業務を変えるkintoneユーザー事例 第181回
福岡で開催されたクラウドガーデンでのエンタープライズ向けセッション
ガバナンスは縛りではない 無法地帯を回避するための「攻めのための守り」
2023年06月16日 09時30分更新
どれくらい業務時間を削減できるのか申告し、効果が上がれば表彰する
萩澤:運用していく中でルールを柔軟に変更することで、現場部門がより使いやすいアプリを作れるようになりますね。ルールを作成した後は、実際にkintoneを社内に広げたり、教育するフェーズになりますが、どういった活動をされていますか?
濱邊:kintoneを導入する時に、どういった業務がkintoneにフィットするのかわかりませんでした。そこで、現場で課題感を持っている担当者を20名弱集めて、課題解決学習をやりました。各部署がそれぞれ課題を持ち寄って深掘りしていると、これってkintoneでできそうだよね、となりました。そこから、我々もサポートしながらkintoneでアプリ作ってもらい、実際に社内にリリースする時には「これをkintoneで作りました」と、ちょっと大げさに言って、kintoneでこんなことできますよ、とPRしました。
もう1つは、弊社で作ってるkintoneのポータルサイトで、いろいろな情報を公開しています。基本的な操作がわかる研修動画を公開していたり、定期的に基礎的な研修をハンズオン形式で行うなど、教育にも力を入れています。
萩澤:PRや教育コンテンツをしっかり整備しているので、スムーズに展開が進んだと思います。実際に展開する中で作られたアプリの事例をご紹介いただけますか。
濱邊:弊社のバス部門で作ったアプリを紹介します。コロナ禍になり、たくさんあるバスの営業所で休んでいる人を管理することになりました。しかし、本社の担当者が電話をして、確認書に状況を確認しながらまとめるのは負担が大きかったのですが、kintoneアプリ化することで1日1回更新するだけで、確認できるようになりとても負荷が軽減されたと聞いています。
萩澤:今年、kintone hiveという別のイベントでも西鉄さんに登壇していただきました(関連記事:厳格なルール策定から始めた西日本鉄道のkintoneによるDX)。そこで紹介された取り組みで、業務改善表彰式についてお聞かせください。
濱邊:これも特徴的な取り組みだと思います。kintoneアプリを本番に上げる時に申請しますが、それ以外にもRPAといった自動化ツールも本番運用時には、どのくらいの効果があるのか、どれぐらいの業務時間を削減できるのかを申告する仕組みになっています。
この効果を集計し、がんばった人を表彰する取り組みです。表彰した人の上司にもフィードバックして、評価にも繋げられるようにして、モチベーションを上げるように進めています。写真は、弊社の担当執行役員が、直接賞状を手渡して表彰しているところです。
萩澤:取り組みを評価するところまで仕組み化されてるのがいいいなと思います。最後に、ガバナンスで悩まれてる方に一言ください。
濱邊:私も悩みながら進めています。ガバナンスと言うと、縛りだとか物事を進めづらくなる、といったイメージがあります。しかし、何もしない無法地帯だと、たとえば野良アプリが出てきたり、属人化すると担当者がいなくなって使えなくなります。
そんな状態を回避するための取り組みとして、ガバナンスと向き合ってもらえれば、と思います。業務も変わりますし、課題も変わるので、ルールもどんどん変えていかなければなりません。ぜひ、「攻めのための守り」といったイメージで取り組んでいけばよいのではないか、と考えて、私も進めていきたいと思います。
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