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最新パーツ性能チェック 第427回

A620&RX 7600と+1ランク上の構成では、どちらが良いか検証してみた

2023年10月17日 13時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトラハッチ/ASCII

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「頑張りすぎない負荷」で検証する

 では早速ゲームのフレームレートに入るが、本稿のフレームレート検証では、いつも筆者がGPUレビューでやっているような“GPUに高負荷をかけて限界を見る”タイプではなく、最高設定から1段程度画質を下げた“頑張りすぎない負荷”での検証となる。さらに今回のCPUとGPU選択では4Kは厳しいため、解像度はフルHDとWQHDの2通りとした。

 また、ゲームのフレームレートは全て「CapFrameX」を利用して測定するほか、ベンチマーク中のGPUのTBP(Total Board Power:実消費電力)やそれを元にしたワットパフォーマンス、さらにシステム全体の消費電力を「Powenetics v2」を経由して取得している。

 最初に試すのは「Apex Legends」だ。シーズン15よりDirectX 12のサポートが入ったが、今回は安定をとってDirectX 11のままとしたほか、144fps制限を解除している。また画質については、環境をセットアップした際のデフォルト(下図参照)とした。

 テストは射撃訓練場で一定の行動をとった時のフレームレートを計測した。

Apex Legendsの画質設定。言葉では伝えづらいためスクリーンショットで……

Apex Legends:DirectX 11、1920x1080ドット時のフレームレート

Apex Legends:DirectX 11、2560x1440ドット時のフレームレート

 このグラフでは一番下(R5 7600+RX 7600)が検証のベースシステムで、そこから上にいくに従いGPUやCPUが1段強いものになる。一番上はCPUとGPUを両方強化した際の結果だ。この結果から分かることは、ベースシステムからGPUだけRX 7600からRX 6700 XTにすることで平均フレームレートはフルHDで約13%、WQHDでは約22%向上させることができる。

 一方で、CPUをRyzen 5 7600からRyzen 7 7700に強化したところでフレームレートはほとんど変化しない。ゲームだけを遊ぶ場合、かつあまり頑張りすぎない画質設定においては、CPUが6コアから8コアに増えたところでメリットはないのだ。

 無論ゲームの裏でDiscordを動かしたりする場合には8コアの方がより余裕があるが、コストパフォーマンスを重視するのであれば、CPUよりGPUを強化する方がゲームのフレームレート引き上げにメリットがあるのだ。

 次は「Forza Horizon 5」だ。画質は“高”設定とし、アンチエイリアスもMSAA x2に設定。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。

Forza Horizon 5:1920x1080ドット時のフレームレート

Forza Horizon 5:2560x1440ドット時のフレームレート

 今回のベースライン構成でもフルHDで平均190fps弱、WQHDでも平均148fpsと高フレームレートが期待できる。物足りなければGPUをRX 6700 XTに変更することでフレームレートをさらに引き上げることができるが、ここでもCPUをRyzen 5からRyzen 7に交換することには(フレームレートに対する)意味は全くないのだ。

「BIOHAZARD RE:4」は下手に最高画質設定を狙うと多量のVRAMが必要となり、RX 7600程度のエントリーGPUでは酷いカク付きに見舞われるが、画質を絞れば話は別だ。今回はデフォルト設定(下図)をベースに、レイトレーシングはオフ、FSR 2は“バランス”に設定。ゲーム序盤で訪れる教会のある村〜次の集落へ続く道を移動した際のレームレートを計測した。

BIOHAZARD RE:4の画質設定はとにかく項目が多いが、ポイントになるのは上の方にあるテクスチャー品質。下の方にある項目は「オン」ないし“高”。ストランドヘアーはオフとした

BIOHAZARD RE:4:1920x1080ドット時のフレームレート

BIOHAZARD RE:4:2560x1440ドット時のフレームレート

 VRAMの少ないGPUで快適に遊ぶにはテクスチャーの設定を中心に下げるのが効果的。テクスチャー品質“高”設定にすることでVRAM 8GBのRX 7600環境でもフルHDで最低フレームレートが80fps、WQHDでも60fpsを達成。

 WQHDでも十分ゲームになるフレームレートが得られる。そしてここでもCPUを1ランク上にするのはあまり意味がなく、むしろGPUを強化するメリットの方が大きい。ハイエンドパーツに手が出ないなら、まずはGPUを強化してみよう。

「Cyberpunk 2077」はレイトレーシングの設定が入ると激重になるので、画質はレイトレーシングのない“ウルトラ”に、FSR 2はオートから明示的に“バランス”に変更。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。

Cyberpunk 2077:1920x1080ドット時のフレームレート

Cyberpunk 2077:2560x1440ドット時のフレームレート

 レイトレーシングを使わないこと、さらにFSR 2を併用することでエントリークラスのRX 7600でも良好なフレームレートが出せる。GPUをRX 7600からRX 6700 XTにしてもフレームレートはほとんど変化しないのはCPU側に強いボトルネックがあることを示しているが、これを乗り越えるにはTDPのもっと高いRyzen、例えばRyzen 7 7700Xや7800X3Dが必要になるだろう。今回のベースライン構成では、CPUもGPUも+1ランク程度ではフレームレートは大きく改善しないようだ。

 最後に試すのは「Remnant II」だ。画質は“高”に設定し、プレイヤーが最初に訪れる拠点において、一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。

Remnant II:1920x1080ドット時のフレームレート

Remnant II:2560x1440ドット時のフレームレート

 若干60fpsを割り込む時があるものの、フルHDならば平均100fps程度は期待できる。また、ここに来てようやくCPUを強化する意味のあるゲームが登場したという点に注目だ。

 ベースライン構成からGPUだけ、もしくはCPUだけ+1ランク強化してもフレームレートは大きく伸びないが、CPUもGPUもそれぞれ+1することでフレームレートが大きく伸びる。CPU性能に依存するような処理が存在し、解像度が上がるとCPUへの負荷も上がるが、Ryzen 7 7700程度ではカバーすることは難しいと考えられる。

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