結局のところは「地道な努力」か
もうひとつ、ソフトバンクにあって、NTTドコモにないのが「寄せ集め」という歴史だろう。
ソフトバンクはボーダフォンを買収、さらにウィルコムを救済したり、イー・モバイルを傘下に収めてきた。
ボーダフォン時代、基地局の数は数万程度だったが、PHSのウィルコムは20万近い基地局を展開しており、ソフトバンクはこの「立地」を手にしたのが大きかった。
またウィルコムは次世代PHSを準備していたのだが、これがいつの間にか、TD-LTEと呼ばれるデータ通信に特化した規格に変わっていた。2.5GHzでデータ通信に特化したTD-LTEを展開できたことも、ソフトバンクのネットワーク安定性に寄与しているようだ。
また、イー・モバイルが国際的に普及している1.7GHz帯を持っていたのも大きかった。
ソフトバンクがイー・モバイルの親会社であるイー・アクセスを買収しようとした背景にあるのは、当時、ライバルであるKDDIがiPhoneを導入し、ソフトバンクでは提供していなかったテザリングを始めようとしていたからに他ならない。
ソフトバンクのネットワークはひっ迫しており、大量のデータが流れるテザリングは導入したくでもできない状態であった。しかし、KDDIがテザリングを始めると言いだし、焦った孫正義社長(当時)は、イー・モバイルをサクッと買収。テザリングを実現し、ユーザーの流出を食い止めたのだった。
iPhoneが普及し、ネットワークのトラフィックが増える度に、上手いことライバルを救済、買収することで、ソフトバンクのネットワークは強くなっていった。
ただ、関和氏は「(ネットワーク品質向上には)飛び道具はなく、地道に基地局を設置して対策していくしかない」とも語る。
ソフトバンクに限った話ではないが、ネットワーク品質を維持、向上させるには、日々の地道な努力が必要というわけだ。

この連載の記事
-
第263回
トピックス
「アクセシビリティは“人権”」アップルが40年間続ける取り組みとは -
第262回
トピックス
ソフトバンクとKDDIが“空の救助網” 雪山遭難、ドローンで発見 -
第261回
トピックス
スマホ5G“ミリ波”肩透かし 6Gは“センチメートル波”が鍵に -
第260回
トピックス
ドコモ苦戦 携帯3社、“値上げ”で明暗 -
第259回
トピックス
KDDI、通信品質で再び首位に ドコモとソフトバンクが不満「あの評価基準はおかしい」 -
第258回
トピックス
アドビ、AIで若年層開拓 “映える”画像を作りやすく -
第257回
トピックス
ドコモ経由の“NISAデビュー”増える マネックスか、SBIか、悩ましい選択に -
第256回
トピックス
KDDIドローン事業、9年目で軌道に乗る兆し 無人AIポート運用に成功 -
第255回
トピックス
楽天モバイル“値上げしない宣言”に他社が苦言 「自分たちでネットワークを構築しないくせに」 -
第254回
トピックス
クアルコム「Snapdragon」名称迷走 PC市場での認知施策が課題に -
第253回
iPhone
アップル新型「iPhone」全部比べた オススメはこれ - この連載の一覧へ











