セーフィーがクラウドカメラ「Safie Pocket2 Plus」発表 建設業界の働き方改革を支援
1 2
遠隔管理やロボットの導入による省人化でDXが進む建設業界
後半は、「大手建設会社2社と語る建設業の24 年問題と建設現場における働く未来」と題し、パネルディスカッションが行われた。
株式会社大林組 土木本部 本部長室 i-Conセンター 現場支援第一課 課長 / DX本部 生産デジタル部(兼務) 高橋寛氏、鹿島建設株式会社 鹿島技術研究所 AI×ICTラボ 副主任研究員 西澤勇祐氏、モデレーターとしてセーフィー株式会社 営業本部 第2ビジネスユニット部長 桜田忠弥氏が登壇し、各社の抱える課題、2024年問題への取り組みについて紹介した。
最初のトピックは「建設業の24年問題に対しての課題とその対策について」が語られた。
高橋氏は、「大林組の土木部門に関しては、1年前倒しで目標をクリアできたが、これから継続的に現場の働き方が改善されていくのか、というとまだ厳しいところがある。さらに進化するためのコンセプトのひとつが『ロボティクスコンストラクション構想』だ」と同社の取り組みを紹介した。
大林組の「ロボティクスコンストラクション構想」とは、デジタルツインにより、人とロボットが協調し、持続可能な建設プロセスを実現する新しい建設のかたちだ。実現するための3つの要素として、(1)作業の効率化、(2)機械操作の省人化、(3)建設プロセスのデジタル化――を挙げている。4月の組織改編では、新たに先端技術推進室を立ち上げ、国内外の土木現場でのICT活用を推進し、効率化へとつなげていく計画だ。
鹿島建設では早期から「遠隔臨場」を実施し、Safieを現場に導入している。西澤氏は、同社の生産性向上、働き方改革の取り組みとして「鹿島スマート生産ビジョン」を紹介。本ビジョンは、(1)作業の半分はロボットと、(2)管理の半分は遠隔で、(3)すべてのプロセスをデジタルに、という3つのコンセプトから構成され、これを柱に研究開発を進めているという。
また建設業全体の課題として、「この10年間、十分な労働力を確保できておらず、高齢化率も拡大し、産業としての持続が危機的状況にある。DXの機運は高まっており、全社一丸となって課題解決に取り組んでいる」と語った。
大手は対策を打っていても、建設業界全体を見ると、時間外労働の上限規制に課題は残っているという。高橋氏は「自社の土木部門ではクリアしていても、協力会社も含めた業界全体ではまだまだ課題がある。我々がけん引役となり、取り組みを進めていかないといけない」と話す。
西澤氏は「長時間労働になるのは、日中ひっきりなしに現場に呼び出されるのが一因。そのため、事務作業が夜間になってしまう。そこで、現場に集中ゾーンのようなブースを設けて、その部屋にいるときは呼び出さない、といったルールをつくり、定時内に処理できるような工夫も必要」と提案した。
次のトピック「生産性向上についての具体的な取り組み」では、西澤氏が遠隔管理の研究を紹介した。
建設業は、管理品質を保つために「3現主義(現場、現物、現実)」を重視することが超過労働につながっている面もある。センサーやカメラ、通信技術を駆使して効率化することで、3現主義と同等の管理品質を守りながら労働時間を削減することが求められる。具体的な取り組みとして、バイタルデータを計測するウェアラブルデバイスを使った作業員の健康管理、事務所にSafieエリアを設け、多数の現場のクラウドカメラの一元的なモニタリング、顔認証システムでの入退場管理などを導入しているそうだ。将来的には、ドローンやロボットが巡回して、現場データを収集する世界観を目指しているとのこと。
大林組では2019年から「Safie Pocket」を現場に導入し、後継の「Safie Pocket2」、「Safie Pocket2 Plus」への改良・機能追加にも協力している。
高橋氏によると「『遠隔臨場』で得られるメリットは移動時間削減の効果が非常に高いが、さらに新しい使い方の提案も訴えかけることが必要だと感じている。弊社では、『デジタルコンシェルジュ』という22名のスタッフが各現場に数週間常駐し、ICTで改善できる場所を探してデジタル化する活動をしている。これにより『遠隔臨場』だけでなく、リアルタイムで情報共有するなど、一歩進んだ活用に広がっている」という。
最後のトピックは「Safie Pocket2 Plus」を使ってみた感想、前機種との違いについて。
高橋氏は「『Pocket』はカメラ、バッテリー、モバイルルータが別々だったので、現場に3つ持っていかなくてはならなかった。『Pocket2』ではこの3つが一体化して使いやすくなった。使っていくうちに現場から出てきた要望が、スピーカー通話や手振れ補正、ズーム。これを『Safie Pocket2 Plus』で叶えていただいた」とコメント。
西澤氏は「今回モバイルバッテリーにつながるようになったのがいい。現場からは、三脚に立てて固定カメラとして使いたい、という要望が多かった。若手社員は自分の担当現場に置いておき、事務所で作業をして、必要なときだけ現場に戻るという使い方をしている。その際、問題になるのがバッテリーの持ち時間で、長時間使えるのは大きい」と答えた。
桜田氏は、「現場のユーザーからのフィードバックを真摯に受け止めて、製品を改良していくことに注力している。お客様はいろいろと創意工夫され、我々が思ってもみなかった使い方をされることがよくある。今後も、いただいたフィードバッグをさらなる商品改良に生かしていきたい」と締めくくった。
1 2






































