小池都知事は、「デジタルの力を活用しながら、東京大改革を進める」と語る。
また、ヤフー社長やZコーポレーション社長を務め、2019年に東京都副知事に就任した宮坂学氏も、「東京都は都民の生活の質を向上する社会の実現に向けて、デジタルテクノロジーを最大限に利用しようと考えている」とする。
東京都では、2019年度に戦略政策情報推進本部を設置し、それを進化させる形で、2021年度にはデジタルサービス局を設置。都政のデジタル化を強力に推進してきた。
2023年度からは、東京都庁のデジタル化に加えて、都内62区市町村すべてのデジタル化を全面的に支援するための新団体として、新たに「GovTech東京」をスタート。これまでの延長線上ではない新たな仕掛けで政策イノベーションを起こすことになる。
小池都知事は、「2023年度に立ち上げる『GovTech東京』は、行政と民間が協働し、革新的サービスを生み出すプラットフォームとなる。これにより、区市町村と一緒になって、東京全体のDXを『爆速』で進めることになる」と語る。
GovTech東京では、各局支援や区市町村支援を軸として事業を開始し、ひとつひとつのサービスを確実に提供できる体制を整え、「スモールサクセス」を生み出すことを重視するという。成功事例を積み重ね、各局や区市町村などの信頼を得ながら事業を進めるとともに、サービス開発力を高め、順次、事業の規模や内容を拡大し、発展させていく計画だ。
東京都のデジタルサービス局とGovTech東京が協働体制を構築。それにより、デジタルサービスの内製化支援などを行う「都庁各局のDX」、行政手続きなどのデジタル化やシステム最適化を推進する「区市町村DX」、SaaS活用によるシステムの共通化などを進める「デジタル基盤強化・共通化」、都庁内に設置した東京デジタルアカデミーによる教育プログラムの提供などを通じて推進する「デジタル人材確保」、都や区市町村のデータ整備や東京データプラットフォーム(TDPF)連携基盤の運用による「データ利活用推進」、官民共創ラボの立ち上げやスタートアップ企業との協働、コミュニティづくりを進める「官民共創・新サービス」の6つの機能を持つという。
ちなみに、東京デジタルアカデミーは、2022年5月に開講。スキルに合わせた育成コースの展開や、民間および海外などでの学びの場を、ICT職に提供するとともに、都および区市町村職員がともに学ぶ機会へと拡充。都や区市町村のDXを支える人材づくりを東京全体で進めていくことになる。デジタルリテラシーの維持向上のために年間4万人の職員が受講。リスキリングによる人材育成は5年間で5000人を想定。約1000人がローコードツールを活用したアプリ開発に取り組んでいるという。「ローコードツールを活用し、自分の職場を、自分で変えていくという意識が生まれている。これを加速するために、トレーニングによる支援を強化し、東京都全体のカルチャーを変えていきたい」(宮坂副知事)とする。
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