Metaは2022年10月26日にビジネス向けのハイエンドなMRヘッドセット「Meta Quest Pro」を発売した。Meta Quest ProはMeta Quest 2に搭載するものよりも4倍の画素数を持つ高解像度外方向カメラを前面に備え、より忠実に周囲の環境をVRで再現が可能。
さらに、複数のセンサーによる映像を組み合わせて3Dで自然な映像を作成する、立体的な複合現実パススルー機能を備える。同社は単眼のパススルー技術よりも、より奥行の知覚がし易く、視覚の歪みが少なくなり、より高品質で快適な体験を実現するとしている。
Metaは3月5日にMeta Quest 2の256GBを7万4400円から6万4405円に、3月15日に22万6800円だったMeta Quest Proを15万9500円に大幅値下げを実施。さらに、今までMetaストアにて最大2台までしか購入できなかったMeta Quest Proが3月15日からは各パートナーのECサイトからも予約受付が開始されるという。
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そうしたなか、Metaの東京オフィスにて、Meta Quest Proを体験する機会を得たので、Meta Quest Proがどういった魅力を持った製品なのかをご紹介したい。
まるでリアルで会っているかのような感覚で会議などが行なえる
最初にMetaが自社で開発した「Meta Horizon Workrooms」を体験。Meta Horizon Workroomsは、メタバース内でユーザーが集まってディスカッションやZoomミーティングなど、さまざまなことが行なえるVRワークスペース。
Meta Quest Proは、ヘッドセット部分の内側にもセンサーを内蔵し、競合のVIVE XR Eliteでは今後のオプションとしている、表情のトラッキングも行なえる点が大きな特徴となっている。
Meta Horizon Workroomsでは、VRスペースにて3Dアバターを使って会議を行なう際、相手の表情を実際に見ることができ、リアルにあった時に近い感覚が得られる。また、3Dの立体オーディオにも対応するため、発言者が正面にいれば正面から声が聞こえ、隣にいれば隣から声が聞こえる。
そのため、誰かが発言すれば、その発言者の方向に気づき向くという、実際にリアルで行なうような会議が実施できる。もちろん、アバターの距離によっても聞こえる声の大きさも変わる。
そのため、隣の席の人と、ひそひそ話などもメタバース空間内で行なえるという。さらに、Meta Quest Proのコントローラーのストラップ部分を外し、付属のペン先パーツを取り付けて、実際に机にペン先を走らせてバーチャル上で文字を書き、それをホワイトボードに表示して共有することも可能。
また、周囲の映像を取り込み、実際のパソコンのキーボードを使って、Meta Quest Proを被りながら自分ひとりで仕事をすることもできる。さらに、PCと接続すればバーチャルなウィンドウを3つ表示させ、マルチウィンドウで作業が行なえるという。
さらに、建築アプリの「Ariko」も体験。メタバース内で町のジオラマを複数人で見ながら形作り、さらにその作り上げたジオラマの中にリアルサイズで入り込んで、その作り上げた町がどういった方に見えるのかも体験できる。こうした、神様視点から実際にミニチュアサイズになり、模型の中を移動して確認できる点は、バーチャルならではの強みだ。
MRによる幅広い可能性を感じる
Meta Quest Proでは、パススルー機能によりカラーで実際の映像を表示して、Meta Quest Proを被りながら、実際のパソコンを操作してバーチャルと融合したビジネスが行なえるデバイスだ。価格はコンシューマー用途のMeta Quest 2よりも高価だが、その分アイディア次第では、その用途の幅は広い。
ただし、従来の白黒の低画質よりは高解像度になり、より立体的に見えるようになったとはいえ、未だ実際の映像はキーボードの大きなアルファベットの印字を視認できるくらいで、光量の足りないで撮影した動画のような粗さを感じ、細かい文字を見たりは厳しい。
しかしながら、たとえばお化け屋敷のようなアミューズメント施設で、実在する扉を開いたらゾンビが飛び出してくるといった、リアルとバーチャルの融合による、エンタメやビジネスの可能性は高い。
社員全員に用意する、といった使い方は現実的ではないが、地方の支部に1台置いておき、実際にリアルな場所に集まることなく、責任者だけがMeta Horizon Workroomsを通して、よりリアルに近いミーティングを行なうといった利便性は、未来のビジネススタイルとしてアリだとも感じた。
メタバースのサービスも増えるなか、同社の今後の動向にも注目していきたい。