ワークフロー、RPAの専門ベンダーが語る業務DXの勘所
コア業務に集中するためのワークフローとRPA エイトレッドとユーザックがセミナー
提供: ユーザックシステム
RPAで自動化する業務はどんなものが向いているか
続いて、ユーザックシステム 執行役員 マーケティング本部長の大崎豊氏が登壇し、「RPAで自動化できるノンコア業務と自動化による成果」と題して講演した。
同社の創業は1971年と古く、国内IT企業の老舗である。現在はRPAパッケージの開発販売をはじめ、物流、帳票、受発注システムの開発も行っている。同社製品の累計ユーザー企業は約3200社、うちRPAは約20年前から提供し、現在まで約1200社が導入している。
同社は、企業の発注、受注、検品、出荷などの各業務プロセスをデジタル化、自動化するシステムを長年にわたり開発している。また、これら基幹業務の自動連携やPCで行う作業の自動化について、RPAとカスタマーサクセスによる伴走支援を提供している。
RPAは、PC使って行なう定型業務をデジタルレイバー(労働者)として自動的に処理するソフトウェアロボットのことである。RPAの導入によって、コスト削減をはじめ人手不足の解消、長時間労働の是正、多様な働き方の推進などに効果がある。
RPAによる自動処理でヒューマンエラーが削減され、業務精度も向上する。さらに、単純作業からの解放によって社員は付加価値の高い業務に集中することができ、やりがいのある仕事によってモチベーションが向上し、離職防止にもつながる。
小さな業務も積み重ねれば大きな自動化に
RPAで自動化できる業務は幅広く、入力作業、検索や条件によるデータ抽出、Web情報の収集、システム連携、ファイル作成・変換やメールの送信など、日々の業務で行っている作業のかなりの部分を自動化できる。「お客さまから何を自動化すればいいかわからないと言われるときに、こうした作業の一覧を示している」(大崎氏)
経理財務、人事、総務から営業、マーケティングまで、さまざまな企業内の部門の中には上記の業務が存在する。大崎氏は、「単純作業は必ず存在する。コピペの連続など繰り返し作業、ミスが許されない基幹業務連携、締切時間が決まっている業務などはRPAの得意分野だ」と話す。
RPAの導入プロセスは、業務分析と棚卸し、ツール選定、トライアル、RPA開発と本稼働、効果検証の5段階のプロセスを踏んで取り組むことが重要だと大崎氏は話す。「当社のカスタマーサクセス部門はお客さまと寄り添って伴走支援するサービスを提供している。小規模な組織の場合有効だ」
RPAによって、時間的な削減だけでなく、人的リソースの再配置により高付加価値な業務に集中できるようになるなど、多くの成果が得られる。企業規模や業務により、削減できる時間は変わるため、過去の事例を参考にするとわかりやすい。「例えばこの事例は、自動化の影響範囲が大きい2つの業務にRPAを活用し、月間100時間の削減につながった。一方、1つ1つの業務は小さくても、積み上げれば大きな効果が得られる場合もある。40もの細かい業務の自動化を積み重ね、トータルで大きな成果を挙げたケースも存在する」(大崎氏)
同社が開発、販売するRPAの「Autoジョブ名人」は、国産の老舗RPAとして20年の実績、延べ5700本の導入件数を持っている。「同じ企業が部門を超えて追加導入して、複数のAutoジョブ名人を購入している企業も多い。これは信頼の証だと思っている」(大崎氏)
業務DXの解決策を両社が語り合う
最後に、エイトレッド、ユーザックシステムの両社が参加するパネルディスカッションが行われた。まず、生産性が低い業務をコア業務に転換するために、何が必要かを両社に聞いた。
黒田氏(エイトレッド)は「まず、その業務が事業の推進力になっているかを考えることが大事。次に効率を上げるために何をするかを考え、最後に効果を検証する。そうすることが、自分の業務をコア業務に近づけることにつながる」と話す。
大崎氏(ユーザックシステム)は、個人が意識を変えることが重要だと話す。「自動化で仕事が変わるという意識を持つお客さまは少ない。そこに気づいていただくのがわれわれの役割だと思っている。また、業務の後工程を意識した部署間の連携、システム間の連携も重要だ」
エイトレッドが行った企業調査では、「負担が大きい業務」としてデータ入力、社内書類の作成などが上位に来ている。
黒田氏は「この結果は、単純作業だから負担が大きいと言っているのではなく、他にすべきことがあり、そのために削減したいこととしてこれらの業務を取り上げていると読める。これはうれしいこと」と語る。
大崎氏も同意し、「これらは、やらなければいけないが量、数が増えてくると負担になる作業。当社自身も同じ課題を持っている」と話す。
では、課題を解決するために、何をすればいいか。同調査では、「企業(自社)に期待すること」として、適切なシステムの導入による業務効率化や自動化、業務プロセス見直し、属人化の解消などが上位に入った。
この結果を大崎氏は「DXで業務の課題を解決できるという認識が、この1、2年で企業の中に広がっている。このアンケート結果を見ても、企業が自分たちで何とかしなければいけないという気運の高まりを感じる」と評価する。
黒田氏は、「社員から会社へ、業務が負担だからシステムを入れてほしいと上申しても、簡単にOKにならないだろう。そこで、『コア業務に集中するために業務を効率化が必要で、そのためのシステムを入れたい』という話にすれば、具体的な検討に進むことができるのではないか」とアドバイスする。
最後に、少人数組織で最大の貢献を実現する業務DXに必要なものを、両社に聞いた。
黒田氏は、「小さな組織は1人で業務を兼任するケースが多い。だからこそ、情報を一元管理して業務連携を可能にすることで、意志決定が早くなり、大きな効果を発揮することができる」と、システムの導入を提案する。
また大崎氏は「少人数の企業からは、社内にシステムを操るスキルがないという声が多い。そんなケースで使える国の『リスキリング助成金』制度がある。当社は、この助成金を利用した教育パッケージを近日リリースする予定なので、ぜひ検討してほしい」と語った。
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