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神戸を日本・アジアのイノベーションの拠点に

マイクロソフト、AIプロジェクトの開発短縮をサポート ― 神戸に共創施設設立

2023年10月12日 07時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 日本マイクロソフトは2023年10月11日、AIを中心とした先端技術によるビジネス変革を促進するための共創施設「Microsoft AI Co-Innovation Lab」の開所式を開催した。

 同施設は、川崎重工業や神戸市を中心とした運営法人との連携により、神戸市の神戸商工貿易センタービル内に設立されたもの。規模や業種を問わない、日本およびアジアのユーザー企業におけるAI/IoTなどの先端技術のビジネス適用を支援し、産業振興や新規ビジネスの創出を図ることを目的としている。

 日本マイクロソフト 代表取締役 社長の津坂美樹氏は、「日本中のユーザー企業と、AIを安全に使い、業務にどのように活かして、どのようにビジネスの成長を加速させるかを議論してきた。多くのユーザー企業にテクノロジーを一層活用いただけるよう、ラボを通して支援したい」と開所式で挨拶した。

日本マイクロソフト 代表取締役 社長 津坂美樹氏

AIを活用したイノベーション実現の時間を短縮する、パーソナライズされた支援プログラム

 Microsoft AI Co-Innovation Labでは、ユースケースに応じたAIの活用や実装について、マイクロソフトの開発エキスパートから企業ごとにパーソナライズした提案が受けられる。ラボには7名~10名のエキスパートが常駐する。

 「新しいプロジェクトにおいて、アイディアはあっても、どういうツールをどうやって使うのか、他のツールとどうやって繋げるか、自社環境でどう構築するか、これらを調べて考えるのはかなりの時間を要する。その時間の短縮を支援したい」と、Microsoft CorporationのHead of Microsoft AI Co-Innovation Labである山﨑隼氏は言う。

Microsoft Corporation Head of Microsoft AI Co-Innovation Lab 山﨑隼氏

 Microsoft AI Co-Innovation Labは、既に米国、中国、ドイツ、ウルグアイに設置され、日本(神戸)は6拠点目。グローバルでは800社を超える多様な規模や業種の企業を支援してきた実績があり、これらの成果も還元される。神戸を拠点に選んだ理由として山﨑氏は、「アジアでは上海にラボがあるが、中国から他のアジア諸国へ提供できないサービスが一部あるため、もう1か所必要だった」としたうえで、川崎重工業と実施したインダストリーメタバースに関する協業や、神戸市に医療関係の企業が多いことも決め手となったと説明した。

Microsoft AI Co-Innovation Lab 6つの拠点

グローバルでは800社を超えるエンゲージメントの実績

 Microsoft AI Co-Innovation Lab を利用できるのは、マイクロソフトのAzureサービスを利用中もしくは利用予定のユーザー。そして、実現したいプロジェクトがあり、支援プログラムにコミットできることが条件となる。支援プログラムの単発での利用は無償、複数回の利用やイベント開催など特殊な施設利用の際は有償となる。

プログラムの対象者

 利用を希望するユーザーは、ウェブサイトから申し込む。事前にプロジェクトの方向性を決めるオンボーディングを実施したうえでラボを訪問し、1週間のプログラムを通して技術適用のための開発支援を受ける。

神戸市を日本・アジアのイノベーションの拠点に

 開所式に参加した神戸市 久元喜造市長は、「中小企業を含めた神戸の企業が、このラボから新しいシステム、サービス、イノベーションを生み出すことを確信している。そのイノベーションが、グローバル社会および多くの地域の課題を解決することを地元の自治体として切望したい」と、産学連携も含めた地元企業のイノベーションの促進に期待を寄せた。

 川崎重工業 代表取締役社長執行役員の橋本康彦氏は「従来の製品がネットワークやデジタルに繋がることで新しい価値を生み出す。ラボの設立によって川崎重工をはじめ多くの企業にビジネスチャンスがある」とコメント。

 今後、神戸市と川崎重工業は、運営法人の立ち上げにとどまらず、地元アカデミアとの産学連携などの企画立案や、地元企業に積極的に活用してもらえるよう声掛けを行っていく予定としている。

関係者による開所式テープカット

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