冬のヘッドフォン祭mini 2023とAIに関する記事をASCII.jpに書いたが、先日「ちょっとした事件」に遭遇した。意外なところで二つのトピックスが交わった。それはAI技術を取り入れたマイクロソフトの「Bing」に関することだ。現在はまだ限定公開で使用許可制になっているが、私も使えるようになったので早速試してみた。
新しいBingがレポートした、正体不明の新イヤホン
新しいBingにおける一番のポイントは、検索エンジンと連携した最新のデータが得られることだ。話題の「ChatGPT」は2021年までのデータしか学習していないため、最新の情報取得には向いていない。
その実力はいかに。開催されたばかりの「冬のヘッドフォン祭mini 2023でのハイライトを簡単にまとめて教えてほしい」と聞いてみた。
すると、添付図の右側の欄のように、確かにイベントのハイライトを簡潔にまとめてくれた。初めにキーワードを抽出してから検索し、その結果をAIの自然言語処理技術でまとめているのだろう。確かにこれならば常に最新の話題に追従できるし、箇条書きでわかりやすい。
さらに「情報リンク」をクリックすると、Bingが参照した記事を表示できる。この記事には添付図の左側の欄のように、私が書いたレポート記事も含まれている。この時点では、前日に公開されたばかりの記事だ。私の記事が参照されたということは注目度も高いということなのでありがたいことだが、問題はその内容だ。
そこには見慣れぬ“E5000BT”なる、安価な重低音イヤホンについて書かれているのが目に止まった(添付図の右側の赤囲み)。E5000BTとはなんだろうか? そんなイヤホンは知らないし、記事に書いてもいない。
念のために自分でも、GoogleやTwitterの検索をしてみたが、そもそもE5000BTというイヤホンは存在しない。「E5000 BT」と半角を空けてみても見つからない。もちろんほかの人が書いたレポートにもない。これはなんだろうか? それを知るには少しAIとは何かを知らねばならない。

この連載の記事
- 第193回 PlayStationブランド初の完全ワイヤレスイヤホンを勝手に予想する
- 第192回 Astell & Kernの新モデル、A&norma 「SR35」を聴く
- 第191回 KORG Live Extreme技術を活用したバイノーラル録音の配信を体験
- 第190回 ついに独自開発DAC搭載に踏み切る、Astell&Kern「A&futura SE300」
- 第189回 ロスレス伝送が可能なスイス企業のWi-Fiヘッドホン「Unity」
- 第188回 春のヘッドフォン祭 2023開催、会場の注目製品を紹介
- 第187回 AirPodsのケースに画面がついたら、何をしたい? アップルが新特許
- 第186回 ついに登場、MEMSドライバー採用の高級イヤホン、Singularity Audioの「ONI」
- 第185回 音もれを打ち消す、ながら聴きイヤホンの新提案、NTTソノリティ「nwm MBE001」
- 第184回 ラズパイオーディオで有名なVolumioが取り組む、ネットワークオーディオの国内正式発表
- 第183回 KORG Live Extremeを活用した世界初の“DSDライブ映像配信”を体験
- この連載の一覧へ