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「日本の消費者に最高のスマホを届ける」サムスントップに聞く「Galaxy S23」の日本展開

2023年04月14日 12時00分更新

文● 山根康宏 編集●ASCII

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日本市場への意気込みを語るTM Roh社長

 サムスン電子が日本で発売する「Galaxy S23 Ultra」「Galaxy S23」は、高性能な本体パフォーマンスやカメラに加え、再生素材を多用しサステナビリティーも意識したフラッグシップスマートフォンだ。両製品の日本発売を前に、サムスン電子本社のDX部門 Mobile eXperience事業部長・社長のTM Roh(てぃーえむ・ろー)氏が日本を訪れ、Galaxyシリーズの製品開発経緯や日本市場への取り組みを語ってくれた。

Galaxy S23シリーズ発売に合わせて来日、メディアへのインタビューに応えた

「Galaxy最高の製品」に仕上がった
Galaxy S23シリーズ

 Galaxy S23シリーズは、すでに販売中のグローバル市場でも好調な成績を収めている。日本市場でも「プレオーダーから1週間で、前モデル同様に多くの予約を受けている」(TM Roh氏)とのことで、両モデルの事前人気は日本でも高い。ちなみに複数のカラバリはどれも人気があるとのことだ。

 スマートフォンの販売はグローバルだけではなく日本も成長の鈍化がみられているが、「日本の消費者はより優れた製品を手に入れるという自己投資を惜しまない」(TM Roh氏)ことから、Galaxy S23シリーズも支持を受けるだろうと考えているそうだ。

 Galaxy S23シリーズは前モデルからアップデートされ、特にチップセットについてはクアルコムと協業してシリーズ最高スペックとなるSnapdragon 8 Gen 2 Mobile Platform for Galaxyを搭載。ゲーム性能だけではなく、コネクティビティーの性能も高い。中でもカメラはGalaxy Sシリーズの「顔」とも言える機能であり、夜間撮影性能を強化した「ナイトグラフィー」は暗やみの中でも映画を撮影できるほどの能力を持っている。

Galaxy S23 Ultraで撮影した夜景写真。「ナイトグラフィー」は強力だ

 5年間のセキュリティーアップデートなどで、Galaxy S23シリーズは安全性もさらに強化された。再生素材やエコパッケージの採用など、サステナブルへの取り組みも高めている。Galaxy S23シリーズは細部までこだわって製品を仕上げることで「ユーザーに最高のエクスペリエンスを届けられる」(TM Roh氏)製品だという。

 Galaxy S23シリーズの日本での発売は4月20日。すでにキャリアや販売店などのパートナーからは高い評価を受けているとのこと。サムスンはGalaxy S23シリーズを日本の消費者に愛されるサムスンブランドの製品として展開していくとともに、引き続き「日本のスマートフォン市場に新しい風を吹き込む、技術の高い製品を投入していきたい」(TM Roh氏)とのことだ。

日本の消費者に愛される製品を投入していきたいと語る

消費者ニーズを第一に考えたスマートフォン開発

 事前評価の高いGalaxy S23シリーズは、どのように開発されたのだろうか。Galaxy S23シリーズは消費者の意見に耳を傾け、それを分析し反映させるところから開発を始めたという。消費者の声についてRoh氏は「消費者がスマートフォンに求める機能は4つある」と説明し、それぞれについてニーズを常に視野に入れて製品を開発してきたとのこと。

 ニーズの1つはカメラで、これは特にGalaxy Sシリーズで最も強化している部分だ。カメラの開発は画素数などスペックだけではなく、夜景などシーンごとの撮影性能を強化したり、シェア機能を高めるなどユーザビリティーを考えて開発を進めている。2つ目のニーズはゲーム用途を代表とする本体性能の強化で、前述したようにGalaxy専用となるチップセットの採用や高性能なハードウェアの搭載に加え、AIアルゴリズムの最適化、そして性能をフルに発揮できるだけのバッテリーの開発など、総合的なパフォーマンスアップを常に考えているとのこと。

本体パフォーマンスは高性能ゲームプレイにも十分対応できる

 3つ目のニーズはスマートフォンの体験を高めるためのソフトウェアプラットフォームの強化だ。Galaxyシリーズが搭載しているOne UIは操作性を高めただけではなく、タブレットやスマートウォッチとの連携などマルチデバイス接続機能なども強化されている。そして、Z世代など若い消費者も近年関心を高めているサステナビリティーについては、前述したように再生素材の採用に留まらず、購入したスマートフォンをより長く使えるようにとソフトウェアアップデート期間も伸ばしている。

