アジアがWeb3、NFTのイノベーションを押し上げる 国内外のキーパーソンが議論
「Web3 Beyond Borders Tokyo(Web3BB Tokyo)」レポート
イーサリアムが目指す、成長し続ける「場」を皆で作る「Infinite Garden」
続いて、イーサリアム・ファウンデーションのTomo Saito氏と、堤隆道氏、イーサリアム・ジャパンの宇野雅晴氏、による「Ethereumの世界観 / 私たちは今どこにいてどこに向かっているんだろう?」と題したパネルディスカッションが行われた。
冒頭、イーサリアム・ファウンデーションのTomo氏は、イーサリアムについて「Protocol for human coordination.」と定義。人と人をつなぐプロトコルとして、地上には都市や森があるように、開拓されていって、その結果、優しい世界になっていくような成長する「場」としての機能に期待を寄せた。
イーサリアム・ジャパンの宇野氏は、ノンプロフィットのローカルコミュニティという立場で、「新しいものをもたらしてくれるもの」と定義する。知識はもちろんのこと、知的好奇心を満たしてくれるもので、ずっと調べていられる魅力があると語る。一言で言えば「趣味」だという。
ソフトウェアエンジニアの堤氏は、壮大な実験の場としてのイーサリアムというのがあるが、システムとしての側面だけでなく、コミュニティとしての側面も強調したいという。イーサリアムのコミュニティは、ダイバースでウェルカム、懐が深いが、ユートピアな面だけでなく、自分で調べて自己責任でやっていかなければならないという面も紹介された。
続いてイーサリアム・ファウンデーションのビジョンについて、「Infinite Garden」と定義。「勝利」を目的としていずれは終了する有限のゲームではなく、無限に続くゲームをプレイするようなエコシステムを目指していると紹介された。単純に勝利を目指すようなゲームではなく、庭の手入れをすることで庭が成長し続けるようなオープンワールドのゲームになぞらえた。
価値観としては、「Decentralized(分散性)」、「Open Source(オープンソース)」、「Sovereignty(ユーザー主権)」、「Privacy(プライバシー)」の4つを挙げ、それぞれのユーザーが、自己責任で、しかし匿名性を保ったまま、オープンソースにアクセスするなどのエコシステムに参加できる点が示された。
現実世界では、ユニセフやウクライナ支援などのグローバルな募金で活用したり、海外送金、農業保険、医療リサーチ、再生可能エネルギーなど、パブリップブロックチェーン上にデプロイされて使われているという。
今後については、もっと使いやすく、ユーザビリティを上げていったり、セキュリティやプライバシーの向上といったような改善を、ネットワークを動かし続けたまま安全に実施していくことを目指していると表明された。
そして宇野氏は、4月14日〜16日に開催された「イーサリアムハッカソン」を紹介。世界中から集まったハッカーたちが夜通し開発し続けたという。
これらイベントを主催したイーサリアム・ジャパンはローカルコミュニティに過ぎないが、こういったコミュニティが世界中にあるのがイーサリアムの凄さだという。
Tomo氏も「イーサリアムはすべての人に開かれており、ここに集まっているみなさんもすでにインフィニットガーデンを作っている。ぜひみなさん一緒にいい世界を作っていきましょう」と呼びかけ、ディスカッションが締め括られた。