーション用途以外でも利用できるとしている。 開発したボードは2023年12月11~14日にパシフィコ横浜で開催された国際会議FPT'23に展示されたほか、12月18~21日にシンガポールで開催される国際会議MCSoC-2023で、デモンストレーションと論文発表が予定されている。(中條)