言語AIのELYZA、JR西日本グループのDXを推進。”二刀流”でGPT/国産AIを使い分け多領域で高速DX推進。顧客対応業務の半自動化に成功。
株式会社ELYZA
東京大学松尾研発・AIスタートアップの株式会社ELYZA(本社:東京都文京区、代表取締役 曽根岡 侑也、以下、ELYZA)は、JR西日本グループ企業である株式会社JR西日本カスタマーリレーションズ(本社:兵庫県尼崎市、代表取締役社長 高須 優子)と実施中の言語AI導入プロジェクトにおいて、言語AIを活用して、顧客対応業務の半自動化に成功したことをお知らせいたします。
本プロジェクトでは、株式会社JR西日本カスタマーリレーションズにおける顧客対応業務の品質向上・業務負荷削減を目指し、システム及び業務フローのあり方を言語AI起点で一から見直し、OpenAI社のGPT系統モデル及びELYZAの大規模言語モデルを活用した様々な業務領域への活用を進めております。
顧客対応業務におけるメールの要約作業の品質向上・負荷削減を実現するために、ELYZAの自社国産モデルを用いて「メール要約AI」を開発・精度検証を行っており、このたび業務導入開始に至りました。並行して、メールの執筆業務や電話要約業務においても、OpenAI社のGPT系統モデル及びELYZAの自社モデルを複合的に組み合わせた実証プロジェクトを進行しております。
なお、ChatGPTを開発するOpenAI社のGPT系統モデルと日本語に特化した国産AIの組み合わせによる国内大手企業への社会実装は国内初(※1)となります。
※1.web上に公開されている実績・実証実験情報を元にELYZAにて確認。
▮言語AIの導入背景
▼お客様のお声をJR西日本全体の各部門へ迅速・的確に届ける
JR西日本お客様センターに直接いただくお問合せは1日あたり約6,000件(※2)です。その中の「ご意見・ご要望」を内容に応じてJR関係各所に連携、対応策につなげており、お客様との応対を通じて、高品質なサービスの提供を行っています。
※2.電話・メール ・チャット等を介した応答件数
(2020・2021 年度はコロナ影響大のため2019 年度実績を記載)
▼クラウド・AIを活用したお客様センターのあり方を構想する中で言語AIへいち早く着目。
これまでも、お客様向けWebサイトを拡充し問い合わせ対応量の削減を図るなど、業務改善施策は行っていました。一方、大きく業務のあり方を改善するために、最新のデジタル・AI技術を活用した業務フローの見直しは不可欠と認識し、あるべき姿の検討も進めていました。特にJR西日本お客様センターにおいては、大量のお客様のお声の情報を人手で処理する作業が多く存在していることから、問い合わせの処理を自動化・半自動化する言語AIへの取り組みは重要と認識しており、言語AIで社会実装実績を多数持つELYZAにお声がけを頂く契機になりました。
▮ELYZAが実装した言語AIの技術内容
▼海外産AI(OpenAI)・国産AIの”二刀流”による社会実装。
当社ELYZAが独自開発を行ったELYZA Brain等の日本語特化の言語AIに加えて、ChatGPTなどを手がけるOpenAI社によるGPT-3の双方を用いて、対象とする業務や求められる品質やコスト水準に応じた使い分け・組み合わせにより実装を行っています。
背景としては、図へ示したように、ひとえに言語AIといってもそれぞれに得意不得意が存在します。現時点ではOpenAI社の提供するGPT系統の言語AIを用いた場合にも実現が難しいケースが存在します。同様の背景から日本語特化となるELYZA BrainなどのGPT系統と比較するとコンパクトな言語AIによる実装が適しているスコープも存在しています。
今回のDX活動の中では多岐にわたる業務においてAIによる自動化または半自動化を目指す取り組みであったため、総合的にいち早く・高品質に・コスパよくDXを実現できる道を考えた結果、海外産AI・国産AIの二刀流による実装に至りました。
▮言語AIの実力
▼実用性の5段階評価平均値4.7。「言語AIの出力のほとんどがそのまま使える・微修正すれば使える」との評価。
言語AIを導入するプロセスの一環としてAIの性能評価を行っております。その中で言語AIによる出力の実際のコンタクトセンター業務における実用性を測定したところ、平均評価4.7という結果が確認でき、業務利用に耐えうる品質のAIが構築できたことを確認できました。※要約業務スコープにおける評価。
