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業務を変えるkintoneユーザー事例 第204回

連携サービスの活用で40万枚以上のペーパーレス化

社内浸透には応病与薬 「とりあえずやってみる」で始めたモリビのkintone活用

2023年10月11日 11時00分更新

文● 柳谷智宣 編集●ASCII

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受発注や入居者アプリで業務効率化、取引先からも好評

 他にも、受発注アプリでも大きな効果が得られた。アパートの点検を行い、報告書を出す業務をkintoneアプリ化した。このシステムにはトヨクモの「3種の神器」である「フォームブリッジ」「kViewer」「プリントクリエイター」を活用したとのこと。

 従来は、電話で状況の問い合わせが来たり、報告書が届いていないといったやり取りが発生していたが、現在は、フォームブリッジで発注があれば、自動的にkintoneに登録され、必要があればkViewerで進捗を見てもらったり、プリントクリエイターで報告書を持っていくようになった。

「僕らだけが楽になったのではなく、取引先様からも、発注業務がスムーズになって、自分たちのタイミングで欲しいものを取りにいけるようになったと好評です」(植田氏)

kintone連携サービスを活用して受発注アプリを構築した

 2つ目のアプリ事例は「入居者」アプリ。たとえば、部屋の水道が壊れた場合、入居者から連絡をもらい、まず現場を見に行って状況を確認するのが基本だった。修理は2回目に訪問したときに行う。

 この業務をkintoneに置き換え、連絡があったら、フォームブリッジのURLをSMSで送信し、入居者に壊れているところの写真などをアップロードしてもらう形とした。その情報を元に見積もりを取り、1回目の訪問で工事を終えることができるようになった。

 モリビではトヨクモの連携サービスだけでなく、ラジカルブリッジの「カレンダーPlus」やジョイゾーの「テーブルフィールドコピープラグイン」をはじめ、多数のプラグイン・連携サービスを活用しているという。

入居者からの連絡と対応もkintoneとフォームブリッジで改善

モリビが導入しているkintoneプラグインや連携サービス

中小企業は今のリソースで業務改善するしかない

 ある日、もう一人のkintone担当の早川氏が家庭の事情で新潟に引っ越すことになった。早川氏にkintoneを教えたのは植田氏だったが、現在では「早川先生」と呼ぶほどにkintoneをマスターし、業務改善の軸になっていたという。

「彼女がいなくなるのは非常に困ります。会社の業務改善にブレーキがかかってしまうのでは、と僕は頭を抱えてしまいました。早川に聞いたところ、kintoneを使った業務改善で一定の効果が出てることにやりがいを感じていました。そこで、社長に打診をしたところ、リモートワークにふたつ返事で了承いただけました」(植田氏)

kintone担当の引っ越しを機にリモートワークも実現

 植田氏はよく企業活動をマンモスの狩りに例えるそうだ。社員はチームを組み、生きるためにマンモスを狩る。ずっと同じことをしていると頭打ちになるので、「改善テント」を作って、武器を作る必要がある。その結果、マンモスを早く倒せて、綺麗に肉を取れるようになるなど、効率がアップする。しかし、この「改善テント」をどこから出すか、がポイントになるという。

 業務改善するために2人雇うことはなかなかできない。そのため、今いる人材からねん出するしかない。ここが「痛みを伴うところ」だと植田氏。ここを耐えしのぎ、人数を変えずにパワーアップできれば、業務改善が実現するという。

中小企業は今の人数のまま業務改善を実現するしかない

「先日、会社でkintoneのアンケートを取り、今後、自分でアプリを作ってみたいと思いますか?という質問を入れました。1年前、80%の人たちがkintoneを使いたくない、と言っていたのに、なんと40%の人がアプリを作ってみたいと回答してくれました。これは非常にうれしかったです。今後も、ダメだったらまた別のことを考えればいいので、まずはとりあえずやってみることを継続していこうと思っています」と植田氏は語った。

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