このページの本文へ

Cas9の活性を微調整、ゲノム編集の安全性を高める新技術=九大ら

2023年04月13日 08時21分更新

文● MIT Technology Review Event Producer

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

九州大学と名古屋大学の共同研究チームは、ゲノム切断活性を自在に微調整できる新技術を開発。DNAを切断する酵素の過剰な活性を抑制することで、安全性と正確な編集の効率を数百倍オーダーで高められる次世代型のゲノム編集プラットフォームを開発した。

九州大学と名古屋大学の共同研究チームは、ゲノム切断活性を自在に微調整できる新技術を開発。DNAを切断する酵素の過剰な活性を抑制することで、安全性と正確な編集の効率を数百倍オーダーで高められる次世代型のゲノム編集プラットフォームを開発した。 現在、広く使用されている遺伝子編集技術「クリスパー・キャス9(CRISPR-Cas9)」は、目的以外の変異や細胞毒性などの副作用を回避できず、実用化のための新しい技術開発が求められている。研究チームは今回、ゲノム編集の結果を1つ1つの細胞で、細胞が生きた状態のまま簡単に判定できる世界初の細胞計測システム「Allele-specific Indel Monitor System(AIMS)」を構築。DNAを切断する酵素であるCas9の活性を簡単、かつ、精密に制御できるガイドRNAを開発し、これを用いてシトシン(核酸を構成する主な塩基の1つ)の長さ依存的にCas9活性を段階的に抑制できることを見い出した。 さらに、AIMSを用いた大規模実験データと数理モデルを組み合わせることで、1塩基置換の精密編集などの様々なゲノム編集の用途について、それぞれの用途にどの程度のCas9活性が最適であるか、その全容と法則性を解き明かすことにも成功した。これにより、多様なゲノム編集実験のそれぞれの目的に対応した最適なCas9活性をシミュレーションできるようになり、最適なガイドRNAを用いることで安全で効率的なゲノム編集が可能になるという。 今回の成果は、ネイチャー・バイオメディカル・エンジニアリング(Nature Biomedical Engineering)に2023年4月10日付けでオンライン公開された

中條

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