A620チップセット vs. B650チップセット
A620 vs. B650マザーボード Ryzen 7 7800X3Dに最適なのはどっち?
B650とA620はAM5マザーの高コスト化を救ってくれる!
AMDのSocket AM5プラットフォームは2025年以降も利用が予定されている、いわば長期政権が約束されたプラットフォームだ。つまり、Socket AM5を利用するRyzen 7000シリーズでPCを組んでおけば、将来的に上位CPUへのアップグレードはBIOS更新を挟みつつ可能になっており、それがAM5プラットフォームの大きなメリットとなっている。
そのAM5に対応するチップセットは上から「X670E」「X670」「B650E」「B650」「A620」の5種類となる。X670E~B650Eまでは何かしらの形(グラフィック用PCI ExpressやCPU直結のM.2スロット)でPCI Express Gen5に対応する必要があるため、製品価格も高くなりやすい。加えて上位チップセットになるほどTDP 170WのRyzen 7000シリーズのオーバークロックにまで備えるために、CPU周辺の電源回路を重厚にする必要がある。
なにかと高コスト体質なAM5マザーの救世主といえるチップセットが、B650とA620なのだ。これらはPCI Express Gen4までの対応で済むぶん、回路設計のコストも安い(B650の製品の中にはGen5 SSDにメーカーが独自に対応しているものもある)。B650はまだオーバークロックも視野に入れた製品があるが、ローエンドのA620はCPUのオーバークロックが「できない」ため、CPU周辺の電源回路も必要最小限でいい。さらに言えば、A620はチップセットから引き出せるUSBやPCI Expressの種類や帯域を絞っているため、マザーをより低コストで製造できるようになっている。
つまり、A620はオーバークロックもしないし拡張性も最小限でいいから低予算で最新Ryzenを使いたいという人のためのチップセットとなる。特にAMDはRyzenを使ったゲーミングPCを安く組みたい人にA620マザーと「Ryzen 7 7800X3D」をオススメしている。
しかし、CPU周辺の電源回路がシンプルなA620マザーには、TDP 120WのRyzen 7 7800X3Dは荷が重いのではないだろうか? TDP 65W版Ryzenの方が良いのでは? と考えた人もいるだろう。
そこで本稿では、GIGABYTE製「A620M GAMING X」を使って、A620+Ryzen 7 7800X3D構成とB650+Ryzen 7 7800X3Dの組み合わせでゲーミング性能に違いが出るかを検証してみたい。