キャリアにとって「携帯決済」は得意分野
「携帯電話を決済手段に」というアプローチは、携帯電話会社が得意な分野といえる。かつて、ケータイ全盛時代にはNTTドコモやソニー、JR東日本などが手を取り合い、端末にFeliCaを搭載し「おサイフケータイ」として発売。クレジットカード会社や電子マネー会社が参入したことで、非接触決済が広まった。
スマホ全盛時代には、ソフトバンクがPayPayに注力したことで「QRコード決済」が普及した。ソフトバンクはQRコード決済だったPayPayブランドを銀行や証券、クレジットカードにも拡大して、金融事業を強化しようとアクセルを踏んでいる。
キャリアのなかで最も早く金融事業の可能性に気がついていたのがKDDIだ。
2008年三菱東京UFJ銀行(当時)とともに銀行免許を取得し「じぶん銀行」を設立。店舗を作らず、ケータイに特化した銀行としてスタートした。その後、KDDIは「auフィナンシャルグループ」として、クレジットカードやau Payといった決済サービスだけでなく、証券や損害保険、生命保険なども手がけるようになった。
楽天は経済圏を築いて携帯電話事業に参入
逆に銀行や証券、クレジットカードなどを中心に経済圏を築き、携帯電話事業に参入したのが楽天だ。
一方、金融事業への本格参入には慎重な構えを見せ、三菱UFJ銀行とのポイント連携などに留まるのがNTTドコモだ。2020年に起きた「ドコモ口座」の不正利用事件が尾を引いており、ドコモブランドでユーザーのお金を預かるということに二の足を踏んでいるようだ。
いずれにしても、携帯電話の契約をしつつ、同じグループの銀行で口座を持つと、それだけで解約しにくくなる。
アップルとしても銀行口座を提供することで、ユーザーの囲い込みに繋げたいという狙いはあるはずだ。

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