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クラウドネイティブなIT×OTプラットフォームを迅速に構築

「Red Hat Device Edge」 一般提供開始― エッジ環境のモダナイゼーション事例が拡大中

2023年11月17日 07時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 レッドハットは、2023年11月15日、国内のエッジビジネスに関する記者説明会を開催した。

 同社のエッジ戦略を推進するのがエッジデバイス向けに展開する「Red Hat Device Edge」だ。2022年の発表から、2023年5月のTechnology Previewを経て、11月6日(米国時間)に一般提供開始が発表された。

 Red Hat Device Edgeは、エッジに最適化されたLinux OSである「RHEL for Edge」と軽量版OpenShift(Kubernetesコンテナ基盤)である「MicroShift」、エッジデバイスの運用を自動化する「Ansible」を統合した、エッジデバイス上でのコンテナ運用を実現する製品となる。

GAを迎えたRed Hat Device Edge

 現時点でのRed Hat Device Edgeに対するユーザーからの期待は、主に「アプリケーション運用の一貫性」と「エッジアプリケーションの機動的な開発/運用」のユースケースに集まっていると、レッドハットのクラウドスペシャリストソリューションアーキテクト部 小野佑大氏は説明する。

レッドハット クラウドスペシャリストソリューションアーキテクト部 小野佑大氏

 アプリケーション運用の一貫性に関しては、IoTのシステムをクラウドで構築するユーザーが、データ送信時の通信やストレージのコスト、あるいはデータセキュリティの課題を抱える中で、エッジとクラウドを一体にしたハイブリッドプラットフォームを構築して、コストやセキュリティ運用を最適化したいというユースケース。

 エッジアプリケーションの機動的な開発/運用に関しては、エッジ側のシステム自体を、ソフトウェアの力でスマート化(マイクロサービス採用やAI活用など)しようとアプローチする中で、Red Hat Device Edgeでクラウド側の開発環境と連携したいといったユースケースになる。主に、POSシステムや製造業のSCADA、HMIといった固有システムにおける、ニーズや変化への対応で求められている。

JR東海の経営力強化を担うプラットフォームのコスト最適化

 説明会では、Red Hat Device Edgeによりコストの最適化を進める事例として、JR東海情報システムの取り組みが紹介された。同社は、JR東海およびグループ各社の情報システムを担い、鉄道事業を支える約200のシステムの構築・運用を担当している。

 「コロナ禍を機に新幹線を利用いただくお客様が減少し、経営的にもダメージを受けた。最新のデジタル技術により経営体力を再強化するのがJR東海全体での大きな課題」とジェイアール東海情報システム 取締役 DX企画部長 石川勝隆氏は説明する。

 鉄道事業部門では、画像認識や機械学習を活用した、鉄道輸送の安全・安定性の向上やオペレーションの効率化に挑戦している。具体的には、設備検査における人手や目視から状態監視や画像認識への転換や、予兆故障検知による設備保全などに取り組む。

ジェイアール東海情報システム 取締役 DX企画部長 石川勝隆氏

 これらの実現のために、IoT/機会学習プラットフォームを構築、現在PoCを進めている。各ユースケースの共通機能をプラットフォーム化することでコストを削減し、現場をよく知る保守担当者が、機械学習モデルの開発に専念できるよう、モデルのデプロイは自動化されるよう設計した。

 画像認識を利用した設備診断を例にとると、現場の保守担当者が作成した機械学習モデルが、モデルの開発環境、ビルド環境を経て異常判定処理するアプリまで自動でデプロイされる。そして、カメラやドローンなどが映像データを撮ると、エッジデバイスのRTMPサーバーがファイル化した上でクラウドに送信。クラウド側で前処理した上で、機械学習モデルに渡されるといった流れとなる。

画像データを扱う際のIoT/機会学習プラットフォームのアーキテクチャの概要

 この構成で課題となっていたのは、動画データをクラウドに送る際のネットワーク帯域の消費だ。そこで、Red Hat Device Edgeを採用して、動画データをクラウドに送らずに、エッジ側で機械学習を実行する構成を検証している。

 機械学習モデルはモデルビルド環境のコンテナレジストリからRed Hat Device Edgeを介してエッジデバイスに実装され、異常判定処理をクラウドではなくエッジ側で実行、結果のメタデータだけをクラウドに送る。もちろん、エッジデバイスへのモデルのデプロイも自動化する。

 JR東海情報システムの石川氏は、「PoC段階ではエッジデバイスの数は少ないが、今後スケールしていく際には、Red Hat Device Edgeがオペレーション全体の自動化や効率化を促進することを期待している」という。

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