ネットのアクセス情報から推定される
Windows 10のシェアは70%前後 2025年終了で大丈夫!?
Windows 11の出荷が開始されて2年が経過。3番目のバージョンである23H2の配布も始まった。しかし、インターネットのアクセス情報から算定するWindowsのシェアを見ると、Windows 11はいまだ30%に達しておらず、Windows 10が70%前後を占めていることがわかる。これは実際に使われているPCの比率とそれほど離れていないと思われる。
●Desktop Windows Version Market Share Worldwide | Statcounter Global Stats
https://gs.statcounter.com/windows-version-market-share/desktop/worldwide/#monthly-201507-202310
このままでは、Windows 10のメインストリームサポートが終了する2025年に、Windows 11が現在のWindows 10と同程度のシェアになるか危ぶまれるところ。そこで来年2024年から再来年2025年にかけて何が起こるのかを考えた。
そもそもなぜWindows 10のシェアは高いのか?
Windowsの世代の切り替わりには、以下のシナリオがある。
・新規マシンの導入で新しいWindowsに移行
・アップグレードで新しいWindowsに移行
・マシンそのまま使い続け、新しいWindowsには移行しない
Windows 10では、Windows 7/8.1からの無償アップグレードを可能にしたため、多くのPCがアップグレードした。これにより、市場の多くを占めていたWindows 7マシンの多くがWindows 10へと移行したと考えられる。
Windows 8.1は今年1月で延長サポートが終了しており、ほとんどのユーザーは、Windows 10にアップグレードしたか、新規マシンを導入したと考えられる。またWindows 8は、8.1への無償アップグレードが可能であったため、意図的に維持しているユーザーのみが残り、多くは8.1経由で10に移行したか、ハードウェアを切り替えただろう。
Windows XPの延長サポートが2014年で切れたタイミングで、新しいマシンの購入などで結果的にWindows 10に移行したユーザーも少なくなかった。
Windows 10は流入元が多かったこと、Windows 11が出るまで6年間最新バージョンであったために、長期間プレインストールマシンの販売が続いた。その結果、8割を超えるシェアに達したと考えられる。
それにしてもWindows 11への切り替えが遅いのでは?
前述のシェア比率を見ると、現状はWindows 11が3割弱、10が7割弱、残りがそれ以外といったところ。Windows 10は、出荷の2年後のタイミングで30%を越え、40%に迫る勢いだった。しかし、Windows 11はそうなっていない。
つまり、Windows 11の普及スピードは、Windows 10に比べて遅い。その原因の1つは、Windows 11のシステム要件が厳しく、自動でアップグレードできないPCが市場にはまだ多数残っているからだ。
Windows 11は、CPUではインテル第8世代以降、AMD第2世代Ryzen(Zen+世代)が必要とされており、これらは2018年に出荷が始まっている。それ以前の「古いハードウェア」はWindows Updateによる「自動アップグレード」ができない。
2015年に出荷が始まったWindows 10のシェアには、Windows 7/8.1からのアップグレードが多数含まれており、これらのマシンは当然Windows 11のシステム要件を満たさない。加えて、Windows 10プレインストールマシンであっても、2018年以前のものは同様にWindows 11へ自動アップグレードができない。
Windows 11は、Windows 10が動作していて、システム要件を満たしていれば、Windows Update経由で無償アップグレードができる。アップグレードはこれまでのWindowsに比べると簡易化されており、マニアックなユーザーでなくても可能なはずだ。
それにも関わらず、普及のスピードが遅いのは、手動アップグレードしなければならないマシンが大量にあり、PCの新規販売に普及の多くを頼っている状態だからだと考えられる。
ただし、システム要件を厳しくした時点で、この状況はある程度予想できたことであるはず。つまり、Microsoftは想定済みの状況であると考えられる。
今の状況を想定済みとして、Microsoftはどういう対策を打つか
今から2年後の2025年10月には、Windows 10のメインストリームサポートが終了する。一般消費者向けエディションはアップデートが停止、企業向けエディションでもセキュリティアップデートのみが配布される延長サポートが開始される。いわゆる「ディスコン」みなるわけだ。
この時点で問題になりそうなのは、多数のWindows 10マシンがまだ動作していることだ。Windows XPのときのように一般消費者向けのエディションも「延長サポート」の対象になる可能性はある。
Windows 11では、システム要件を厳しくしたが、自身で手動アップデートが可能であることなどを発表するなど(後述)、何のためのシステム要件だがわからない状態だ。しかし、市中在庫を考えると、これには意味が出てくる。
実際のところ、今でもWindows 11のシステム要件を満たさないPCが大量に売られている。しかし、2025年にメインストリームサポートが切れれば、Windows 10プレインストールマシンの販売を継続することは難しい。こうした事態は、Windowsのバージョンアップにはつきものなので、大手メーカーは困ることはないだろうが、問題は中小企業も少なくない流通系企業が持つ「流通在庫」などである。
通販サイトなどを見ると、Windows 11のシステム要件を満たさないCPUなのに、Windows 11を搭載したマシンを見かける。おそらく販売業者などが手動でアップグレードをしたのであろう。現状Windows 11では、システム要件を満たさないハードウェアでも手動でインストールが可能でライセンス認証もできる。こうした業者は、少なくとも一般ユーザーよりは技術力があり、売らなければ損するだけなので手動によるアップグレードを避けることはないはずだ。
つまり、システム要件を満たさないマシンへの手動インストールが可能で、ライセンス認証を拒否しないのは、Microsoftとしてはユーザーで勝手にやってくれということだ。
逆に、Windows 11には、そういう逃げ道を用意しておいて、来年に噂されるWindows 12(仮称)では、システム要件の適用を厳しくし、要件を満たさないPCでは、アップグレードやライセンス認証を拒否する可能性がある。というのも、Windows 11でシステム要件を明確化したのは、サポート対象のハードウェアを限定して開発を容易にするのが1つの理由と思われる。しかし、手動インストールでは、システム要件を満たさないマシンでのインストールが可能では、ハードウェアを限定したことにならない。
Microsoftのサイトにある「最小システム要件を満たしていないデバイスに Windows 11をインストールする」にある「更新プログラムを受け取る資格がなくなります」(冒頭画面)というのは、Windows 12にはアップグレードできないという意味だとしたら、最初から計画済みだったということだ。
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