大阪大学の研究チームは、ダイキン工業と共同で人工知能(AI)による空調の自動運転技術を開発し、大学キャンパスでの実証実験において暖房で快適室温を維持しつつ30%以上の省エネを達成した。
大阪大学の研究チームは、ダイキン工業と共同で人工知能(AI)による空調の自動運転技術を開発し、大学キャンパスでの実証実験において暖房で快適室温を維持しつつ30%以上の省エネを達成した。 研究チームが開発した自動運転の核となる技術は、部屋の暖まりやすさや冷めやすさをAIで学習し、15分おきに最適な空調の設定温度を求めるというもの。室温や空調機の運転データ、気象情報のデータの関係をAIで学習し、部屋の暖まりやすさや冷めやすさを考慮して室温変化を正確に予測して積極的に停止することで、快適性を維持しつつ省エネを実現する。 同チームは、大阪大学の研究室の空調に取り付けて、2022年12月~翌年3月にかけてさまざまな条件で実証実験を実施。朝7時から夜6時まで室温を25度に維持することを目標にした手動でのON/OFF操作(12月1日)と、今回の手法による自動運転(12月8日)を比較した場合は、自動運転は目標温度を維持しつつ、運転時間を大幅に削減して消費電力量を6キロワット時(kWh)削減し、約33%の省エネを達成できた。別日にも実施した同様の実験でも、平均3割程度の省エネ効果を確認した。 冬のオフィスビルでは照明やパソコン、在室者の発熱により暖房を停止しても快適室温が維持されることが多くあるが、その見極めが困難なため空調の運転に活用できておらず多くの無駄があった。研究チームによると、今回開発した自動運転技術は安価な計算機で実装でき、既設の空調機のリモコンを遠隔操作するため、既存のビルにも比較的容易に導入可能だとしており、節電に限らず、カーボンニュートラル実現に向けた実用化が期待される。研究論文は、アプライド・エナジー(Applied Energy)に2023年9月25日付けで発表された。(中條)