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「Nutanix Cloud Clusters on Microsoft Azure」日本リージョンでの提供開始も発表

Nutanixの2024年度事業戦略、ハイブリッド/マルチクラウド基盤採用をさらに推進

2023年11月13日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 ニュータニックス・ジャパン(Nutanix)は2023年11月9日、今後の事業方針に関する記者説明会を開催した。日本法人社長の金古 毅氏、本社 エンジニアリング部門SVPのインドゥ・ケリ氏が出席し、2024年度の国内事業戦略のほか、生成AI、マルチクラウドなど新たな動向に対応するNutanixの製品戦略について説明した。

 また同日には、NutanixプラットフォームがMicrosoft Azureのベアメタルノード上で稼働する「Nutanix Cloud Clusters on Microsoft Azure(NC2 on Azure)」の日本リージョン提供開始も発表されている。

※お詫びと訂正:掲載当初、NC2 on Azureについて「マネージドサービス」と表現していましたが、Nutanixよりマネージドサービスではないとの指摘を受けました。お詫びのうえ訂正させていただきます(本文は修正済みです)。(2023年11月22日 編集部)

ハイブリッド/マルチクラウドの統合プラットフォーム「Nutanix Cloud Platform」を中心とした最新戦略を紹介

ニュータニックス・ジャパン コーポレートVP 兼 代表執行役員社長の金古 毅氏(右)、Nutanix エンジニアリング部門SVP 兼 同部門ハイブリッド・マルチクラウド担当GMのインドゥ・ケリ(Induprakas Keri)氏(左)。中央は、ゲスト登壇した日本マイクロソフト 執行役員 常務パートナー事業本部長の浅野 智氏

「NC2 on Azure」発表、Azureのネイティブサービスとも連携可能

 金古氏は今年度、2024年度の国内事業戦略について説明した。

 昨年度(2023年度)、Nutanixは日本市場において4つの注力テーマを掲げ、それらを下支えするハイブリッド/マルチクラウドプラットフォームとして「Nutanix Cloud Platform」を位置付けた。金古氏は「2024年度もこの4つの軸は変えずに、さらに進化させていきたい」と方針を説明する。

昨年度の重点領域4つをそのまま引き継ぎ、さらに進化させていくのが2024年度の国内事業方針

 重点領域の1つめ、新たなワークロードの推進に関連して、新たにNC2 on Azureの日本リージョン提供開始を発表した。オンプレミスのプライベートクラウドと同じNutanix Cloud PlatformがAzureベアメタルノード上で稼働し、それらをクラウドコンソールの「Nutanix Central」から統合管理できる。「アプリケーションのクラウド移行をリファクタリングなしで実現し、強力にサポートする」(金古氏)。日本を含め、現在10のリージョンで展開しているという。

 さらに金古氏は、NC2 on AzureはAzureネットワークとネイティブに統合されているため、NC2上のワークロードとAzureの各種ネイティブサービスとがシームレスに連携できること、EOL(サポート終了)を迎えたWindows Server 2012/2016の拡張セキュリティ更新プログラムが適用されていること、Windows ServerのBYOL(オンプレミスライセンスのクラウド持ち込み)に対応していること、などの特徴を紹介した。「特にAzureのネイティブサービスとの連携、これはかなり新しい(使われ方の)シナリオになってくると思う」(金古氏)。

 NutanixではNC2 on Azureの採用拡大を目指し、国内主要都市でのソリューションセミナーを開催していくほか、無料トライアルが可能な「テストドライブ」、さらにAzure日本リージョンを使用する30日間の無料トライアルプログラムを提供開始している。

「Nutanix Cloud Clusters on Microsoft Azure(NC2 on Azure)」の概要。パブリッククラウドのベアメタルノードでNC2環境を提供するサービスは、AWSに続いて2つめとなる

 ゲスト出席した日本マイクロソフト 浅野氏は、NC2 on Azureのメリットとして、「シームレスで柔軟、スケーラブルなハイブリッドクラウド環境の実現」や「TCOの削減」といったことに加えて「生成AI/データの利活用」を取り上げた。

 浅野氏が挙げたある調査データによると、日本企業における生成AIの利用率(利用中/検討中)は12%で、米国の69%と比べて大幅に低い。その背景にある、AI活用やDX推進の阻害要因としては、「サイロ化されたインフラ」「セキュリティへの不安」「導入コスト」「リテラシー/人材不足」といったことが考えられる。そして、こうした課題を解消できるのがNC2 on Azureだと説明した。

 「ITはコストではなく利益を上げるためのツール。その実現のために、オンプレミス/クラウド/エッジを問わずデータとインフラをしっかりまとめることで、新たなビジネス機会を創出していく。そんな世界をマイクロソフトとNutanixの両社で作っていきたいと考えている」(浅野氏)

日本マイクロソフト浅野氏は、AI活用やDX推進における課題をNC2 on Azureが解消することで、ITによる「利益率向上」に資すると説明した

シスコとのグローバル提携によるHCIソリューションも展開強化

 Nutanixの重点領域の2つめは、ハイブリッド/マルチクラウド化を支援するサービスの推進だ。昨年度は、「テクニカルアカウントマネージメント(TAM)サービス」や「Nutanixコンサルティングサービス」などサービスメニューを拡充した。

 今年度は、上述したNC2 on Azureの早期導入支援パッケージとなるコンサルティングサービス、ハイブリッドクラウド間をつなぐネットワーク仮想化のコンサルティングサービスを新たに開始するほか、昨年発表した常駐型のハイブリッド/マルチクラウド運用支援サービス(レジデンシャルサービス)を発展させ、新たにリモート型での支援も行うことを発表した。

