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日本法人新社長のジョン・ロボトム氏も出席、日本市場での“最初のミッション”を語る

AIアクセラレータも内蔵、AMDがビジネスPC向け「Ryzen PRO」最新版を紹介

2023年09月13日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本AMDは2023年9月12日、ビジネスPC向けプロセッサ「AMD Ryzen PRO」の最新状況を紹介するメディアラウンドテーブルを開催した。米本社から法人向けクライアント事業担当ディレクターのジャスティン・ガルトン氏が出席し、AIアクセラレータ「Ryzen AI」の統合など、最新のRyzen PROの特徴を紹介した。

 また、今年8月に日本AMD社長に就任したジョン・ロボトム氏も出席し、日本市場における今後の法人向けビジネスの方向性を説明した。

Zen 4コア、RDNA 3(内蔵グラフィックス)、Ryzen AI(AIアクセラレータ)を搭載するビジネスPC向け最新プロセッサ「AMD Ryzen PRO 7040」を紹介

日本AMD 代表取締役社長/コーポレートVPのジョン・ロボトム(Jon Robottom)氏、米AMD Commercial Client Business担当ディレクターのジャスティン・ガルトン(Justin Galton)氏

ロボトム氏:現在のAMDを「もっと知ってもらうこと」がミッション

 前職であるレノボ・エンタープライズ・ソリューションズの社長など、IT業界で23年間のキャリアを持つロボトム氏は、「ずっとAMDを見てきたが、最近のAMDはけっこう変化してきている」と切り出した。

 近年、AMDの半導体が採用される領域はクライアントPCだけではなくなっている。クラウドやエンタープライズ、HPCを支えるサーバー領域、5G/テレコムのインフラ領域、GPU製品も含むAIインフラ領域、さらには「PlayStation」「Xbox」といったゲーム専用機、テスラ製電気自動車のインフォテイメントシステムといったものにまで拡大している。

 こうした幅広い領域でのビジネスがそれぞれに成長し、昨年度(2022年度)、AMDは236億ドルという過去最高の売上高を記録した。これは前年比44%増という数字だ。ロボトム氏は、まずはこうした変化を顧客に「知ってもらう」ことが大切だと語る。

 「AMDとしてこうしたものをあまり出していない(アピールしていない)が、わたしの責任として今後、日本のお客様やマーケットにももう少し知っていただきたい、そういう思いがひとつ強くある」(ロボトム氏)

 ロボトム氏はさらに、2020年度、2021年度、2022年度のAMDを比較する図も示した。スパコンランキング「Top 500」にランクインしたAMDベースのスパコンの数、時価総額、グローバルの従業員数、そしてRyzen PROを搭載したビジネスPC/ワークステーションの機種数と、いずれも大きく伸びている。

 「コマーシャルクライアントプラットフォーム(法人向けクライアント)は、2年前には60プラットフォームだったものが、今では2倍近くの100以上になっている」「日本のマーケットでAMDのテクノロジーを推進し、良いプロダクト、良いテクノロジーを提供して、日本のデジタルトランスフォーメーションを加速させていく。これを継続して努力していきたい」(ロボトム氏)

2020年から2022年にかけてのAMDの“加速”。今回のテーマであるRyzen PRO搭載の機種数(プラットフォーム数)も100を超える数になった

Zen4コア+RDNA 3+Ryzen AIの「AMD Ryzen PRO 7040」を紹介

 AMDの法人向けクライアント事業責任者であるガルトン氏は、AMDが展開するビジネスクライアントソリューションの幅広さから紹介した。

 AMDではノートPCやデスクトップPCだけでなく、ワークステーション、Chromebookにも対応したプロセッサ群をラインアップしており、それによって現在の顧客企業が抱える課題、たとえば「リモートワークへの対応」「PC更新サイクルの不透明さ」「電力効率の向上/省電力化」「IT投資のROI向上」といった課題を解消できるとする。

