「子どもがスマホを持ちたい理由」で親の対応も変わる
二瓶 小学校の卒業式前後に、バラバラになる友だち同士でLINEの交換が始まったんです。それに合わせるようにして専用スマホに切り替えるとともに、LINEアカウントも本人用を作成しました。LINEに関しては、なにをどうやりとりしているかまではチェックしていません。若干不安なところはありますが……。
── 中学生になると、部活やクラスの連絡にもLINEを使うようになるようです。要は昔の電話代わりですね。
青木 現状、うちの子にはLINEの利用は許可していません。LINEがなくて困るかといえば、どうにかなっています。小学校時代に耳にしていたのは、「女の子のグループだとLINEのなかでイジメが起きている」。それが理由で不登校になったりするケースが実際にある、と。それで、悪いけどまだちょっとLINEはだめかな、という判断です。
では、コミュニケーションツールとして何を使っているかというと、Skypeなんです。コロナ禍ではオンライン学習でSkypeを使っていたこともあり許可した、という感じです。
LINEについては制限していますが、そのほかのアプリは特に制限していません。使用時間については制限しているので、ゲームで遊びだすとほかのことをする時間がなくなるのでゲームは要らない、と言っています。
二瓶 真面目じゃないですか。
青木 いえ、そのほかと言ってもYouTubeを観る時間のことのようです(笑) それよりも二瓶さんのお子さんとの使い方の大きな違いは、使い始めたデバイスがタブレットかスマホなのかというところがあるのではと思います。
二瓶 スマホとChromebook、そしてゲーム目的か学習目的かという違いですね。
青木 その違いがあるからこそ、「デバイスを使って何をやりたいのか?」も、子どもによって異なります。そのため、デバイスを使い始めるときには、親と子の合意が必要であると思っています。
そして、使い方の範囲が徐々に広がっていくにつれて、ペアレンタルコントロールでの管理を強化していく。私は「監視」という言い方は嫌いなので管理としていますが、ともかく親子の会話をきっかけにして使い方を決め、次第に管理を強化する……そういった運用方法を築いていきたいと思っています。
たとえば、特に小学生ぐらいだと時間の管理ができませんよね。だから一緒に時間の管理をしていこうという話をしてみる。時間を決めてゲームをしようね、という話をして、スマホやタブレットを通して時間の管理を勉強する、というのが理想ではないでしょうか。
そして中学生になると、部活などで周囲とコミュニケーションを取る必要が出てきます。その反面、部活や塾の時間を自分で管理するようにもなります。
こういった成長があるぶん、年齢によってペアレンタルコントロールやフィルタリングの作り方を変化させる必要があると思います。一度設定したらずっとそのままで良いわけではないことを、親は知っておくべきでしょう。
子どものスマホ管理はプライバシー侵害?
青木 そして欧米では、「子どものプライバシー」という論点もあるようです。子どものスマホを、どこまで親が見ていいのか? という問題ですね。
── 二瓶さんの場合は、お子さんが8歳だった頃からマカフィー セーフファミリーをスマホに入れていますよね。確かスタート地点はYouTubeだったと聞いています。
二瓶 最初は妻のタブレットでYouTubeを観ていたのが、ゲームをするというからスマホを貸し出したところ、やっぱりYouTubeを観ている。
小学3年生とかそのぐらいだったので時間の管理もできなくて、結局ずっとレコメンドされるままYouTubeを観ているので、そこでいったんYouTubeを禁止する、という選択肢を選びました。だからこそゲーム主体になってしまった、という気もします。
ただ、成長した現在は、何でも良いから動画を観ているというのではなく、好きなゲームの実況動画などをチョイスして観るようになっていますね。
しかし5年生ぐらいの頃でしょうか、息子の検索履歴を見てしまって……。先ほどのプライバシーの話ではないですが逆に申し訳ないような気持ちになってしまいました。
思い返せば我々も親の監視を鬱陶しく感じていた時代を経ているわけじゃないですか。それを考えると、やっぱり干渉しすぎるのもいけないかな、とも思いました。だからこそ、小学生時代のスマホはゲーム専用という制限にしていたんですね。この春にいろいろ解除して、さてどうなるのかな、という不安も多々あります。
── 利用時間の制限もしていますよね?
二瓶 はい。6時から22時までという制限にしていて、その間に操作しないともうダメよ、という話はしています。たとえば22時過ぎて寝るときに「明日の朝のアラームをかけ忘れたんだけど」と言われても、それはもう無理だから普通の目覚ましで起きなさい、というような指導をしています。
青木 その手の時間感覚を養うためには、スマホってすごく良いツールですよね。