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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第104回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 10月7日~10月13日

「生成AIはチャンス」米国の意識は日本の2倍、41%のサイバー攻撃が「経営層に報告されず」、ほか

2023年10月16日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(2023年10月7日~10月13日)は、企業における生成AI活用に対する日米の意識差、Z世代の結婚/子ども/仕事観、サイバー攻撃/セキュリティ侵害の社内外報告、国内キャリアMEC市場の動向予測、今年の米国年末商戦についてのデータを紹介します。

■[生成AI][ビジネス]「AIに肯定的」な割合は日米差なし、「チャンス」と捉える米国人は日本の2倍(GMOリサーチ、10月31日)
・生成AIの業務利用は米国29%、日本は10%
・生成AIは会社にとって「チャンス」、日本の32%に対して米国は63%
・業務で利用しない理由は「利用方法がわからない」が日米ともにトップ

 日米2095人のモニターを対象に、生成AIと業務、自社に与える影響について尋ねた。生成AIに「肯定的な人」は日本が20.9%、米国が24.2%と大きな差はなかった。一方で「否定的な人」は日本3.7%、米国13.4%と、米国においては意見がやや両極化している。生成AIを「利用したことがある人」は米国29.5%、日本18.7%、「業務利用」は米国29.5%、日本は10.7%と、米国がやや進んでいる。「業務で利用していない理由」としては、日米とも「利用方法がわからない」がトップ。また生成AIが与える影響について、「自社にとってチャンス」ととらえる人は米国で63.2%と、日本32.8%のおよそ2倍に達している。

生成AIが自社に与える影響を尋ねたところ、「脅威」は日米ともに10.9%、一方で「チャンス」は米国は63.2%、日本32.8%だった(出典:GMOリサーチ)

「生成AIはチャンス」という回答と、自社の生成AI活用姿勢が「積極的」という回答には相関関係がある(出典:GMOリサーチ)

■[生活]Z世代の52%は「結婚願望あり」、ただし60%が「一生独身でもいい」(ビッグローブ、10月10日)
・「結婚したい(または結婚している)」Z世代は52.6%、60%が「一生独身でも気にならない」
・Z世代の47%が「子供がほしい/もっとほしい)」
・「仕事よりも私生活重視」Z世代は72%、最も多いのは30代で83%

 結婚、子供、仕事についての考えを、18歳~69歳までの男女1000人を対象に尋ねた世代別調査より。「結婚したい」と思うZ世代(18~24歳)は52.6%。51%が「法律婚にこだわらないがパートナーと暮らしたい」と述べた。その一方で「一生独身でも気にならない」とするZ世代も60.6%に達する。ただし、25~29歳のほうがさらに割合が高い(62%)。子どもが「ほしい」はZ世代で47.4%、25~29歳が最多で52.4%だった。

Z世代の60.6%は「一生独身でも気にならない」(出典:ビッグローブ)

「子どもがほしい」Z世代は47.4%。25~29歳が最多の52.4%(出典:ビッグローブ)

「仕事は私生活充実のための手段だと思う」という回答が全世代で多数派を占めたが、Z世代はもっとも低く72.9%だった(出典:ビッグローブ)

■[セキュリティ]サイバー攻撃の41%は経営層に報告されず、理由は「批判的な反応を恐れた」(43%)など(Keeper Security APAC、10月10日)
・サイバー攻撃の41%は「経営層に報告されず」
・経営層に報告しない理由は「批判的な反応を恐れた」(43%)など
・48%が「社外の適切な機関に報告されなかったサイバー攻撃」を認識

 「サイバー攻撃による被害調査:インシデント報告と情報開示」として、北米/欧州のIT/セキュリティ担当者400人を対象に聞いた。40%が何らかのサイバー被害を経験しており、74%が「組織へのサイバー攻撃の影響を懸念している」と回答。ただしサイバー攻撃と侵害の報告について、48%が「社外の適切な機関に報告されなかったサイバー攻撃を認識」しており、またサイバー攻撃の41%は「社内の経営層に報告していない」という。経営層に報告しなかった理由として「批判的な反応を恐れた」(43%)、「報告の必要がないと思った」(36%)など。加えて、情報漏洩を報告する「体制が整っていない」とした回答者も22%いた。

■[通信]国内キャリアMECサービス市場は2027年までCAGR 69%で急成長、本格活用は5年後から(IDC Japan、10月12日)
・2027年の国内キャリアMECサービス市場規模は138億円
・2022年~2027年の年間平均成長率(CAGR)は69%予測
・今後5年間で急成長し、活用本格化はそれ以降と予測

 モバイルデバイスやIoT機器などに近いネットワークエッジにITサービスインフラを配置し、通信の最適化/高速化を図る提供するMEC(Multi-Access Edge Computing)。この調査では、NTTドコモの「docomo MEC」、AWSとKDDIの「AWS Wavelength」、ソフトバンクの「5G MEC」など、通信事業者のモバイル通信網と直結したキャリアMECサービス市場を取り上げている。キャリアMECサービスはDX推進、デジタルツイン構築、自動運転などに不可欠になると見られるが、市場はまだ揺籃期にある。IDCでは、今後5年間(2023~2027年)は年間平均成長率(CAGR)69%で急成長し、活用が本格化するのはそれ以降になると予測している。

国内キャリアMECサービス市場規模予測(出典:IDC Japan)

■[消費者]2023年の米国の年末商戦、モバイルショッピングが初めてPCを上回る(アドビ、10月6日)
・2023年の年末商戦、オンライン売上高は前年比4%増の2218億ドルを予想
・モバイルショッピングは前年比13%増、比率は51%となりデスクトップを上回る
・後払い決済(BNPL:Buy Now Pay Later)が前年比16%増の170億ドル規模に

 「Adobe Analytics」経由で取得したオンライン商取引データなどから、米国の年末商戦(11月1日~12月31日)の動向を予測した。同期間のオンライン売上高は、2022年から4.8%増加し2218億ドルに達すると予想する。中でもモバイル端末を利用したショッピングは前年比13.7%増の1130億ドルとなり、売上全体の51.2%を占め、初めてデスクトップ端末を上回る。値引率は過去最大(玩具はピーク時35%、エレクトロニクスは30%など)で、サイバーウイーク期間に集中すると予想。アップルの参入もあって注目されている後払い決済(BNPL)は、前年比16.9%増の170億ドルと予測されている。

今年の米国の年末商戦のオンライン売上高は、昨年の増加率を上回る前年比4.8%増と予想する(出典:アドビ)

感謝祭の11月23日(左)、ブラックフライデーの11月24日(中央)、サイバーマンデーの11月27日(右)を含むサイバーウイーク(11月23~27日)で、オンライン売上は372億ドルに達すると予測(出典:アドビ)

BNPLを利用したショッピング金額は170億ドルに達すると予測(出典:アドビ)

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