富士通は2月20日、通信事業者向けに、同社の無線基地局ソフトウェア(vCU、vDU)と、NVIDIAのGPU技術を組み合わせた、5G仮想化基地局ソリューションを発表した。3月よりグローバルに提供を開始する。
本ソリューションは、2022年3月から提供を開始した仮想化基地局に、NVIDIA製のGPU処理エンジン「A100X」と、基地局処理を実行するアクセラレーション「NVIDIA Aerial SDK」や包括的なAIフレームワークを組み合わせたことにより、通信事業者からエンタープライズまで幅広いユースケースに展開が可能。
A100Xのハードウェアリソースを仮想化することで、演算リソースを分散させて処理させることが可能になる。これにより、無線基地局の通信処理と、AIなどを用いたコンピューティング処理を同一GPU上で並行して行なえるため、従来より簡便なオールインワンの機器構成で多様なアプリケーションを5Gネットワークと連携させて運用できる。製造現場におけるAGV(無人搬送車)の制御や、ARやVR技術を活用した映像配信など、5Gの超高速、大容量、低遅延通信の特長を活かした新たなサービス提供にも貢献するという。
A100Xの演算性能を活用し、基地局の処理能力を向上させ多くのユーザーに高品質な通信環境を提供できる。また、Massive MIMOをはじめとする将来的なアンテナ技術の向上に伴う高負荷なデータ処理にも、ソフトウェアのアップグレードのみで容易に対応できるという。
本ソリューションの開発は、NTTドコモが推進する「5GオープンRANエコシステム」(OREC)の枠組みのもとで協創し、NTTドコモは本ソリューションの性能検証、評価に協力した。
同社は、本ソリューションの提供を通じて、NTTドコモなどの通信事業者と協力し、オープンな5Gネットワークのグローバル展開を目指す。本ソリューションは2月27日~3月2日にスペインのバルセロナで開催される世界最大のモバイル関連展示会「MWC Barcelona 2023」に出展する。