世間ではあらためてHDDのドリルでの破壊が話題になっているようですが、では実際、どのようにしたらドリルで確実にHDDを破壊できるのでしょうか? そこは筆者、ドリル北村にお任せください。確実に破壊する方法をレクチャーしましょう。
HDDの破壊には、ドリルで穴を開ける穿孔破壊のほか、打撃衝撃による粉砕破壊、磁気を照射する磁気消去という3つの方法があります。なかでも一番簡単なのが穿孔破壊です。
電動ドリルは、金属を貫通する必要があるので5N・m以上のトルクがあるものが望ましく、ドリルビット(替芯)は鉄工用が必要です。筆者はカインズのACドリルドライバー「KT-01」(3280円)と、直径6mmの鉄工用ドリルビット(2本で578円)を使用しました。
単純にドリルでHDDに穴を開ければ破壊はできますが、穴を開ける場所を間違えるとデータの復元ができてしまう可能性があります。データの復元を阻止するためには、確実に破壊しなければならないポイントを押さえておく必要があります。以下に破壊するべきポイントを並べます。
■破壊ポイントその1 HDDヘッド
データの読み書きをする部品です。折り曲げるなどすればデータを読み込めなくなるので破壊しておきたい場所です。ただし、ヘッドを交換すれば修理できてしまうので、これだけでは十分ではありません。
■破壊ポイントその2 基板
動作を制御する基板を破壊することでもHDDは動かなくなります。近年のHDDは基板を交換しただけでは、ファームウェアや個体番号が違うなどのエラーで動作しないため、基板の破壊は一定の効果があります。ただし、20年以上前に製造されたHDDは基板を交換すれば動作してしまうので、やはりこれも確実ではありません。なお、SSDとUSBメモリーは、基板ごと搭載チップに穴を開ければ破壊できます。
■破壊ポイントその3 コネクター
コネクターを折り曲げてケーブルを差し込めなくすることで、読み取りを困難にします。コネクターを交換すれば動作するのですが、心理的に復元を諦めさせる効果が期待できます。
■破壊ポイントその4 プラッター
データは鏡のような円盤(プラッター)に記録されています。この急所であるプラッターを破壊すればデータはほぼ確実に失われます。プラッターはガラス製とアルミ製があり、ガラス製はハンマーで叩けば簡単に砕けます。アルミ製はそうはいきませんので、穴を開ける、傷をつける、曲げるなど、あらゆる方法で痛めつける必要があります。
次に、破壊できそうで破壊できない、やってはいけない例を紹介します。
■やってはいけない破壊方法 水没
水没自体にデータを破壊する効果はありません。乾燥させれば動作する可能性が高いです。水没させればHDDを壊せるわけではなく、金属面に錆を発生させることで動作不良や読み込みエラーを狙うのが目的です。
■やってはいけない破壊方法 電子レンジでチン
ドラマや映画で見られる破壊方法ですが、まったくおすすめできません。家庭用電子レンジで発生する熱と電磁波程度では、HDDを破壊できません。むしろ火災の危険性が高まります。
■ドリルを持っていないだと?
ならばショップのHDD破壊サービスを利用しよう
家にドリルがない、あるいは確実に破壊する自信がない人は、ショップのHDD破壊サービスを利用するといいでしょう。ビックカメラとソフマップでは、サポートサービスカウンターのある店舗で1台1500円で破壊できます。また、PCコンフルでは無料でHDDを破壊してもらえます(破壊した機器を持ち帰る場合は別途500円かかります)。
ほかにも、秋葉原に行ける人は東京ラジオデパートにある秋葉原最終処分場に持ち込むと、1台100円で破壊してもらえます。
渡したHDDを破壊せずに中古市場で売り飛ばす悪質な手口もありますので、破壊サービスを利用する場合は持ち主の目の前で破壊してくれるところが確実です(上記店舗はどれも目の前で破壊してくれます)。
※お詫びと訂正:記事初出時、HDD破壊サービスの価格に誤りがありました。記事を訂正してお詫びします。(2023年9月20日)
■HDD破壊はドリルが簡単で確実!
一家に一台ドリルを常備しよう
ドリルでHDDを破壊というと、とんでもないことをしているように感じる人がいるかもしれませんが、実は簡単かつ確実にデータを削除する方法なのです。プラッター(と基板)に穴を開けるためには、トランプの6のカードと同じ位置に穴を開けるのがベストです。かつて某議員は、これを実践したとみて間違いないでしょう。
ちなみに私の名前は、単に電動ドリルが好きなだけで、HDDを破壊して付いた異名ではありませんのであしからず。
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