AIによる人材アセスメント支援に関する論文がHCI分野のトップ会議「ACM CHI2023」 でHonorable Case Study賞を受賞
株式会社ACES
全投稿124本中のトップ3本に
株式会社ACES(東京都文京区、代表取締役 田村 浩一郎、以下「ACES」)は、リーダーの発見・育成と組織の成長支援を行う株式会社リードクリエイトと人材アセスメントにおけるAI活用に関するDXプロジェクトを行っております。この度プロジェクトの研究成果の一つとして、AIによる人材アセスメント支援業務におけるケーススタディに着目した論文『AI for human assessment: What do professional assessors need?』が、CHIのCase StudyトラックでHonorable Case Study賞を受賞しました。これは全投稿124本中のトップ3本に与えられる賞です。 詳細:https://programs.sigchi.org/chi/2023/program/content/97277
ACM CHIとは、ヒューマンコンピューターインタラクション(HCI)分野の主要な国際会議のひとつです。ACM CHIは「インタラクティブなデジタル技術で世界をより良い場所にする」という包括的な目標を掲げ、世界中からさまざまな文化、背景、立場の研究者や実践者が毎年集まります。採択された論文については、ドイツのHamburgにて発表を行いました。
今回採択された論文『AI for human assessment: What do professional assessors need?』は、ACESと株式会社リードクリエイトが取り組んでいる人材アセスメントにおけるAI活用に関するDXプロジェクトの研究成果として、ACESのリサーチフェローである荒川陸と筑波大学の矢倉大夢が執筆、投稿したものです。
人材アセスメントは被評価者の発言や挙動の機微を読み取ることが求められることに加え、人事考課にも結びつくものである点から、AI技術の導入は進んでいませんでした。本研究では、評価の過程のブラックボックス化を招くことなく、アセスメント業務を効率化するためのAI技術を提案しました。Amershi ら [1] によると人とAIが協働する際には、人とAIの間のTrust(信頼関係)が大切だと提唱されています。「表情、姿勢、頭の傾き、視線」といったマルチモーダルな行動特徴の自動センシングと異常検知アルゴリズムを組み合わせることで、人材評価者による解釈性や説明可能性を持たせ、プロのアセッサーがAIを使うときのTrustを担保しました。今後も1.データの蓄積を通じAIの精度をあげる2. より質の高いAIのサポートを受けることで人の能力を向上させる3.より質の高いデータをAIにFBする、という正のループを回すことでAIと人の協同を目指します。
[1] Amershi et al. Guidelines for Human-AI Interaction. 2019.
■今後の展望
人の知見を数式化するアルゴリズム開発に強みを持つACESは、さまざまなコミュニケーションシーンにおいて、技術実装を行うことを目指しています。コミュニケーションの科学は映像・音声・自然言語処理をベースにしたマルチモーダルなHCI研究のフロンティアです。今後は、人材評価に限らず、営業、教育現場などの複数領域でコミュニケーションのデジタル化を推進していくことで、アカデミアの価値をビジネス(事業価値)に接続するブリッジする役割を担うことを目指していきます。
■著者コメント
荒川氏:本取り組みは、我々が今まで取り組んできた会話解析についての研究をベースとして、人材アセスメントへのAIによる支援というエキサイティングな課題に取り組んでいる事例であると思います。CHI2023のcase studyという世界からも注目を集める場所で、Honorable Case Study賞に選ばれたことを嬉しく思います。学会当日も多くの研究者とディスカッションが盛り上がり、本プロジェクトがユニークかつ重要な取り組みであることを改めて認識しました。学会では他の研究者と議論を深めて、プロジェクトをさらに推進していきます。
矢倉氏:AI技術の社会実装には、アルゴリズムの開発のみならずインタラクション技術をも含めた全体設計が肝要であると考えています。人材アセスメントという複雑性の高い領域において、我々が開発してきた会話解析技術がAI技術とヒトのTrustという要素にもたらす効果を明らかにし、Case Studyという形で研究者・実務家へと提示できたことを嬉しく思います。
■論文情報
タイトル:AI for human assessment: What do professional assessors need?
著者:Riku Arakawa, Hiromu Yakura (equal contribution)
採択日:2022年 12月
発表日:2023年 4月
URL:https://arxiv.org/pdf/2204.08471.pdf
■株式会社ACES 会社概要
東京大学松尾研発のAIスタートアップである株式会社ACESは、Deep Learningでリアルの情報・知見の取り扱いを可能にし、大規模モデルや独自AIモジュールを組み合わせ、AIとヒトが協働するデジタル事業を開発・展開しています。AIアルゴリズムを事業価値に落とし込むデザイン力をコアコンピタンスとして、クライアント様と二人三脚でDXに取り組むDXパートナー事業、自社アルゴリズムを組み込んだソフトウェアを提供するAIソフトウェア事業を提供しております。
代表者:代表取締役 田村 浩一郎
所在地:東京都文京区湯島2丁目31−14 ファーストジェネシスビル 3階
設立:2017年11月
事業内容:DXパートナー事業、AIソフトウェア事業
コーポレートサイト:https://acesinc.co.jp
採用サイト:https://acesinc.co.jp/recruit.html
お問合せ先:https://acesinc.co.jp/contact