2023年6月23日、オートメーション・エニウェア・ジャパンは、生成AIを活用した新製品として、ビジネスユーザー向け自動化アシスタントである「Automation Co-Pilot + Generative AI for Business Users」、さまざまなドキュメントを自動的に理解、抽出、要約する「Document Automation + Generative AI」、開発者向けの自動化アシスタントである「Automation Co-Pilot + Generative AI for Automators」の3製品を発表した。
オートメーション・エニウェア・ジャパンのカントリーマネージャーである由井希佳氏は、「自動化と生成AIの組み合わせによって、業務を人から引き継ぎ、判断だけを人に委ねることができる。あらゆるチームの生産性を加速させることができる」とした。
生成AIを用いてビジネスユーザーの生産性を拡大
Automation Co-Pilot + Generative AI for Business Usersは、生成AIを活用することで、パーソナルオートメーションアシスタントとしての機能を強化。ビジネスユーザーの生産的を拡大できるのが特徴だ。GPTにより、コンテンツの作成や要約、メールの送信、推薦文の提供まで、あらゆるシステムにおいて生成AIのユースケースを実行できるようになり、チームの生産性をさらに加速させることができるとしている。
Automation Co-Pilotでは、アプリケーションをカスタマイズすることなく、自動化を組み込むことができる機能を持つが、ここに、生成AIを加えることで、さまざまなアプリケーションから直接アクセスを可能にするほか、パーソナライズしたカスタマーサービスの実現の自動化や、圧倒的なスピードと効率化によって、オペレーションの変革を実現できるという。さらに、企業ごとにカスタマイズしたガードレールにより、AI機能を制限して、リスクを最小限に抑え、コンプライアンスやプライバシー、セキュリティを遵守することができるという。
Automation Co-Pilot + Generative AI for Business Usersの具体的な活用事例として、航空会社における飛行機の遅延に対する顧客対応をあげた。
コンタクトセンターでは、トラブルが発生した際に、遅延情報を確認し、顧客情報を確認し、調整などを行い、その内容や保証などについて顧客にメールを送信するといった一連の作業のために、CRMやERP、予約サイトなど、5つ以上のアプリケーションなどを画面上に常に表示しており、しかも、それぞれが連携されていないため、プロセスが複雑で、業務を送られる原因になっているという。
そこに、ChatGPTを活用することで、オペレータに必要な案件情報を準備し、手作業を削減。Salesforceにおいて、Automation Co-pilotを使用して、顧客の苦情に対する回答を自動生成して、顧客への返信メールも作成。オペレータは顧客の状況を考慮し、パラメータを調整して、メールの言い回しを最適な内容にして、オペレータの判断のもと、メールを顧客に送信することになる。
由井氏は、「これまでの仕組みでは対応に4時間近くかかっていたものが、Automation Co-Pilotと生成AIを組み合わせることで、5分で対応が完了する。さらに誠意を持った対応が可能になることから、サポートに対する満足度も高まり、会社の信頼度も高まる。オペレータにとっても、様々なシステムを立ち上げたり、操作の煩雑さをストレスに感じたりすることがなくなり、業務完了後の事務作業も削減できる。従業員体験も高度化できる」などと述べ、「Automation Co-Pilotは生成AIと親和性が高いソリューションであり、あらゆる業務に活用できる可能性がある」とした。
Automation Co-Pilot + Generative AI for Business Usersは、すでに提供を開始しているという。
非構造化文書を瞬時に理解し、要約することが可能に
Document Automation + Generative AIは、定型および純定型に対応したAI OCRであるDocument Automationに、生成AIを組み込んだものだ。これまでは、運送状や契約書などの非構造化文書の処理には、人が介在しなくてはならなかったが、生成AIを活用することで、非構造化文書を瞬時に理解し、要約することができるようになるという。また、Automation Success Platform上では、Google DocAIやMS Forms Recognizer、Gen AIモデルなどのAIソリューションをネイティブ統合しているため、これらを利用して、高速に、直感的なドキュメント処理を実現。ドキュメントを要約して、意思決定を加速することができるという。
