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都市の形で問う「PlaGuessr」が優勝! 建造物との恋愛やバトルなどハイレベルな作品が爆誕したハッカソン

「PLATEAU Hack Challenge 2023 in Tokyo」レポート

特集
Project PLATEAU by MLIT

提供: PLATEAU/国土交通省

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3DXトイレ(Ex) (チーム「台風は夏の思い出」)

 トイレ情報を3D都市モデル上で可視化することで、外出中にトイレを探したり、トイレの空きを待ったりするストレスを解消する、「3DXトイレ(Ex)」。

 参考資料
 「3DXトイレ(Ex)」

3DXトイレ(Ex)

 トイレの側に焦熱センサとドアの開閉をチェックするデバイスを設置することでトイレの空き情報を取得し、空いていれば緑、誰かが入っていれば赤として3D空間上に表示する。ユーザーはその情報を参照してトイレに行くことができる。また、トイレにいる人に向け「早く出て」というアクションを送ることもできる。

チーム「台風は夏の思い出」

 石丸氏から、建物の中でトイレを正確にマッピングする方法について質問があり、現状は高さ情報と延床面積から必要なトイレの数を算出しているが、将来的にはBIMモデルとの連携を考えているとのこと。石丸氏は、センサーの情報の取得はIoTのソリューションとして容易に想像できるが、逆に実世界に対して関与する部分、デジタルとのインタラクションがある点が面白いと述べた。

アイデアが冴えたPLATEAUハッカソン

 年々、技術力、実装力の向上は目覚ましいものがあるが、今回、特に感じられるのはさまざまな分野・方面へのアイデアの広がりだ。メンターとして2日間参加していた星野裕之氏(otuA Inc.)は、技術レベルとアイデアという意味でも非常にバランスがよかったと語った。

 作る側からの視点で、星野氏、そして簗瀬洋平氏(ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン)が注目作品として挙げていたのが、ゲームのレベルデザインにLODを用いているなどゲームにおけるPLATEAU活用の可能性を感じさせる「PlaGuesser」だ。簗瀬氏は、「PLATEAUゲームジャム」としてPLATEAU活用のイベントを行うと、また異なる属性の参加者が加わっておもしろいのではないかと述べた。

otuA Inc. 星野裕之氏

ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社 簗瀬洋平氏

 また、マイケル氏は「STREET GOLF」、「ミニチュア観光名所バトルAR」を気になった作品として挙げた。もちろん、他のいずれの作品も2日間で作ったとは思えないと称賛した。

デジタルハリウッド大学 准教授 マイケル ブランセ氏

 今回、生成AIやLLMなど、新たな、そして幅広い知識を取り入れたハックが行われていたことも着目すべきだろう。於保氏は、総評として次のように述べた。

「どのチームもとても面白い発想と高い完成度で、率直な感想はすごいなというところです。プロダクトのバリエーションも非常に広くて楽しめました。特に、ゲームからハードウェア、IoT系が2つもあった点は驚きです。『PLATEAUデータによるLoRa通信機最適配置システム』は、LoRa自体の面白さもありPLATEAUの用途として非常に面白いと思いました。今回、特に印象的だったのが、みなさん、生成AIをよく使っていたこと。サービスに組み込む方も多かったですし、コード書くときに手伝ってもらっている人が多くて、ひとつの変化なのだと思いました」

株式会社ホロラボ 於保俊氏

 IoT系の作品にはメンターとして参加した藤原氏(日立製作所)も反応していた。ハードウェアデバイスと組み合わせて実空間と連携できるという点で実践的で非常に面白いと、気になった作品としてPLATEAUデータによる「LoRa通信機最適配置システム」、「3DXトイレ(Ex)」を挙げた。

株式会社日立製作所 藤原貴之氏

 審査員の石丸氏は「CityGML3.0」のリリースにもふれ、次のように講評を述べた。

「CityGMLの属性情報を使っているチームも多く、個人的に非常にうれしかったです。特に、CityGML賞とさせていただいた『不動産景観エージェントAI』と『3Dxトイレ(Ex)』。これからCityGMLを使ってどんどん拡張していってほしいです。CityGMLの仕様も10年ぶりにバージョンアップして3.0が発行され、PLATEAUの都市も増えていくと思います。こうしたデータを活用して、新しいアプリケーション、新しい世界を創っていってください。世界最先端の活動ですので、ぜひ継続してもらいたいです」

OGC CityGML仕様策定WG 副議長 石丸伸裕氏

 また、主にGIS分野のメンターとして参加していた久納敏矢氏(MIERUNE)は、気になった作品として、QGISを活用していた河野研究所の作品を挙げた。ビジュアライゼーションへの活用という点もうれしかったと述べている。

株式会社MIERUNE 久納敏矢氏

 そして、今回のハッカソンでも多くのチームが活用していたPLATEAU SDKだが、その開発者としてメンターとしてオンラインで参加していた鈴木智貴氏(シナスタジア)は、今回、さまざまな作品を通して、自分が普段見ているモデルの見え方が大きく変わる刺激的な体験だったと感想を寄せてくれた。

 内山氏は、今回の「PLATEAU Hack Challenge 2023 in Tokyo」を次のように振り返った。

「全般的に、いずれも素晴らしかったです。技術力も上がっているし、PLATEAUを扱うナレッジやツールといったものがどんどん増えていっているので、こういったハイレベルな作品が生まれているのではないかなと思います。ぜひ、みなさん、ここで培った知識や仲間のネットワークをこのあとも使っていただいて、事業を行うもよし、会社に持って帰ってプロジェクトを立ち上げるもよし。継続してPLATEAUを触っていってもらいたいと思います。」

国土交通省 総合政策局/都市局 IT戦略企画調整官 内山裕弥氏

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