首都高でのローカル5G分散型アンテナシステムを用いた実証実験結果について
東芝インフラシステムズ株式会社
~ローカル5G DASは12月から出荷~
東芝インフラシステムズ株式会社は、総務省が公募を行った令和4年度「課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」(以下本実証)に、首都高速道路株式会社を代表機関とするコンソーシアムメンバーとして参加し、線状エリアへの分散型アンテナシステム(DAS(Distributed Antenna System))適用の無線エリア設計手法の確立等の成果を得られました。 なお、本実証に使用したローカル5G DASは、今年12月の出荷を予定しています。
当社は、総務省が公募を行った令和4年度「課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」(以下本実証)に、首都高速道路株式会社を代表機関とするコンソーシアムメンバーとして参加し、線状エリアへの分散型アンテナシステム(DAS(Distributed Antenna System))適用の無線エリア設計手法の確立等の成果を得られました。
なお、本実証に使用したローカル5G DASは、今年12月の出荷を予定しています。
本実証は、2022年10月から2023年2月の約5ヶ月にわたり、首都高速道路上にてローカル5Gを活用して行われローカル5Gの電波伝搬等に関する技術的検討を行う「技術実証」と、ローカル5Gを活用したソリューションを創出することを目的とした「課題実証」から構成されました。
1つ目の技術実証では、当社独自の「DAS」の有効性を実証しました。ローカル5Gは制度上、他者土地へ電波の漏洩を抑制する必要があります。DASは基地局からの信号を複数のDAS子機へ分散させることで細やかな無線エリア構築を実現する技術であり、本実証を通じて首都高速道路上のカーブ区間において他者土地への電波漏洩を抑え、線状エリアへのDAS適用の無線エリア設計手法を確立しました。またDAS設置エリアでの電波測定結果から、屋外での複数DAS子機利用において無線干渉を抑制し、広いカバーエリア内でシームレス且つ安定した通信品質を確認しました。
2つ目の課題実証では、スマートグラスの点検業務支援システムを構築し、ローカル5Gの高速大容量通信の特長を活かした、点検現場での大容量の手順書ダウンロードと映像・音声の双方向通信による作業効率化を検証しました。本内容は、線状エリアという特殊な環境という点と、現場点検員の作業を遠隔支援で業務効率化するという点で新規性があります。実証の結果、設計書、手順書等の関係書類の持ち運びを不要とし作業負荷を軽減すると共に、音声認識を用いた作業結果自動入力により、1回あたり1時間要している作業報告書作成の効率化が期待できることがわかりました。
また、4K映像のリアルタイム共有システムを構築し、現場作業者や走行する道路パトロール車から高精細な4K映像の現場状況をリアルタイム伝送することで、災害時における道路欠損や設備損傷状況の迅速な現地状況把握に資するかの検証を行いました。本内容は線状エリアという特殊な環境という点と、事故発生時等の現場状況把握を対象としている点で新規性があります。実証の結果、交通管制室のオペレータや現場作業者からは4K映像の視認性や高精細映像の情報量の多さを評価いただき、交通管制室のオペレータは特殊車両の出動有無の判断がしやすくなり、応援要請を受けた現場作業者は的確な準備を行うことができることがわかりました。昨今、道路や河川、電力プラントなどの重要なインフラ施設では、設備の効率的且つ安全な維持管理が求められており、ローカル5Gは次世代通信として、高速大容量・低遅延・多接続という特徴を活用した維持管理の自動化・省力化の実現が期待されています。
今後、当社は本実証での技術蓄積を基に、DAS活用による歪曲した線状エリアや複雑な構造物環境での効率的且つ柔軟なエリアカバーの実現と、スマートグラスや高精細映像共有システムによる維持管理業務の効率化・省力化の実現に貢献してまいります。
*DAS:基地局から届く電波を光ケーブルによって分配する事で通信できるエリアを拡張するシステム。ローカル5G基地局の無線信号を受け取る親機とアンテナを接続する子機、および親機子機間の信号を分配する中継器で構成されます。子機相互で同期タイミングをあわせており、子機間の無線干渉が生じないため、無線エリア設計を容易にします。
東芝インフラシステムズ株式会社ローカル5Gホームページ
https://www.global.toshiba/jp/products-solutions/social/telecommunication/local5g.html