対応できるドキュメントの種類が増えることで、より多くのデータを活用。Document Automationとの連携によって、データをプロセスワークフローにそのまま挿入することができ、他のシステムとの連携や変換が不要になるというメリットもあるとしている。
2023年後半から提供を開始する予定だ。
自動化プロセスを幅広い開発者に提供
Automation Co-Pilot + Generative AI for Automatorsは、高度な技術を持つ開発者から市民開発者に至るまで、自然言語を使って、自動化プロセスを構築できるソリューションとなる。たとえば、RPAのボット開発者が、自然言語によって、チャットで会話するだけで、希望するボットを開発することができるようになる。具体的には、自動化シナリオを、Automation Co-Pilotに伝えるだけで、アイデアの最適化およびカスタマイズした自動化フローに変換。自然言語を活用することで、55%の高速化が図れたという。
また、ユーザーアクセス制御と、コンプライアンスチェックを組み込んでいるため、企業独自のガバナンス要件を満たした適切な自動化を迅速に構築できる点も特徴となっている。2023年7月からプレビュー版を提供する。まずは英語版から提供し、その後、日本語版を提供する。クラウド版として提供するが、今後、オンプレミス版についても検討するという。
同社のAutomation Success Platformでは、すでに、OpenAIのGPT-4を活用できるようにしているほか、GoogleおよびAWSとも大規模言語モデルの活用に関する提携を発表。Vertex AIやAmazon Bedrockを通じて、自然言語を使用したボットの開発や、人が介在していたコンテンツの生成、大量のドキュメントからの情報抽出などを可能にするという。
さらに、Generative AIコミュニティバッジチャレンジの実施や、PathfinderコミュニティおよびGenerative AIショーケースを通じて、ユーザー間の情報共有なども進め、生成AIの活用を促進していくという。
その一方で由井氏は、「AIは強力なテクノロジーではあるが、意図しない結果をもたらすこともるある。AIの責任ある活用として、安全なモデル選択、AI使用に関するガードレールの設定、人が評価するヒューマン・イン・ザ・ループの実現、モデルのパフォーマンスを追跡しながら、潜在的な問題を可視化するモニタリングの4点が重要な取り組みになる」とも述べた。
マイクロソフトとのCopilotとの違いは?
オートメーション・エニウェアは、2003年に創業。2019年には業界初となるクラウドネイティブのRPA as s Serviceと呼ばれるプラットフォームを提供。クラウドベースのRPAでは45%の市場シェアを持ち、全世界で5000社以上が利用しているという。
由井氏は、「2017年から始まったRPAの盛り上がりはバックオフィスにおける単一タスクの自動化であったが、2021年以降は、フロントオフィスからバックオフィスまでをつなげ、エンドトゥエンドの様々な業務を自動化したり、人の判断も自動化したりといった動きが出てきた。昨今では、ここに生成AIを組み込むことで生産性を高めることが可能になっている。この動きを、デジタルワーカー2.0として進化させたい」と語る。
同社が次世代自動化プラットフォームと位置づける「Automation Success Platform」では、2022年にリリースしたAutomation Co-Pilotにより、複数のシステムにログインすることなく、業務をスムーズに行うことができるようにした。これにより、プロセスの発見、アナログ文書のデジタル化、業務の自動化、分析およびガバナンスを実現するほか、これらの成果を、組織全体に拡張することができるという。組織をまたがり、エンドトゥエンドで、プロセスのオーケストレーションを行なうProcess Composerを提供。さらに、20年間の知見を活用したPathfinderを、2023年から提供し、ベストプラクティスを提供できる環境を整えているという。
また、Automation Co-Pilotは、アシスタントとして、よく使うアプリケーションをシームレスに連携し、プロセスをキックすると、データの表示を行なったり、システムの更新などについても尋ねるだけで作業が行なえたりする点が特徴だという。由井氏は、「マイクロソフトのCopilotよりも、先に名称を使用したが、マイクロソフトでは、オフィスワーカー向けのコンテンツ生成が目的であるのに対して、Automation Co-Pilotでは、エンドトゥエンドのビジネスアプリケーションの自動化を目的にした生成AIの利用を目指している。その点が大きく異なる」と述べた。