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4年ぶりのリアル開催となった「docomo business Forum '23」基調講演レポート

リミットが外れたドコモビジネス、IoTや地域案件も本気モードへ

2023年10月13日 07時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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スマートシティ、地域によりそうDXの試みを披露

 スマートシティに関しては、自動走行ロボットの管制サービス「Robico」を紹介した。これは道路交通法の改正により、自動走行ロボットが公道を走ることが可能になったことを受けたサービス。今後、デリバリや警備などさまざまな自動走行ロボットが増えてくため、マルチベンダーでロボットを管制する必要があると丸岡氏はアピールした。

 より地域に寄り添った事例として紹介されたのは、群馬県 長野原町でのデジタル化だ。行政、地域事業者、住民が連携して住みやすいまちづくりを進める中、ドコモビジネスではそのプラットフォームを「LGPF(Local Government Platform)」として提供している。長野原町ではこのプラットフォームを用い、行政は住民に対して、防災情報や施設の混雑状況、事業者はイベント情報やクーポンの配信をダイレクトに住民に配信。そして、住民からのフィードバックやデータを活用し、それらを地域で循環させていく。

 地域の安全対策DXとして紹介されたのは、国内初を謳うAI搭載のスマート道路灯とローカル5Gを用いた静岡県裾野市の実証実験。2025年度までに交通事故死をゼロ、人身事故自体も200件以下にしていくという目標を掲げた同市は、スマート道路灯で速度超過や歩行者の車道検知を検知。路面にリアルタイムで描写していくことで、ドライバーに注意喚起するとともに、今後は収集データを都市計画の策定に活用していくという。

静岡県裾野市のスマート道路灯&ローカル5Gの事例

 ソリューション事例として最後に紹介されたのは、コロナ禍で大きなテーマとなった働き方。「リモートワークも増えつつ、フェイスツーフェイスも増えてくる。こうした中で、社員同士のつながりやエンゲージメントをいかに高めるかは、みなさんの大きな課題ではないでしょうか?」と丸岡氏は問いかける。大きな組織再編を経たドコモビジネスでは、PHONE APPLIを活用し、組織内でのコミュニケーションの促進を行なっているという。

 注目ソリューションを紹介した丸岡氏は、ドコモビジネスの陣容について披露した。現在、ドコモビジネスは8つの支社、44の支店を持ち、企業の事業アドバイザーも配置している。また、「ドコモビジネスオンラインショップ」や「ビジネスdアプリ」などオンラインでの接点も持っている。NTTコミュニケーションからすると、地方でのビジネス機会は圧倒的に拡がっていくと言えよう。

ドコモビジネスの支社と支店

 グローバルビジネスに関しては、NTT Ltd.といっしょに展開しており、7月にはグローバルではBMWとの提携も発表された。「つなぐ先は国内だけでなく、グローバルにも拡げたいと考えている」と抱負を語る。

アフターコロナの中で、もう一度つなぎ直す

 丸岡氏はソリューションを支えるプラットフォームとインフラについても紹介した。

 まずネットワークに関しては、ゼロトラストネットワークの環境を提供する「docomo business RINK」を紹介した。現在は、働き方が多様化し、オフィスのみならず、リモートワークが増えた中、アプリケーションも社内に閉じず、クラウドに接続することが激増してきている。こうした中、サイバー攻撃を防御するための汎用的なゼロトラストネットワークがRINKだ。固定、モバイルのいずれにも対応し、帯域の増速などもWebからの完結する。「これこそドコモグループの強みを出せるサービス」と丸岡氏はアピール。サービスは11月に開始する予定だ。

ドコモ版ゼロトラストネットワーク「docomo business RINK」

 データセンターに関しては、やはり省エネがテーマ。再エネの利用はもちろんだが、データ量が激増し、AIで計算能力が必要になっている現在は、省電力化をますます推し進める必要がある。「AIでの計算に用いるGPUは約10年前の3倍の熱量が放出される。そのため、従来の空冷では対応できない」と語る丸岡氏。そのため、ドコモビジネスでは液冷方式での冷却を推進し、消費電力を30%削減する。

 将来的にはNTTグループのIOWNのAPN(All Photonics Network)によって各モジュールやデータセンター間を接続することで、超低消費電力のICT基盤を実現できる見込みだという。

 丸岡氏が最後にトピックとして取り上げたのはもちろんAI。NTTコミュニケーションズは2016年からコミュニケーションAIとして「COTOHA」を展開しており、チャットボットやファイル名変換など、シリーズ全体ですでに800社の利用があるという。しかし、これからのAIは役割や得意分野の異なるAI同士がつながっていくのが当たり前になり、AI同士の接続にはIOWNを使っていきたいという。

 そしてコミュニケーションAIの究極の形は「もう一人の私」だと丸岡氏は指摘する。「もう一人の私が、あなたと世界をつなげてくれると思っています」と語り、展示会場やAIに関するセッションについて説明した。丸岡氏は、最後に「一人ひとりの課題に寄り添いながら、ICTを活用して、より大きなものにつなげていく。特にアフターコロナの中で、もう一度つなぎ直すという活動を続けていきます。『つなげ、ビジネス』。ドコモビジネスはサステイナブルな社会をみなさんといっしょに目指して参ります」と語り、基調講演を締めた。

コミュニケーションAIの究極系はもう1つの私

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