 ビジネスPC向けプロセッサ「AMD Ryzen PRO 7040」は、4nmプロセスの「Zen4」コアに加えて、内蔵グラフィックスの「RDNA 3」、そしてAIアクセラレータの「Ryzen AI」を搭載している。前世代のRyzen PRO 6000シリーズと比較して、マルチタスク性能は最大23%、グラフィックス性能は最大19%、それぞれ向上しているという。

Ryzen PRO 7040シリーズ(中央)と6000シリーズ(左)との比較

 さらにガルトン氏は、インテルの「Core-i7」やアップルの「M2 Pro」といった競合他社のプロセッサとの比較テスト結果も披露した。一例として、ノートPCの内蔵バッテリで「Microsoft Teams」の連続稼働時間をテストしたものでは、バッテリサイズが他のシステムより小さいにもかかわらず、より長い時間使い続けられたという。

 「AMD(Ryzen PRO)ではハイパフォーマンスのコアで低消費電力を実現しており、(競合他社のような)性能と消費電力のトレードオフがない。すでに一部の国では一定の電力効率を満たすことが要件になっており、AMDへの移行が進んでいる。今年第4四半期にはオンラインで“エネルギーカリキュレーター”を提供する予定であり、AMDと競合他社の製品の電力効率を比較し、各国の規制を満たせるか、サステナビリティの面からどうかといったことを計算できる」(ガルトン氏)

「Microsoft Teams」使用時のバッテリ駆動時間テスト

 またRyzen PROは、ビジネスPC向けの管理/セキュリティ機構である「AMD PRO」も搭載しており、マイクロソフトとの協業によってハードウェア/OSレイヤでの多層セキュリティを実現していることをアピールした。

ハードウェアベースのビジネスPC向け管理/セキュリティ機構「AMD PRO」も搭載。Windows OSとの協調により多層セキュリティを実現している

CPU統合AIアクセラレータ「Ryzen AI」で実現する“クライアントAI”

 現在のコンピューティング領域で外せない話題が「AI」だ。ガルトン氏は「世界初のx86プロセッサ統合AIエンジン」として、Ryzen AIを紹介した。

Ryzen PRO 7040に搭載されたAIアクセラレータ「Ryzen AI」

 AMDでは、「クラウドAI」と「クライアントAI」を組み合わせた「ハイブリッドAI」アプローチを提唱している。大量の処理リソースが必要な生成AIの大規模言語モデル(LLM)などはクラウド側で処理する一方で、用途によってはクライアント側でもAI処理を行う仕組みが必要である、という考えだ。

 「なぜクライアント側にもAI処理の能力が必要なのか。AIアプリケーションを開発する際に、ローカルで(クライアント上で)データを処理することによるプライバシーやセキュリティの担保、あるいは高速なスピードと低いレイテンシが要件になることもあるからだ」(ガルトン氏)

将来的にはクラウドAI+クライアントAIの「ハイブリッドAI」アプローチが必要になると語る

 この「クライアントAI」を実現するのが、CPUに統合されたAI専用エンジン、つまりRyzen AIということになる。ちなみにガルトン氏は、Ryzen AIはアプリケーションの用途に応じて、AIの推論処理だけでなくトレーニング(学習)処理にも使われることになると説明した。

 すでにRyzen AIでは、マイクロソフトのWindows 11が搭載する「Windows Studio Effects」の処理ができるようになっている。これはPCカメラ映像に対して、背景をぼかしたり、人物が中央に映るようフレーミングを調整したり、カメラ位置の影響で“伏し目”に映っているものを正面に向かせるようなリアルタイム処理を、自動的に行ってくれるツールだ。

 「このユースケースはまだ始まりにすぎない。マイクロソフトやISVパートナーとも協力して、“AI on クライアント”でユーザー体験をより良いものにしていくさまざまなユースケースを、今後1年半をかけて発表していく計画だ」(ガルトン氏)

Windows 11の「Studio Effects」に対応済み。今後もさらに幅広いユースケースを発表していくと述べた

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