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Stable Diffusion入門 from Thailand 第1回

Stable Diffusionで美少女画像を生成したい!!!!ので、22万のパソコン買っちゃった

2023年08月09日 07時00分更新

文● 田口和裕

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 生成イラストの盛り上がりが気にはなっていた。OpenAIの「DALL・E2」に始まり、「Midjourney」が流行、そして「Stable Diffusion」の登場で、ついに自宅のPCでもAIによる画像生成が可能になったことには本当に驚いた。

 なにせ、テキストだけの大規模言語モデルですら動かすためにはデータセンターに設置された大量のGPUをブン回すための膨大な運用コストが必要となる世界だ。

 もちろん試してみたい気持ちはあったのだが、少し調べただけでもかなり大量のハードルを越える必要があった。

Macでは基本動かない、NVIDIAマシンを探そう!!!

 大前提としてPCスキルの問題がある。筆者はITライターではあるがエンジニアではない。人より多くのウェブサービスに触れてきたという自負はあるが、ハードウェアにはからきし弱いのである。プログラム経験もゼロではないが、なんとか解読できるのはHTML、JavaScript、CSS、PHPくらい。なによりも最大のハードルは現在使用しているPCがMacだということだ。

MacBook ProにNVIDIAのグラボは載せられない Apple

 Stable Diffusionで画像を生成するには、NVIDIA製のグラフィックスボード、それもかなりハイスペックなものが推奨されている。推奨というよりも「それ以外では動かない」という方が正確だ。そしてMacにNVIDIA製品を接続することは基本的に不可能。とはいえ今さらWindowsのデスクトップ機買うのもなあ……とためらってしまった。

 いろいろ調べるとMacにThunderbolt3でeGPUをつなげてStable Diffusionを動かしている猛者も存在したが、自分にできるとは到底思えない。

 というわけで一旦は諦め、しばらくは有料版Midjourneyで遊んでいたのだが、最安値プランだと200回/月しか生成できないためすぐに終わってしまう。しょうがないのでChatGPT君と戯れる毎日だったのだが、今年になって気になる情報を目にした。「安価にもかかわらずAI画像生成できるグラフィックスボードがあるらしい」というものだ。

 具体的にはNVIDIAの「GeForce RTX 3060 12GB」だ。低価格ながらビデオメモリーが12GBあるおかげでAIイラストの「学習」も可能ということらしい。価格を調べてみると4〜5万円台と手頃な価格で出ているようだ。

NVIDIA GeForce RTX 3060

 AIイラストを生成するためのグラフィックスボードがそんな値段で買えるとは想像していなかった。最低でも10万円台は覚悟という世界だと思っていた。

 必要なのはグラフィックスボードだけではない。さっそくドスパラでこのカードを搭載したPCを調べてみると、なんと10万円台前半から出ているではないか!

 最低限のスペックでも勝手に30万円スタートくらいのイメージだったので、ここで大きく心が揺らいだ。

 最後の決め手となったのはPS4の調子が悪くなってきたことだ。ずっとPS5が買えるのを待っていたのだが、いざ買えるようになると「もしかしてゲーミングパソコンにしてSteamでゲームした方がよくね?」と思ってしまったのだ。

 「よし!心は決まった!」

NVIDIA GeForce RTX 3060搭載機を買うぞ!!!

 だが、そこにはさらに乗り越えるべき高いハードルがそびえ立っていたのだ、それは……筆者が住んでいるのが日本ではなくタイだということだ。

 もちろんタイにもパソコンショップはある。BTOパソコンも売っている。だが、、、、初めてのBTOパソコンを言葉の通じない国で購入するのはなかなかに勇気がいる。しかし、枚数を気にせず美少女を生成できるのであれば、これくらいのリスクは取るべきだ。

 いちおう日本から取り寄せる、もしくは一時帰国して日本で購入することも考えたのだが、関税(タイはかなり厳しく取られる)を考えると厳しい。なによりもう気持ちが盛り上がっちゃって明日にでもほしいのだ。

 というわけでバンコクのBTOショップのサイトでNVIDIA GeForce RTX 3060が搭載されたパソコンを探してみる。BTOではなくパーツを揃えて自作すればさらに安くなるのはわかっているが、今すぐにでも生成を開始したいので、そこで手間取るのは時間の無駄と考えたからだ。

 NVIDIA RTX 3060が搭載されたBTOパソコンは最安値で2万500バーツ(約8万2000円)ということになる。だがよく見るとここに落とし穴が。このマシンに搭載されているグラフィックスボードを確認すると「NVIDIA GeForce RTX 3060 GAMING OC 8G」となっている。そう、ビデオメモリーが8GBのモデルなのだ。

 調べるとビデオメモリーは8GBでも生成に関しては問題ないのだが、独自のモデルを作る「学習」まで対応するには最低12GBあった方がいいという。

 そこでビデオメモリー12GBのマシンを探すと2万2890バーツのモノがあった。それでもおよそ9万4000円で10万円を切っている。モニター、キーボード、マウスなどは使っていないものがあるので、実質これだけで生成AIスターターキットが完成するのだ。

 だが、ここでまた欲が出てきてしまった。せっかく買うんなら長く使える、もうちょっとスペックの高いものが欲しくなってきた(話題になった激重ゲーム「Cyberpunk 2077」をやってみたいという動機もある)。

 NVIDIA GeForce RTX 3060の上のモデルでAIイラストに適したビデオカードを調べると、「NVIDIA GeForce RTX 4070(9万円台)」「NVIDIA GeForce RTX 4070 Ti(12万円台)」そして民生機現行最速モデルの「NVIDIA GeForce RTX 4090(24万円台から)」となっている。NVIDIA GeForce RTX 4070なら無理すればいけるかも……。

当初の予算から2倍以上になっちゃったけど無事買えたぞ!!!!

 さっそくショップのサイトでNVIDIA GeForce RTX 4070搭載のパソコンを検索。CPUも最初はIntel Core i5だったのだが、先人からのアドバイスも参考に、最終的に選んだのはこのマシンだ。

CPU Core i7-13700F(2.1GHz) 16コア24スレッド
グラフィックス NVIDIA GeForce RTX 4070 12GB
メモリー 16GB DDR4 3200MHz
SSD 500GB(M.2)
電源 850W(80+GOLD)

 本当はメモリーやストレージももっと積みたかったのだが、グラフィックスボードとCPU以外は最低限にして足りなくなったら増設する方針にした。

 これで5万3990バーツ(約22万1100円)。当初の予定から2倍以上に膨れ上がったが、快適な生成ライフを送れるのであれば後悔はない。正直ちゃんと届くか一抹の不安はあったがエイヤと決済をした。

 届くのが待ち遠しすぎる!!!

 (つづく)

田口和裕(たぐちかずひろ)

 1969年生まれ。ウェブサイト制作会社から2003年に独立。雑誌、書籍、ウェブサイト等を中心に、ソーシャルメディア、クラウドサービス、スマートフォンなどのコンシューマー向け記事や、企業向けアプリケーションの導入事例といったエンタープライズ系記事など、IT全般を対象に幅広く執筆。2019年にはタイのチェンマイに本格移住。
 新刊:7月19日発売「ChatGPT快速仕事術」、好評発売中:https://amzn.to/3r6ASOv

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