予算は25万円前後、エアフロー重視でゲーミングPCを自作
日蝕をモチーフにしたデザインも冷却性能も優れた簡易水冷CPUクーラー、MSI「MAG CORELIQUID E360 WHITE」
MAG CORELIQUID E360で実際に1台組んでみた
今回は前回紹介したPCケース「MPG GUNGNIR 300R AIRFLOW / WHITE」に続いてのレビューだったので、MAG CORELIQUID E360の検証はMPG GUNGNIR 300R AIRFLOW / WHITEに組み込んで行なった。組み込み難易度、工程数は現在の簡易水冷CPUクーラーの標準的なものと思ってよい。
まずMAG CORELIQUID E360の付属品を見てみよう。バックプレートは2枚付属し、ひとつがLGA115x/1200用、もうひとつがLGA1700用だ。AMD AM4/AM5/TR4/sTRX4はマザーボード標準のバックプレートを利用する。スタッドボルトは1種4本。これはIntel CPU用でLGA115x/1200/1700共通。軸部分が太めで高さもあるので、たとえばVRMヒートシンクと近い部分に装着する時も作業しやすい。リテンションプレートは3種。Intel用共通と、AMD AM4/AM5用、AMD TR4/sTRX4用に分かれている。リテンションプレートの水冷ヘッド部分への装着方法はネジ4本を用いる。そしてリテンションプレートを固定するネジが共通で4本。ほか、先に紹介したNOISE REDUCERのPWMファン用電源ケーブルと、通常のPWMファン用電源ケーブル、PWMではなく4ピンペリフェラルから給電するための変換ケーブル、ラジエータをPCケースに固定するためのネジ12本、ラジエータにファンを固定するためのネジ12本、グリスといったものが付属する。
今回は作例というわけではなくおおよそのイメージ。MPG GUNGNIR 300R AIRFLOW / WHITEは標準で4基の12cm角ファンが付属するので、MAG CORELIQUID E360の3基のファンを合わせると計7基。3基が吸気、4基が排気のレイアウトだ。CPUはCore i7-13700Fで、マザーボードは「MAG B760M MORTAR WIFI」、ビデオカードはMSI「GeForce RTX 4060 Ti VENTUS 2X BLACK 16G OC」を組み合わせている。構成的におよそミドルレンジのゲーミングPCとなった。
それでは計測データを見てみよう。最初はCPUに高負荷がかかるCINEBENCH R23を用いて冷却性能の限界を探ってみた。ひとつはパワーリミットを無制限とした際の、もうひとつはパワーリミットをCPU定格の219Wとした際の温度推移だ。
パワーリミットが無制限の場合、当然だがCPU温度のリミットである100℃に達するまでブーストが効く。MAG CORELIQUID E360は開始50秒ほどで100℃に達した。簡易水冷CPUクーラーでも製品によってはベンチマーク開始直後にすぐ100℃に達するものもあるので、MAG CORELIQUID E360が粘ったというのは、冷却性能の高い製品の証と言えるだろう。
パワーリミットをCPU定格の219Wに設定した場合は最大91℃にとどまった。そして負荷時の中央値は90℃以下で推移している。なお、無制限と言ってもこの構成では最大290W程度、負荷中はおおむね260〜270Wで推移していたのに対し、219W設定では245Wに上昇した瞬間もあったがおおむね219W前後で推移していた。その差は40〜50Wだ。ほかMAG CORELIQUID E360とは無関係だが、このベンチマークではほとんど無負荷のGPU温度を見るとMPG GUNGNIR 300R AIRFLOW / WHITEのエアフローがどれだけ強力であるかが分かるだろう。
次に3DMarkのTime Spy Extremeの温度推移を見てみよう。以降のグラフはすべてパワーリミット無制限だ。
序盤の2つのピークはまだロード時で、緑のGPU温度が上昇している部分がGraphics Test 1&2、終盤にCPU温度が上昇している部分がCPU Test。ロード時のピークのように、CPU温度は瞬間的に上昇することはあるが、すみやかに50℃以下まで冷却されている。Graphics Test中はCPU負荷が低いのでおおむね50℃未満で推移、終盤のCPU TestでCPU負荷が高まるとともに上昇しているが最大86℃で抑えられている。ただしベンチマークなので実ゲームとは若干異なる。
実ゲームとしてはファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークで見てみよう。比較的CPU負荷も高めと言われているが、およそ50℃を中心に推移しており、CPU温度の最大は65℃だが一瞬だ。
最後にPCMark 10。普段使い時の温度を見てみよう。序盤の2つのピークは3DMarkと同様にロード時で、そこから一度40℃まで下がってからまた上昇に転ずるあたりでベンチマークの各シナリオが始まる。Essentials、Productivity、Digital Content Creation、Gamingとシナリオが進むが、どのシナリオがどの部分かというのは判別が難しい。大ざっぱに見積もると開始から360〜480カウントあたりまでがEssentialsとProductivityのシナリオ、その後ろがDigital Content CreationとGamingのシナリオだ。
Essentials、ProductivityシナリオについてはCPU温度が40〜50℃で推移しつついくつかのスパイクがある程度。PCMark 10ではひとつテスト(処理)を行なったら次のテストといったように繰り返されるので、実際のホーム&ビジネス使用時の負荷のかかり方に近いと思われる。その範囲では余裕の冷却性能だ。
後半のDigital Content CreationはCPU負荷が高めのシナリオなので70℃付近まで上昇するスパイクも見られるが、ここでも都度40℃まで冷却されている。次のGamingシナリオとの間にCPU温度が100℃に達する部分があるが、おそらくGamingシナリオのロードを行なっている部分だろう。ロード(とデータの展開)に関しては少々特殊なので気にする必要はない。Gamingシナリオは3DMarkで言うところのFire Strikeが実行されるので先のTime Spy Extremeとは若干テスト構成が異なる。たとえばCPUがメインとなるPhysicsテストでは80℃まで上昇した。ただ、ここでも負荷が抜けた瞬間、40℃付近まですみやかに冷却されている。
今回の検証環境のパフォーマンスもご紹介
せっかくなので、今回組んだ検証PCのパフォーマンスも紹介しておこう。
今回のPCは予算プラン的には25万円前後。やや高価な構成になっているが、ケースはエアフロー重視で標準ファンも4基のMPG GUNGNIR 300R AIRFLOW / WHITE、CPUクーラーが今回のMAG CORELIQUID E360なので先のグラフのとおり冷却については万全、且つこれら2つのパーツについてはホワイトで合わせたので見た目もバッチリだ。グラフのとおり、ゲーミング環境としては主にフルHD〜WQHDがターゲットになる。ここは搭載するGPU次第であり、より熱量の高いGPUならケース内温度が今回の計測よりも上昇するかもしれない。ただ、MPG GUNGNIR 300R AIRFLOW / WHITEの強力なエアフローを見るかぎり、そこまで心配はなさそうだ。MAG CORELIQUID E360+MPG GUNGNIR 300R AIRFLOWという組み合わせは、(コスパ重視とは言えないが)しっかり冷えつつ外観を重視する方にはバッチリおすすめできる。
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