紙のように薄く柔らかいものであれば、文房具のハサミで問題なく切れます。しかし、革やプラ板、ロープ、ホースなど、固い、厚い、太いといったものを切ろうとすると、刃からスルッと逃げてしまいがち。また、薄くて切れにくい素材だとクルっと回り、刃と刃の間に挟まる……なんて経験をしたことがある人は多いことでしょう。
もちろん、刃の奥で少しずつ切りつけていけば何とかなりますが、サイズが大きかったり、数が多かったりすれば時間がかかります。気が付くと、ハンドルを握る手や指が痛くなっていて、ちゃんとしたハサミを用意すればよかった、と後悔することもしばしば。
これは文房具のハサミで切ろうとしたことが、そもそもの間違い。紙以外の素材を切るなら、工具として売られているごついハサミを使うのが確実&簡単です。
とはいえ、大型のハサミを工具箱から取り出すのが面倒なのも確か。それなら手元にあるハサミで……となるのもわかります。
「強いハサミ」を使ってみよう
そこでオススメなのが、手元に置いておけるくらいコンパクトでも、より多くの素材を切ることができるハサミを用意すること。ホームセンターで探してみると、こういった「強いハサミ」は結構あります。
今回試してみたのは、そういった強いハサミのひとつとなる、エンジニアの「鉄腕ハサミGT」(PH-55)。一般的な文房具のハサミとほぼ同じサイズながら、コードやロープ、革、CD/DVD/BD、針金なども切れるというのがメリットです。
用途で使い分ける4種類の刃
まず気づくのは、ハサミの刃が分厚い事。普段使っている文房具のハサミは約2mmでしたが、鉄腕ハサミGTは約2.8mm。比べるまでもなく、明らかに分厚く頼もしい印象です。
素材に負けない強度となるため、硬いものを切る場合でも、刃が負けにくくなっているのがいいところ。
刃は分厚くても刃渡りは短いので、取り回しは意外と楽。文房具のハサミとそれほど変わらない感覚で使えます。
といっても、多くの素材を切りやすくするため、刃にはイロイロな工夫が施されています。
まずは、紙や布など柔らかく薄手の素材を切るのに便利な「ストレート刃」。刃先に近い方がこのストレート刃で、真っすぐ切るのに適しています。大きな紙をスライド切りしたい場合なんかにも活躍してくれます。
その奥、根元に近い方はギザギザにある「マイクロセレーション」。通称、ギザ刃。根元なので力を入れやすく、ギザギザが素材に食い込むため滑りにくいというのが特徴です。硬い、厚い、太い素材を切るのに向いた刃といえるでしょう。
工作素材のラフなカットのほか、期限切れのカード、CD/DVD/BDメディアの廃棄処理などで活躍してくれます。
ハサミで針金を切るのは、ニッパーやプライヤーを取り出すのが面倒な場合にやってしまいがち。アルミだから……とか、細いから……などと考えて何度もやってるうちに、ガタガタになります。刃を痛める原因となるだけに、ダメです。絶対。
その点、鉄腕ハサミGTなら、針金のカットに使える「ワイヤーカッター」を装備。かしめ部分よりハンドル側にあり、ここに針金を挟んで断ち切れます。
面白いのは、「ダウンボールオープナー」として、刃の下側にも刃があること。まともに切れない鈍らな刃ですが、テープくらいなら押し切ることができるというもの。ダンボールや中身に傷をつけず、テープだけ切れるというのが便利です。
また、刃の方にテープの糊がついてしまわないため、ハサミの切れ味が落ちないというのもメリットでしょう。
ハサミは身近な道具だけに、すぐに使えることが重要ですが、そうはいっても刃物。普段は危なくないように、専用のキャップが付属していました。奥まで挿し込むとカチッとはまり、振り回しても落としても勝手に抜けることはありません。引っ張ればすぐに外れるので、使い勝手はかなりいいです。
(次ページ:イロイロな素材を実際に切ってみた!)

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