上記評価は”ROUGE”などと呼ばれるAI性能を一般評価する指標とは異なり、実際の運用部門の熟練したスタッフの目線から実用性の程度を判断している指標であるため、直接的な業務における有用性を測る計測指標といえます。
▼スタッフによる100%品質と業務効率性の両立を実現するための半自動化
今回の社会実装においては、「半」自動化の実現を重要視しています。対象となるコールセンターにおいてはスタッフの熟練性による「対応品質のバラつき」にも課題感があったため、言語AIのサポートによる対応品質自体の向上も大きな目的の1つとしています。完全な自動応答のようなチャットボットを開発・組み込みすることも非現実的ではありませんが、企業の信頼を失わない精度での実装にはまだAIの性能課題が残ることも背景にございます。
▮言語AIの実装プロセス
▼言語AIは「作る」から「選ぶ」時代へ。
前述のとおり、この度の社会実装におきましては当社が独自開発したAIであるELYZA BrainとChatGPTなどの超大規模なグローバル言語に対応している言語AIを開発しているOpenAI社の提供するGPT系統の双方を用いて実装を行いました。
当社はクライアント企業さまの状況や要望を総合的に鑑みて、いち早く・高品質に・コスパよくDXを実現できることを第一義に据え、最適なモデル選択・学習プロセス・実装プロセス・改善プロセスを一貫して実現しています。
▮展望
▼導入企業の展望(JR西日本カスタマーリレーションズ)
(代表取締役社長 高須 優子様)
JR西日本お客様センターに、直接いただくお電話やメールは1日あたり約6,000件です。そのほとんどは、ご質問にお答えしたり、ご依頼の手続きをとったりとその場で解決しています。お客様センターでは解決できない”ご意見やご要望“を関係する箇所へ、より正確、迅速に伝達することは従来からの課題です。必要な情報を残しつつ、どうまとめるかが重要なのですが、お客様との対話やいただくメールは年々、複雑になってきていることから、その難しさは増す一方です。担当者は、鉄道オペレーションを担う組織や役割と、どんどん変化するサービス内容を理解したうえで、情報をまとめて文章を作成します。読みやすくわかりやすい文章とするために、多くの時間を必要としています。
わたしたちは言語AIの支援によって、良い文章の作成に注力することから解放されて、文章の中にある“真のお客様の声”に向き合う時間を増やせると期待しています。お客様が解決したいと考えていることを今よりもスピーディーに解決できる状態を目指し、言語AIを活用する領域をふやしてまいりたいと考えています。
▼ELYZAの展望
言語AIの進展はホワイトカラー業務のあり方を根本から変えると考えており、コンタクトセンター業務にも言語AIの波が来ていると考えています。
これまでのコンタクトセンター業務は、お客様へのご対応から内部の確認作業、レポーティングまで一連の業務を人手で対応していました。5年後の2028年には、多くの情報処理は言語AIが担ってくれるようになり、オペレータの業務はお客様との接点および言語AIによる対応のチェックが主となるのではないでしょうか。
2028年における業務のあり方から逆算して構想を描く場合、最先端の言語AI技術の把握・技術選定は最重要です。2022年末より世の中をOpenAI のChatGPTが大きく騒がせ、2023年も引き続き先端的なAIがグローバルで多くリリースされることが想定されます。ELYZAは日進月歩でランドスケープが変化する言語AIの領域において、最先端技術の動向をいち早くキャッチし、自社の言語AIと先端的なグローバルモデルを組み合わせた社会実装を進めていきたいと考えています。
株式会社ELYZA 概要
株式会社ELYZAは、「未踏の領域で、あたりまえを創る」という理念のもと、日本語の大規模言語AIに焦点を当てて企業との共同研究やクラウドサービスの開発を行なっております。「まとめる、書く、読む、話す」といったこれまで難しいとされていた自然言語処理を実用化し、ホワイトカラー業務のDXを推進して参ります。
※ホワイトカラー業務のDXとは、単純作業だけでなく、人間が言葉を使って行う高度な知能・知識・経験を伴う業務をデジタル化し変革する取り組みです。
<会社概要>
社名 :株式会社ELYZA
所在地 :〒113-0033 東京都文京区本郷3-15-9 SWTビル 6F
代表者 :代表取締役 曽根岡侑也
設立 :2018年9月
URL :https://elyza.ai/