ことスマホに関しては「親が知らないこと=怖いこと」ではない【中学生の親対談】
【後編】ITライターとマカフィーの中の人が、我が子のスマホセキュリティの悩みについて雑談した結果
2023年05月31日 10時05分更新
コミュニケーション力に合わせたLINEの使い方を
青木 私が子どもに現時点でLINEを許可していないのは、本人がまだそこまでコミュニケーションがうまくない、というところもあります。不用意に使ったら、ほかの人にイジメられそうで。もう少しコミュニケーションをうまく図れるようになってから、だんだん使っていけばいいよ、と。
部活動の仲間のような身近な相手とのコミュニケーションならいくらでも歓迎しますが、先ほどの話にあったような不特定多数とか学校全体、地域全体みたいな子どもコミュニティーに、現状の我が子が飛び込んで対応できるかどうかを考えたら難しいのではないかなと思います。
二瓶 それは大人でも同じですよね。PTAのとある係をやったとき、基本的にLINEでコミュニケーションを取っていたのですが、うまくいかないことも多々あり……。まあ色々な人がいるなあと。
青木 LINEを使うようになったとしたら、「どんなコミュニティーに参加しているの?」ぐらいのことは聞いておきたいですね。そして使い方に関しても、「君がこういうことを書かれたら困るよね?」と話し、納得した上でやりとりしてほしいと思います。
今の子どもは、大人がアプリ経由で出会いを求めることが普通になっていることを知っています。だから『自分もオンラインで誰かと出会って何が問題なのか?』と思っているかもしれません。
二瓶 GW前の段階では、息子が参加しているコミュニティーは小学校の延長で、もともとのクラスメイトがバラバラになった結果、オンラインでつながっているような状態と聞いています。
まだ中学校での新しいコミュニティーはできあがっていない、知らない人と話しているような状態ではない……その程度は把握している状況です。
青木 そう、まだ中学校でのコミュニティーができあがっていませんよね。だからなおさら我が家ではまだスマホはいいかな、と思っています。スマホが欲しくなったら、スマホでどういうことがやりたいのか、説明してくれないと買わないよと伝えています。
今はコミュニケーションを図る仲間や友だちを作ることが最も重要な時期であって、コミュニケーションを図る手段はそのあとで見つけていけばいいと思っています。
子と親の成長に合わせてルールとコントロール手法も変化が必要
── 家庭では親がスマホを普通に使っているじゃないですか。子どもがその姿を目にして『なんで自分は使えないの? なぜ制限されるの?』と疑問に思うでしょう。
二瓶 以前私は「子どもが見てはいけない情報があるからだよ」というような説明をしましたけど、納得したかどうかはわからない(笑) でも、何がいけないことなのか、だから使うことを制限されるのだ、というところを理解してもらうことはとても重要なのかなと思います。
青木 静岡の事件については、詳細はわからないですが、スマホの使い方についての話し合いがもっと必要だったのでは、と思います。親と子でコミュニケーションをしっかり図るところがスマホを安心して使える「入り口」だと私は考えます。使い始めてから決め事をすると難しくなることもあるからです。
子どもはもちろん、親も成長しなければなりません。年齢が上がるごと、成長するごとに話す内容を変えていくべきだし、プライバシーのレベル感も変えながらコミュニケーションしてあげないとうまくいかないと思います。
「友だちが○○だから」という子どもの常套句がありますが、それはそうだけれど、我が家には我が家のルールがあるよね、というところを説明して実行していくのも、ある種のペアレントコントロールです。難しく言えば、家庭でのセキュリティポリシーを作る、というような感覚でしょうか。
一部のキャリアさんだと、子ども向けのスマホを契約するときに親子でルール決めして、それを紙の誓約書に書かせたりすることもあると聞きます。『ITガジェットを使うのになんで紙に誓約書を書かなければならないの?』と思うかもしれませんが、それはそれで家庭におけるルール作りという意味合いがあるでしょう。
ただ、ルールは年齢によって変わっていく、中学生ではこう、高校生になったらこうなるかもね、というような話し合いもあってしかるべきだと思います。