コンサルティング、顧客支援のサービスを強化

 重点領域の3つめ、パートナーエコシステムの拡充については、9月に発表したシスコとのグローバル戦略提携に伴い、10月からシスコが「Cisco Compute Hyperconverged with Nutanix」を提供していることを紹介した。これは、シスコのコンピュート/ネットワーキングインフラ製品である「Cisco Unified Computing System(UCS) with Cisco Intersight」とNutanix Cloud Platformを組み合わせ、検証済みソリューションとして提供するもの。

 金古氏は、その販売拡大に向けて、日本国内でもシスコとNutanixの横断的な販売支援体制を確立/強化していくほか、販売パートナーも加わるかたちでコンサルティング/導入サービスを12月から提供していくことを明らかにした。さらに、「Cisco Hyperflex」をはじめとした他社製HCI環境をNutanixに移行するサービスも、パートナーと連携して提供する。

 シスコシステムズからは日本法人 代表執行役員社長の中川いち朗氏がビデオメッセージを寄せ、Nutanixとのグローバル提携は「業界で最も完成されたHCIをワンストップでお客様に提供するもの」と説明。顧客企業の俊敏な経営の実現を支援する戦略的ビジネスパートナーになるべく、Nutanixとより一層の強力な協業を推進していくとあいさつした。

 また説明会に出席したシスコ クラウドアーキテクチャ事業部 事業部長の鈴木康太氏は、今回の両社提携では単に既存の製品を組み合わせるだけにとどまらず、グローバルの戦略策定から製品開発、連携検証、導入サポートまでを共同で行っていくと強調。さらに国内のパートナー、リセラー、ディストリビューターとも連携して顧客をサポートすることが、成功の大きな鍵になると述べた。

シスコとNutanixのグローバル提携を通じて提供を開始した「Cisco Compute Hyperconverged with Nutanix」の概要

 最後の重点領域としては、CX(顧客体験)の向上と、顧客におけるSX(サステナビリティトランスフォーメーション)実現を掲げている。ここでは営業/サービス部門の体制強化を図ったこと、二酸化炭素排出量や消費電力の削減効果をレポートするツールを提供していることなどを説明した。

AIスタックを提供する生成AIソリューションも提供

 Nutanix エンジニアリング部門のSVPでハイブリッド・マルチクラウド担当GMも務めるケリ氏は、現在のITにおける課題と、それをNutanixがどのように解決しようと考えているのかについて語った。

 ケリ氏は、現在はパブリッククラウドとエッジ、モダンアプリ、そしてAI/機械学習技術の登場と急速な進化がITの世界に大きな変化をもたらしており、これから大量のアプリケーションが開発されることになると指摘する。「これから5年間のアプリケーション開発量は、(コンピューターが登場してからの)この40年間のそれを上回るものになるだろう」(ケリ氏)。こうしたニーズに応えて、Nutanixでは迅速なアプリケーション開発を支え、信頼性の高いプラットフォームを提供していくと語る。

 ケリ氏はそのための戦略としてまず、Nutanix Cloud Platformの適用先をさらに拡張し、ビジネスクリティカルアプリケーションなど幅広いワークロードへの適用を進めると説明した。

 なかでも急成長している生成AIワークロードへの適用は重要な戦略だ。Nutanixでは、大量のコンピューティングリソースとデータを必要とする大規模な生成AIモデルのトレーニングはパブリッククラウドで実行し、その基盤モデルのファインチューニングや推論処理はオンプレミス(自社データセンター)やエッジの環境で実行するという形態を考えている。

 こうした生成AIのユースケースを支援するために、Nutanixでは9月に「Nutanix GPT-in-a-Box」というソリューションを発表した。これはNutanix Cloud Platformとデータサービス(Nutanix Unified Storage/Objects)、主要なオープンソースAI/MLOpsフレームワークといったAIスタックを、統合済みで提供するプラットフォームソリューションである。

「Nutanix GPT-in-a-Box」の概要

 さらにケリ氏は、“真の”ハイブリッド/マルチクラウド環境を実現するために、Nutanix Cloud Platformだけでなく、他のパブリッククラウドプラットフォームも含むクラウド間の監視/管理/運用を実現する管理コンソールとして、Nutanix Centralを紹介した。

 「NC2とNutanix Centralの2つを組み合わせることで、ワークロードをオンプレミスからパブリッククラウドへ迅速に移行することができる。それにより、パブリッククラウド上でのイノベーションが推進できる」(ケリ氏)

パブリッククラウドへのマイグレーションに加えて、DR対策、アクセス変動に応じた拡張(クラウドバースト)といった対応にも役立つと説明

 そして、ケリ氏が最後に紹介したのが「Project Beacon」だ。同社Webサイトの説明によると、これはPaaSと同等レベルのデータサービスポートフォリオを、Nutanix Cloud Platformからパブリッククラウドまで場所を問わず、同一のAPIやコンソール、CLIを通じてネイティブに利用可能にすることを目標としたプロジェクトだ。現在のアプリケーションはインフラだけでなくデータサービスにも依存しており、それがマルチクラウド間での自由なアプリケーションのマイグレーションを阻んでいる、というのがNutanixの指摘だ。

 Project Beaconは今年5月に「今後複数年にわたる取り組み」として発表されており、まずは「Nutanix Database Services」をパブリッククラウド上のネイティブなマネージドサービスとして拡張していくとしている。ケリ氏は、将来的にはさらにメッセージング、キャッシュ、検索といった一般的なデータサービスにもその範囲を広げていくと説明した。

まずはNutanix Database Services(NDB)をパブリッククラウドのネイティブなマネージドサービスとして拡張していく

インフラだけでなくデータ関連のサービス群にも単一のソフトウェアプラットフォームを拡張し、アプリケーションとデータの可搬性を強化していく狙い

■関連サイト

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