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アクセルスペースら、小型地球観測衛星用の低消費電力Ka帯無線機の開発に成功

 株式会社アクセルスペースと国立大学法人東京工業大学科学技術創成研究院 未来産業技術研究所の白根篤史准教授と同工学院電気電子系の岡田健一教授、戸村崇助教は2023年2月20日、これまでの無線機の半分以下の消費電力で稼働する小型地球観測衛星用のKa帯無線機の開発に成功した。近年需要が高まる、スマート農業における農地管理や環境モニタリング、防災や災害対応など、小型人工衛星による地球観測データ活用などに、宇宙から地球へ高速でリアルタイム性の高いデータ通信の利用が可能となる。

 従来、小型地球観測衛星で使用していた無線機では、撮影したい方向と撮ったデータを地球に送るため、アンテナを向けるべき方向(姿勢制御)が一致せず、撮影とデータ通信の両立面での制約があった。大型地球環境衛星では、複数種類のアンテナを搭載して地上局との距離に応じたアンテナを使い分けや、姿勢制御の競合を避けるために指向性を制御できる機械式ジンバルなどを使うことが可能だった。一方で小型衛星は、アンテナを格納できるスペースの課題や、無線機に許容される消費電力の制約の面で採用が難しかった。

 最近の地球観測ミッションでは、大量のリモートセンシングデータを地球局へ短時間で送るために、より高速な通信が要求される傾向がある。搭載できるアンテナのサイズと使用可能な電力量に制約がある小型衛星の2つの課題を解決するために、アクセルスペースと東京工業大学は、広帯域Ka帯送信機とアクティブフェーズドアレイアンテナを組み合わせたダウンリンクシステムを開発中だ。

 今回の研究で開発したKa帯フェーズドアレイ無線機は、2つのポートを持つアンテナ、増幅器、位相器、アクティブハイブリッドカプラで構成。低消費電力での電気的な指向性制御を可能としている。新たな考案となるアクティブハイブリッドカプラ回路技術は、フェーズドアレイ無線機の消費電力を大幅に削減でき、従来よりも高速でリアルタイム性の高いデータ通信が可能になるという。

 また、安価で量産が可能としている。アクセルスペースは開発に成功した低消費電力のフェーズドアレイ無線機を自社の小型地球観測衛星に搭載し、数年以内に軌道上実証を行う計画だ。地上の撮影とデータのダウンロード時のタイムラグを短縮し、衛星データ活用を加速させる研究開発を進めていくという。

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