2022年度 フリマアプリ市場における中古スマートフォン取引実績調査レポート
株式会社リスマ
「節約志向」意識高まり大手フリマの成約台数は66.1万台。「メルカリ」の取引シェアは過半数に
リユース事業者向けの相場検索ツール「Smapra」を提供する株式会社リスマ(本社:東京都品川区、代表取締役CEO:木村洋介、以下:当社)は、2022年度のフリマアプリ市場における中古スマートフォン取引実績調査レポートを公表いたしました。 調査の結果、フリマアプリ上で成約する中古スマホの台数はおよそ66.1万台で、当社推計の金額換算では209.4億円でした。物価高騰の影響から、安価に購入できる「iPhone 8」に人気が集まりました。またフリマアプリ別の取引件数では、メルカリが過半数のシェアを獲得していることが本調査で明らかとなりました。
<スライドはこちらよりダウンロードできます>
https://hubs.ly/Q01MCPMs0
<調査レポートサマリー>
OSシェア率は、iPhoneの「iOS」が59.8%
人気根強い「iPhone 8」4.8万台が成約
23年2月の成約件数は昨年比6,000件増…「節約志向」浮き彫りに
「一括1円」規制か、成約件数が昨対比1.8万件減少
メルカリが過半数のシェアを占める
ラクマは「手数料の安さ」効果で高単価スマホ売れる
iPhone 13「値上げ」で相場変動わずか
<調査条件>
フリマアプリ4社(メルカリ・ヤフオク!ラクマ・ムスビー)
成約済みの商品を「Smapra」で分析
外れ値は除去して算出
対象期間 :2022年4月1日~2023年3月31日
※流通金額はSmapraより推計
■OSシェア率は、iPhoneの「iOS」が59.8%
フリマアプリ4社を合計した成約件数ベースのOSシェア率は、iOSが59.8%(39.6万台)、Androidが40.2%(26.6万台)でした。また流通金額ベースで算出した場合のOSシェア率は、iOSが72.6%(約152.0億円)、Androidが27.4%(57.4億円)でした。
国内新品市場において、iOSシェア率は44.9%、Androidシェア率55.1%とAndroidのほうが高い結果とされています(2022年12月時点※)。このことからフリマアプリにおいて、iOSはAndroidに比べてリユースされやすい傾向にあります。
※英国Kantar社の調査より(https://www.kantarworldpanel.com/global/smartphone-os-market-share/)
なお、フリマアプリ別のiOSシェア率は図の結果となりました。
成約件数ベースで最もiOSの割合が高いマーケットプレイスは「ムスビー」で、シェア率は73.8%でした。一方、最もiOS端末の比率が低かったのはヤフオク!で、57.0%です。
成約金額ベースでは、ラクマが最も高く、75.2%でした。一方でヤフオク!が最も低く、70.6%です。
ヤフオク!は成約件数と流通金額の双方において、iOS比率が最も低い結果となりました。言い換えれば、Android端末の人気が他のフリマアプリに比べて高いとも言えます。
■人気の根強い「iPhone 8」4.8万台が成約
フリマアプリ4社(メルカリ、ヤフオク!、ラクマ、ムスビー)における、2022年度(2022年4月~2023年3月)に最も成約件数の多いモデルは、iPhone 8で48,037台でした。Smapraが推計したフリマアプリ4社での流通金額は約6億7550万円で、単価※は14,063円でした。
(※単価…流通金額を成約件数で割って算出)
同モデルは2017年発売の比較的古いモデルながら、指紋認証機能「Touch ID」搭載の最後のナンバリングモデルとして、高い完成度が評価されています。中古相場1万円台で購入できる手頃感や、マスクを外さずに使用できる「指紋認証」機能、現在まで続く最新OSのサポートなどを背景に、人気が持続しました。
iPhone 8に続き、iPhone SE 第2世代(35,064台)・iPhone 7(34,225台)・iPhone SE 第3世代(27,854台)も同様に、フリマアプリ市場で支持を集めました。
Androidの最人気モデルはOPPO Reno5 Aで、8,869台が成約。推計流通金額は1億9433万円、単価は21,911円でした。2021年6月発売のモデルで、新品価格4万円以下の手頃な価格ながら、6,400万画素の高画質カメラを搭載するなどの高いコストパフォーマンスが評価されています。
フリマアプリ4社を合算した主要ブランドごとの成約件数・流通金額は、図のとおりでした。
■23年2月の成約件数昨年比6,000件増…「節約志向」浮き彫りに
昨年2月と本年2月におけるフリマアプリ4社を合算した成約件数を比較すると、前年同月比で6,004件増の49,894件でした。この1年間、円安を理由としたiPhoneの値上げや、半導体不足による品薄、インフレによる物価上昇など、家計はより厳しくなっていると言われ続けています。安価な中古スマホは、こうした「節約志向」の消費者に対する受け皿として機能しています。
なお、フリマアプリ4社を合算した月次の成約件数は5万件程度で推移しており、2022年度で最も成約の多い月は10月(64,908件)、最も少ない月は4月(36,717件)でした。
■「一括1円」規制か、成約件数が昨対比1.8万件減少
一方で、昨年3月と本年3月の成約件数を比較すると、昨対比18,411件の減少となりました。これはキャリアが例年行っていた「一括1円」などの大幅な値下げ販売が行われなくなったことによる影響と見られます。
