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業務を変えるkintoneユーザー事例 第203回

零細企業でもDX化で事務所の組織化や生産性向上を実現

法律業界の当たり前に立ち向かう! 紙中心の業務をkintoneで変えた宇都宮東法律事務所

2023年10月06日 09時00分更新

文● 柳谷智宣 編集●ASCII

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 kintoneのユーザー事例を共有しあうイベントkintone hive tokyo 2023の3番手として、弁護士法人宇都宮東法律事務所 代表 弁護士 伊藤一星氏が登壇。同氏によるセッション「"業界の当たり前"に立ち向かい、所員が働きやすい法律事務所へ」のレポートを紹介する。

弁護士法人宇都宮東法律事務所の代表 弁護士 伊藤一星氏

デジタル後進である法律業界では、物理的な紙のやり取りが業務の課題

 弁護士法人 宇都宮東法律事務所は、栃木県宇都宮市に事務所を構え、弁護士7名、事務局17名を抱える法律事務所だ。2015年7月に設立し、今年で9年目に入っている。弁護士業を通じて、一緒に働く所員、事件の依頼者、事務所の所属する地域社会の幸せを実現するというパーパスと、リーガルーサービスの提供を通じて弁護士法の掲げる理念を実現するというミッションを掲げている。

 現在、日本には全国で4万4101人の弁護士がいるものの、その半分が東京にいるという。そして、栃木県には237人、158の事務所しかいない。さらには、弁護士事務所のうち、61.6%が1人事務所で、17.5%が2人事務所。つまり、約8割が零細事務所で、組織化が進んでいない業界といえる。

日本の弁護士事務所の8割は1~2人体制となっている

 そんな中、宇都宮東法律事務所は2015年の設立当初から弁護士2人、事務局2人の4人体制でスタートし、現在は24人と順調に成長している。扱う案件数もどんどん増え、2022年の実績は509件になった。

 法律業界はデジタル後進業界と言われており、裁判所とのやり取りはFAXで、書面も紙でやり取りしている。裁判ごとに大きなファイルを作成し、やり取りする書面をファイリングしているという。

 宇都宮東法律事務所でも、物理的な紙のファイルがないと仕事ができないため、ファイルの取り合いが発生していた。書庫からファイルを探し出すにも手間がかかり、外出先から仕事の内容を確認することもできない。字の汚い人が書いた書類だと、内容も読めないという事態も起きていた。

書類のやり取りは紙が基本だったという

 電話連絡帳もアナログで、1件1件ノートに手書きしていた。業界では当たり前の手法だったが、同じ人からいつ連絡が来たのかがわからないという課題があった。過去の電話履歴をチェックする場合、何十冊もの電話連絡帳を見る必要があり、情報をまとめるのが大変だったという。

 事務所にNAS(Network Attached Storage)を導入し、Excelファイルで情報を管理する試みも行ったが、結局は事務所に来ないと仕事ができないという課題は解決できなかった。

以前は電話連絡帳と言うノートに電話の記録を手書きしていた

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