 「スマートフォンはハードウェアだけではなくソフトウェアやAIアルゴリズムなどが融合し、より使いやすいものになっていく。サムスンは消費者が望む機能を実現させていくことで、ユーザー体験を高める製品を開発していく」(TM Roh氏)。Galaxy S23シリーズはそんなサムスンの製品開発精神から生まれた製品というわけだ。

Galaxy S23シリーズはユーザー体験を高めるスマホだ

日本は重要な市場、サムスンブランドを広げていく
SIMフリーモデルの投入は引き続き方向性を検討中

 日本市場の展開について、Roh氏は「日本には10年前からGalaxyブランドとしてスマートフォンの進出を果たしており、これまで消費者の方々に満足していただける製品を送り出してきたと思う」と語り、Galaxyシリーズ製品への自信を見せた。しかし、その一方で「ブランドに対しての認知度アップやシェア向上はまだまだ改善する余地があり、パートナーと検討した結果、サムスンという社名を改めて表に出すことにした」(TM Roh氏)とのこと。

 ちなみに、サムスンのブランドはインターブランドの調査でグローバルでは5位につけているという。Galaxy S23シリーズの販売から、サムスンブランドを日本でもより浸透させたい考えだ。

「SAMSUNG」のロゴの入ったGalaxy S23 Ultra日本モデル

 現在、為替の変動やロシア問題に起因する原材料費アップなど、スマートフォンの日本での販売価格は大きな影響を受けている。ハイエンドモデルであるGalaxy S23シリーズの日本での販売については「新型コロナウィルスの影響もあり消費者のスマートフォン利用時間は増えており、ハイエンドモデルへのニーズは落ち込んでいないだろう。バリューの高いプレミアム製品を求めるユーザーは多く、日本を含むグローバルでいい結果を出せることを期待している」(TM Roh氏)とのことだ。

日本でもサムスンブランドを強化すると説明

 またスマートフォンの販売形態について、日本はキャリアが様々な販売プログラムを提供している。そのため、グローバルのようにSIMフリーモデルをそのまま出すかどうかは現時点でも方向性を検討しているとのこと。日本でGalaxyシリーズの販売を成功させるためには市場の特徴や消費者ニーズを知ることが重要だが、日本のキャリアやパートナーはそれらを熟知しており、キャリアとの協業は引き続き続けていくという。

 とはいえ、2022年には初のSIMフリー機「Galaxy M23 5G」も投入した。今後も「キャリアとの協業と、消費者に購入の選択肢を広げる」という2つのルートで日本での製品展開を広げていきたいとのこと。

 そしてスマートフォン以外の製品について、たとえばノートPCは「日本はIT技術が発達しており、ノートPCの製品も多く、普及率も高く、製品に対する要求も高い」(TM Roh氏)ことから、日本で製品を出すにはそのニーズに見合ったものを投入する必要があると考えている。サムスンはWindows PCだけではなくChromebookもグローバルでは展開している。スマートフォンやスマートウォッチなど複数製品との連携によるサムスンのエコシステムを日本でも展開するために、PCの日本向け展開も準備は進めているとのこと。

サムスン製品のエコシステム拡大を進めていく

 サムスンと日本の関係は長く、Galaxyシリーズも初代「GALAXY S」から部材の供給や技術の共同開発など、協業を深めてきた。Galaxy S23 Ultraが内蔵するスタイラス「Sペン」も日本のワコムの技術を使い、共同開発したものだ。カメラや本体内蔵センサーなど、日本には革新的な技術が多い。日本とサムスンの協業はこれからも良好な関係を保ちつつ、より強化されていくだろう。

 日本市場はサムスンにとって上位5位に入る大きな市場だ。しかも、日本の消費者は製品に対しての要求が高く、品質や性能に妥協しない。「このような日本市場で成功することの先に、グローバル市場での成功も見えてくる」とRoh氏は話す。プレミアムモデルのシェアが高い日本市場に合った製品をこれからも展開していく予定とのことで、2023年のサムスンの製品には大いに期待したい。

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