日本オラクルは4月14日、「Oracle CloudWorld Tokyo 2023」において、「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」および「Oracle Database」の新サービスをはじめとする最新動向を発表した。
本イベントでは、2022年10月に発表した「Oracle Alloy」をはじめとするOCIの分散クラウド戦略、ソリューションや最新のユーザー動向を紹介。また、「Oracle Database」「MySQL HeatWave」においても最新の技術動向を紹介した。
OCIでは、最近発表した「Oracle Container Engine for Kubernetes」「OCI Supercluster」「Oracle Database 23c Free – Developer Release」「MySQL HeatWave」のAutoMLなどの新機能などに加え、新たにOCIへの移行、重要なワークロードの保護、コンテンツ配信を容易にするための新機能を提供予定としている。これらの新機能により、マルチクラウドをはじめとする分散クラウド、AI基盤、アプリケーション開発のサービスを拡充し、クラウド移行やアプリケーションのモダナイゼーションを支援する。
「Oracle Cloud Migrations」は、仮想マシンベースのワークロードをオンプレミスからOCIに移行するための、エンドツーエンドの包括的なセルフサービス体験を提供する。2022年には、VMware VM移行のサポートを開始した。今回、Amazon Web Services(AWS)からOCIへの仮想マシンのシームレスな移行のサポートが追加された。
「OCI Content Delivery Network (CDN)」は、150のエンドポイントを備えた、グローバルに分散した高性能のコンテンツ配信プラットフォーム。ユーザーは、完全にネイティブなエクスペリエンスで、エンド・ユーザーのパフォーマンス向上、ワークロードの拡張性と信頼性の向上などの従来のCDNのメリットを享受できるようになるという。
「Confidential Computing」は、AMD Secure Encrypted Virtualization(SEV)またはAMD Secure Memory Encryption(SME)を使用して処理しながらデータを暗号化する。追加のセキュリティーが必要なワークロード向けの機能で、E4 Flex、E4 Bare Metal Standard、E3 Bare Metal Standard、E4 Bare Metal DenseIOなどのAMDベースのOCI Computeシェイプで利用可能。
「Oracle Container Engine for Kubernetes(OKE)」の新機能として、大規模なKubernetes環境の運用を簡素化し、コストを削減しながら信頼性と効率の向上を実現する新しい機能を3月から提供開始した。「OKE Virtual Nodes」は、サーバーレスKubernetesエクスペリエンスを提供し、企業がKubernetesベースのアプリケーションを大規模に実行することができ、基盤となるインフラストラクチャーの管理、スケーリング、アップグレード、トラブルシューティングといった運用上の複雑な作業を行なうことなく、信頼性の高い運用を確保できるよう支援する。「OKE Virtual Nodes」は、使用量に応じた価格設定でポッドレベルの弾力性を提供することで、リソース利用をさらに向上させ、Kubernetesワークロードを大規模に実行する際のコストを最適化できるよう支援する。
「OCI Supercluster」には、OCIコンピュート・ベアメタル、NVIDIAネットワークに基づく超低レイテンシーRoCEクラスター、および選択可能なHPCストレージが含まれる。NVIDIAによってデプロイ・検証され、超並列アプリケーションを効率的に処理できる数千のOCIコンピュート・ベアメタル・インスタンスをサポート。本ネットワークにより、3万2768のA100 GPU、4096個のOCIコンピュート・ベアメタル・インスタンスまで拡張可能になった。
さらに、「Oracle Database 23c」無料版を開発者向けにリリース。JSON Relational Duality、OLTPデータに対するグラフ問合せを直接行なうSQLサポート、JavaScriptのストアド・プロシージャなど、Oracle Database 23cのアプリケーション開発のための新機能を無料で利用できるようになる。最新のすべてのデータ・タイプ、分析、および最新の開発パラダイムをネイティブでサポートし、すべて1つの製品に組み込まれている。
「MySQL HeatWave」の新機能として、AutoMLのライフサイクル自動化を拡張し、変量時系列予測、教師なし異常検知、レコメンドシステムに対応。また、インタラクティブなコンソールから利用できるようになったことで、ビジネス・アナリストはSQLコマンドやプログラムを一切使用せずに、ビジュアル・インターフェースを使って機械学習モデルの構築、トレーニング、実行、説明が簡単にできるようになる。また、ビジネスの仮説を検証するためのwhat-ifシナリオを簡単に探索できる。
「MySQL HeatWave on AWS」では、データの可用性向上やリカバリーの高速化を可能にするスケールアウトされたデータ管理やコンソール上でのMySQL Autopilotの自動シェイプ予測対応など、いくつかの機能強化が実現された。「MySQL HeatWave on OCI」では、より小規模なエントリー・レベルのシェイプ(32GB)を提供し、より大規模なワークロードでのコスト・パフォーマンスが向上した。