昨年3月に流通が目立ったiPhone 12(2022年3月の成約件数:9,956台)やiPhone SEの第2世代(同:6,388台)は、いわゆる「一括1円」販売などの過剰な廉価販売が散見されました。一方で今年3月は、最も流通したのがiPhone 8の3,886台で、昨年と異なる様相を見せました。
昨年までは、型落ちとなった1世代前のモデルが「一括1円」など大幅な割引価格で販売されるケースが見られました。これらのスマホは、ほぼ未使用の状態で二次流通市場に流れ込んでいたと言われています。
こうした「転売」の温床とも言える状況に対し、公正取引委員会が2023年2月に是正を求めていました。本年、各キャリアが「一括1円」販売を抑止したことで、二次流通市場では健全化の動きが見られます。「iPhone 8」などの発売から数年経った機種が流通の主軸となり、成約件数は1.8万件減少しました。
■メルカリが過半数のシェアを占める
フリマアプリ4社ごとのシェア率では、メルカリが成約件数・流通金額ともに最多です。合計成約件数66.1万件のうち、メルカリは55.2%の36.5万件でした。またSmapra推計の流通金額ベースでは、総計約209.4億円のうち、メルカリが50.9%の106.5億円と、ほぼ半分のシェアを握っています。
■ラクマは「手数料の安さ」で高単価スマホ売れる
商品単価が最も低いのはヤフオク!で、28,854円でした。フリマアプリ4社のなかで唯一、価格がせり上がっていくオークション形式を採用していることが影響しているものと見られます。メルカリも同じく2万円台で、29,160円でした。ムスビーは比較的高い33,563円です。
注目すべきはラクマで、単価は50,344円でした。これは、今回の比較のなかでラクマの手数料が最安(商品売価の6%)であり、高単価のスマホが出品されやすいためと考えられます。
例えばiPhone 8の場合、フリマアプリ4社のなかでラクマの成約件数は3,328件、シェア率は6.9%にとどまる一方、iPhone 14Pro Maxではそれぞれ1,795件、52.5%と、過半数を占めます。
他にも、ラクマには高単価スマホが集まりやすい土壌があります。同社は2019年6月から「ラクマ公式中古スマホショップ」を運営しており、2022年4月には130社以上のリユース事業者との提携を拡大して、公式販売を強化しました。リユース事業者による出品を拡大したことで、状態のよい端末を、事業者の相場で供給する動きが広まったと見られます。
このほかにも、楽天ポイントを使用できるため買い手の負担感が少ないなど、サービスが高価格商品に有利になるよう設計されています。
■iPhone13「値上げ」で相場変動わずか
昨年は、スマートフォンでは稀な「相場の上昇」が見られました。円安に伴い、アップルが2022年7月1日から本体価格を大幅値上げ。iPhone 13などの主要モデルは1.8万~3.4万円の大幅値上げを実行したことが要因です。
フリマアプリにおいては、2022年3月のiPhone 13(128GB Aランク)が87,000円で、2023年3月は9万円と、昨年度から値上がりしました。仮に売却時に手数料10%+送料500円の経費が発生しても、年間6,500円のコストでiPhone 13を利用できたことになります。
■総覧:節約意識の高まりで中古スマホ業界はさらに伸長か
リユース業界における中古スマホは、「メルカリショップス」をはじめとするフリマアプリでの法人販売機会の増加や、売却を前提とした消費生活の定着を受け、普及が進んでいます。
リユース業界の専門メディア「リサイクル通信」の発行している「リユース市場データブック2022」では。「携帯・スマホ」の中古市場規模を590億円(2021年)と推計しています。当社調査では、このうちのおよそ35%がフリマアプリで流通しているものと考えられます。
リユース業界におけるフリマアプリの存在感は大きい一方で、MM総研の調査では毎年3,000万台前後のスマートフォンが出荷されているとの発表もあり、新品のおよそ2%程度しかフリマアプリで流通していないとも言えます。
スマートフォンの高性能化・長寿命化、さらなる生活防衛意識の高まりと、サステナブルを意識した生活スタイルが定着していくなかで、ますます中古スマホ業界は成長していくことを期待しています。
<スライドはこちらよりダウンロードできます>
https://hubs.ly/Q01MCPMs0
■リユース事業者向けの相場検索ツール「Smapra」(スマプラ)について
「Smapra」は、月額2,000円から利用できる、各買取店舗やフリマアプリの相場情報を分析するサービスです。現在、対応カテゴリーはiPhone・iPadやAndroidなどのスマートデバイスと、WindowsやMacBookなどのPC、Apple Watchなど幅広く対応しています。今後は新たな商材に対応すべく、開発を進めております。
フリマアプリ、ECモール、企業サイトなど最大30サイトの成約金額や掲載価格データ等を収集し、5秒で最新の中古相場を把握できるシステムを展開しております。相場データは日々更新しており、迅速な買取相場表の作成に役立ちます。
ご興味のある事業者さまには1ヶ月のトライアルをご用意しております。また相場検索に加え、SNSやAIチャットボットを活用した買い取り集客支援も手掛けております。ぜひ、一度お問い合わせください。
→「Smapra」サービスHP:https://smapra.com/
◆株式会社リスマについて
社名:株式会社リスマ
設立:2021年4月20日
代表:木村洋介
本社:東京都品川区平塚3-1-9 クレール川崎4階
事業内容:リユース業者向けの相場検索ツール「Smapra」(スマプラ)の運営、ECサイト制作・ECコンサルティング等
「Smapra」(スマプラ)サービスHP:https://smapra.com/
企業HP:https://company.re-sma.com