観光、資源循環、人材、為替リスクなどスタートアップが課題解決に導く「IVS2023 LAUNCHPAD KYOTO」
「IVS2023 LAUNCHPAD KYOTO」レポート
国内最大級のスタートアップカンファレンス「IVS2023 KYOTO」が、2023年6月28日から30日に京都市勧業館「みやこめっせ」で開催された。ピッチコンテスト「IVS2023 LAUNCHPAD KYOTO」では、約400社の応募の中から選ばれた国内外のスタートアップ14社が登壇。各社が6分間のプレゼンテーションで自社サービスをアピールした。
本記事では、決勝に進出した上位5社以外の9社のピッチを紹介する。
株式会社Stroly 、GPSと連動したデザインマップ「Stroly」
StrolyはGPSと連動したデザインマップ「Stroly」を展開している。イベント運営者は「イベントの魅力を十分に伝えられない」、「安全性を高めたいが、人流のコントロールが難しい」などの課題を抱えているという。
「Stroly」は地図の縮尺を調整して魅力的な場所を際立たせたり、地図上にイラストや音声などのコンテンツを配置したりすることで、来訪者の周遊を促進する。蓄積したデータをもとに、イベントごとに最適化したマップを作成することも可能だ。
イベント来場者はアプリをダウンロードする必要がなく、会場に設置されたQRコードを読み取るだけで、ChromeやSafari上にデザインマップを表示できる。実際にStrolyが本社を構える京都の祇園祭では、一方通行の場所を地図上に表示したり、催しごとの魅力をワンタップで表示したりすることで、祭りの安全性や魅力を高めることに貢献した。
台湾発スタートアップ Lypid、植物性脂肪技術「Lypid」を開発
Lypidは独自の植物性脂肪技術「Lypid」で、代替肉に脂肪感やジューシーさをもたらす台湾のスタートアップだ。植物性肉には味や香り、満足感を高める脂肪の要素が不足している。植物性肉に用いられる油の多くは液体で、動物生肉の油の満足感には及ばない。
Lypidは動物性脂肪の特性を持つ植物油脂「PhytoFat」を開発した。主成分はオリーブオイルやキャノーラ油などの植物性油脂のみだが、固形の油と同様の食感を実現する。200℃で熱しても液体化しないため、代替肉を調理しても脂肪感がなくならない。
また、イギリスの「World Food Innovation Awards 2023」において「Lypid」はイノベーション賞を受賞している。畜産は温室効果ガスの排出や水、穀物の大量消費などによる環境負荷が高い。Lypidはおいしくヘルシーで、サステイナブルな代替肉を実現するとしている。
レコテック株式会社、資源循環プラットフォーム「POOL」
レコテックは資源循環プラットフォーム「POOL」を展開している。世界ではサーキュラーエコノミーの実現を目指した動きが活発化しているが、メーカーがリサイクル資源を活用するにあたっては障壁があるという。リサイクルするには量や質、コスト、トレーサビリティなどの観点から均質的な資源(ごみ)を集める必要があるものの、現状の回収方法ではメーカーにとってコストが高くついてしまっている。
「POOL」はデータ連携によって回収インフラを構築し、分断されたサプライチェーンを循環型につなぎ直す。「POOL」には資源となるごみを出す企業やリサイクル工場、資源を活用したい企業などが登録されているため、どこにどれくらいの資源があるのかがマップに可視化される。
実際にCO2排出量を77%削減したり、廃プラスチックの処理コストを50%削減したりといった導入事例もある。今後は汚れたごみの循環のほか、ジェット燃料にするための廃油の会主、削減できたCO2排出量をカーボンクレジットに転換するためのブロックチェーン実装などに取り組むという。