3D都市モデルを活用して子育て支援、避難支援、聖地巡礼、婚活!? 多彩なアイデアが登場した女子大PLATEAUブートキャンプ
「Project PLATEAU ブートキャンプ for Women’s University Students 2023」レポート
通学路をシミュレーションする「Safe Steps Kids!」(最優秀賞)
最優秀賞を受賞したのは、子育て世代を支援するサービス「Safe Steps Kids!」(チーム「Chestnuts」)だ。仕事をしながらの子育てとなる共働き家庭にとって、子ども一人の登下校は大きな不安だろう。通学路の状況確認として、安全に行き来できるルートかどうか、実際に通学路を歩いて確かめることになる。
そこで、3D都市モデルを使って、屋内で子どもと一緒に確認ができる通学路シミュレーションを考えた。もちろん、疑似体験による通学の練習ができたり、通学に伴うリスクが理解できるようゲーム性を持たせる、としている。
「Figma」で作成したプロトタイプによるアプリの概要説明では、若い世代の親が使用しやすいスタイリッシュなデザイン、また一歩一歩成長していくことがイメージできるよう「階段」をモチーフに取り入れるなどのこだわりも語られた。また、「Re:Earth」に豊島区のデータを読み込んだシミュレーションでは、過去に事故が起きた場所、子ども110番の場所がわかりやすく表示できることが示された。
データに関しても、事故のデータのほか日照の情報や災害情報などを使って、条件に合わせたコース選択をできるようにしたいと述べた。そして、このサービスを3D都市モデルで提供する価値について、3つの点を挙げる。
・視覚性:事故、犯罪、熱中症警戒箇所、子ども110番などを可視化できる
・再現性:実際の交通ルールに従ってシミュレーションができる
・双方向性:シミュレーションによって事故や犯罪から子どもを守る
今後の展望として、小中学校の交通安全授業、防犯対策の授業への活用など学校機関への導入が考えられるとする。さらに、GPSなど位置情報を使った見守り機能も搭載したいと意欲を述べた。
kula氏からは、アプリのモックが上から俯瞰したシミュレーションとなっているため、子どもが自分で歩いたという感覚が持てるのかという指摘があった。この点は、「Re:Earth」のペデストリアンビューを使ってみたものの、画質やテクスチャなどのビジュアライズの際に建物がよくわからなかったため、俯瞰のシミュレーションとなったと説明があった。
内山氏からは、実装に近いアイデアではないかというコメントがあった。PLATEAUの2023年度のユースケースでも、まさにこの手のアプリを作ろうと開発が進んでいるという。もっと深掘りしてユーザーが何を知りたいのかという点を深掘りするとよいソリューションになると述べた。
同作品は、3つの観点(3D都市モデルの活用、アイデアの独創性、プレゼンの完成度)で高い評価を得たことが最優秀賞受賞の理由となった。