生成AIをさらに掘り下げたAWS re:Invent 2023の基調講演
マルチモーダル、ベクトル検索、リスキリング AWSが生成AI開発支援をより強化
2023年12月18日 10時30分更新
2027年までに75%の企業がAIを活用する
シバスブラマニアン氏は国連で生成AIのインパクトについて講演した経験を披露し、Amazon Bedrockを用いて癌の予兆アプリを開発したHurone AIの事例を披露した。
ここでの課題は、癌患者と医師の割合の地域差。北米では300人の癌患者に対して1人の医師という割合だが、アフリカのサハラ以南の地域では3200人の患者に対して1人の医師という格差が生じているという。「ルワンダは1320万人の人口に対して、癌の医師は15人しかいない」とシバスブラマニアン氏は指摘する。
これに対してHurone AIは癌の検知と診断予測まで提供し、ルワンダやニジェールなどの国での利用を可能にした。また、バイオファーマーもギャップを埋めるデータを提供しているという。「この事例は大好きです。これは生成AIにより、私たちの人間の問題解決をどのように補強できるかを示してくれるからだ。生成AIは確かに生産性を上げてくれる」(シバスブラマニアン氏)
サービスとして最後に発表されたのは、ユースケースに最適なモデルを評価、比較、選択するプロセスをサポートする「Model Evaluation on Amazon Bedrock」だ。データセットを用いた自動化を推進するサービスに対して、こちらは人間によるモデル評価を推進するためのサービス。質問への回答や要約などのタスクを指定し、比較するモデルを指定すると、あらかじめ組み込まれたデータセットでテストが行なえる。
ユーザーがカスタムデータセットを持ち込むことも可能で、親しみやすさ、スタイル、ブランディングなど人間による判断が必要なケースで、それらをワークフローに組み込むことも可能になる。評価プロセスがセットアップされると、Amazon Bedrockが評価を実行し、レポートを生成してくれるため、最適なモデルの選択に役立つ。
シバスブラマニアン氏は、2027年までに75%の企業がAIのテクノロジーを利用するという世界経済フォーラムのデータを披露。生成AIや機械学習を扱える人材に増やすためにはリスキリングが重要になると訴えた。「創造性、倫理観、適用力などのソフトスキルが必要になる。生成AIの利用にはますます重要になる」とシバスブラマニアン氏は指摘。これに対して、AWSではスカラーシップを立ち上げており、5万人以上の学生を支援する。
最後、シバスブラマニアン氏はAWSアカウントなしに簡単に楽しく生成AIアプリを作れる「PartyRock」のデモを披露。「データと生成AI、そして人間が共創することで、能力を加速し、新しいイノベーション、新しい体験を作ることができる。これはまだ始まったばかり。みなさんの生成AIへのジャーニーを支援するすべてを提供する」と講演をまとめた。