AITuberは絶対トレンドになる!スタートアップ取材班が予測
JAPAN INNOVATION DAY 2023オープニング「ASCII STARTUPが見据える3年先のイノベーションシーン」
2023年3月3日に開催されたASCII STARTUP主催のイベント「JAPAN INNOVATION DAY 2023」。オープニングトークでは、ASCII STARTUPの北島幹雄とガチ鈴木が、取材や取り組みを通じて見えた「3年先のイノベーションシーン」について語った。AI、Web2.5、モビリティ、地域DXなど多岐わたって話題を展開しつつ、今後スタートアップシーンにおいて日本が置かれる立場を明らかにした。
AITuberは確実なトレンド
「3年先のイノベーションシーン」というテーマだが、最初の話題になったのは3年前のことだ。
ASCII STARTUPはIoTやハードウェア、AI、ブロックチェーンなどの分野のスタートアップの取材に取り組んでいるが、3年前にバーチャルYouTuber(VTuber)の分野が勃興したことが話題に上がった。その背後にはスタートアップの流れや投資の流れがあったと指摘する。
当時VTuber市場は小さかったものの、2019年ごろから市場が盛り上がりを感じていたという。実際にその後VTuber市場は急速に拡大し、スタートアップの中からは上場企業もあらわれた。
そんな中、新しい展開として注目しているのは「AITuber(AI YouTuber)」だという。
VTuberには「中の人」が存在することがネックになる一方、AITuberは縛りがなく24時間でも配信できるという点で、スタートアップにとって魅力的な分野だと指摘。「ChatGPT」を始めとした会話型AIがメディアで話題になる中、AITuberは3年後のイノベーションシーンで実現する可能性は高いという。
さらに、VTuberはコンテンツやIPとして注目されている点がある中、AITuberはBtoBや教育事業といった異分野でも進展することがあるのではないかも指摘した。
スタートアップはWeb 2.5志向で
AITuberなどがトレンドとして盛り上がる一方、注目すべきキーワードは「Web2.5」だという。Web2.5とはWeb2とWeb3を実装とコンセプトで分けることを意味する。
Web2.5概略図 「日本発デカコーン創出へのチャレンジ。新産業人材流入のカギは政府の5か年計画」より
Web3の代表的な技術であるブロックチェーン自体は、2000年代の後半から登場し、当時は主にビットコイン・暗号資産の文脈で話題になった。ブロックチェーンそのものを技術としてビジネスに応用できるという文脈もあったが、最近ではWeb3スタートアップが減少しているという話もある。それでも、Web3の技術を使って既存の産業を変革しようという動きがあることは事実だ。
Web3の考え方を利用して、実際の実装はWeb2で行なって、分散処理やユーザー側の権利など、技術的に良いところを取り入れてビジネスにすることが重要だという考え方があるという。Web3を直接使うのではなく、Web3が持つコンセプトの良い点を取り入れて技術的に実装できるところをビジネスにしていくことが重要だという考えだ。
またWeb3には投機的な文脈があるため、技術的な焦点から外れがちだが、Web2.5のように中間的な位置づけで、ビジネス的に強みを出せるという考え方もある。
スタートアップはイノベーションという形で新しいものを生み出すことが重要だと思われがちだが、ビジネスの現実性を考えると、既存の文脈に合わせて最新のテクノロジーを取り入れたWeb2.5のようなアプローチが必要だ。次の3年で主流になる技術にスムーズに対応できるメリットもあるため、スタートアップにはWeb2.5的なアプローチを取り入れることを勧めるとした。
自治体DXはもっと早く進めるべき
次に話題となったのは、モビリティや自治体のDXだ。
モビリティで紹介されたのは「海のタクシー」を標榜する株式会社エイトノット。小型船舶を自動走行させ、タクシーのように移動できることを理想とする。すでに実証実験で通常のタクシーのように導入まで行っているところもあるという。
エイトノット 「ロボティクスとAIで水上モビリティの自律化を目指すエイトノット」より
今後モビリティの展開が期待されるのは、いわゆるラストワンマイルでの移動や、ものを運ぶ場面だ。
近い将来に実証実験も含めて導入されるだろうとし、すでに兆しが見えていると話す。自動走行ロボットに関しては規制の面でも変化が見え、ドローンカーにも使える技術などが増えているため期待が持てるとした。
また自治体DXについては、スタートアップのテクノロジーやサービスの導入がさらに進むという展望を語った。
単に導入するだけでなく、たとえば自治体が提供したデータを活用しながらベンダーと連携し、新たな領域で産業を生み出したり、効率化を図るなど、市民にとってプラスになることができるようになることを期待したいとした。
ただ、自治体単位では実証実験が盛んに行われているものの、早く導入フェーズに進んでほしいという本音も出された。
先進医療や核融合技術などに日本の活路がありそうだ
最後の話題はインキュベーション(創業や事業の立ち上げ・拡大の支援)とグローバル展開だ。
インキュベーションは、韓国やシリコンバレーなどを例として、スタートアップのイベントでも話題になっている。内閣府が2022年にスタートアップ・エコシステム拠点都市として設置した5つの拠点都市では、スタートアップが次のフェーズに移行する際、海外市場も視野に入れたビジネスのインキュベーションを重視しているという。
しかし、日本では国内市場の規模が大きく、国内で市場シェアを取ればある程度の成長軌道に乗れてしまうため、国内ではインキュベーションが成功しないとされてきた。そのため、海外市場を目指すためのインキュベーションや、スタートアップによるユニコーンの創出、初めから海外市場を目指した起業家の育成が必要ではないかという指摘があった。
また、現在はスタートアップ支援にあたるアクセラレータープログラムが盛んだが、重要なのはむしろシードから事業を立ち上げて海外市場を選定することではないかという提言もあった。
一方、治療用アプリなどのソフトウェアによる医療機器(SaMD)領域においては、日本発の製品として海外に輸出できる可能性があるのではないかという。さらに、核融合技術やゲノム編集といったディープテック領域などは言語による参入障壁が低いビジネスということもあり、日本のスタートアップ海外展開が期待できるのではないかという予想も出されていた。
※この記事はYouTube Liveの配信内容を「ChatGPT」が要約・整形した文章を編集したものです。オリジナルの講演内容とはニュアンスなどが異なる場合があります。