グーグルは10月13日(現地時間)、自社のAIサービスを利用する法人顧客に対し、知的財産権関連の訴訟リスクから保護すると発表した。具体的な補償内容は「トレーニングデータに関する補償」と「出力結果に関する補償」の2種類がある。
トレーニングデータに関する補償
本補償はグーグルが生成AIモデルを作成する際、使われたトレーニングデータが第三者の知的財産権を侵害しているという申し立てを対象としたもの。簡単に言えば「AIのトレーニングデータに著作権を侵害するデータが含まれている」といった訴えを起こされたケースに対応する補償制度だ。
出力結果に関する補償
出力結果に関する補償は、グーグルの生成AIを利用して出力された結果に対して第三者の知的財産権を侵害しているという申し立てがあった際、グーグルが補償するというもの。発表時点では以下のサービスが対象となっている。
【補償対象のサービス】
- 「Workspace」の「Duet AI」(「Google ドキュメント」「Gmail」で生成されたテキスト、「Google スライド」「Google Meet」で生成された画像を含む)
- 「Google Cloud」のDuet AI(アプリケーション開発支援用のDuet AIを含む)
- 「Vertex AI」検索
- Vertex AI の会話
- Vertex AI テキスト埋め込みAPI/マルチモーダル埋め込み
- Vertex AI に関するビジュアルキャプション/ビジュアルQ&A
- 「Codey API」
ただし、ユーザーが他者の権利を侵害することを目的としてAIに生成させたデータについては、補償対象外だ。
マイクロソフトやアドビの補償制度に追随
生成AIに関する補償をめぐっては、競合他社もグーグルと似た補償制度を既に用意している。
例えばマイクロソフトは9月7日(現地時間)、「Word」など同社の製品に搭載されている生成AI「Copilot」を使う法人ユーザーに対し、著作権侵害などの法的リスクから保護する制度を発表した。アドビも生成AI「Adobe Firefly」のエンタープライズ版について、トレーニングデータに権利侵害を引き起こすデータを使っていないことを明言した上で、法的な問題が発生した際は同社がユーザーを保護する方針を示している。
今回のグーグルの発表は、こうした競合他社の動きに追随するものだ。