置き方は自由
コンピュテーショナルオーディオが「いい音」を自動調整
HomePodは内蔵するS7チップとソフトウェア、システムセンサー、低周波イコライザーマイクを連携させて、ユーザーが再生する楽曲の聞こえ方を常時リアルタイムに最適化します。またHomePodは内蔵マイクにより反射音を集めて、置いた部屋のアコースティック環境(壁との距離、家具の配置など)を自動測定します。
HomePodが内蔵するS7チップ、各種センサーやソフトウェアによる「コンピュテーショナルオーディオ」はとてもスゴいことを瞬時にこなしていますが、設定のオン・オフを切り換える操作や、稼働時に動作音が鳴ることもないので、ユーザーにはそのありがたみがわかりにくいかもしれません。ユーザーが意識することなく「いつでもベストなリスニング体験」が得られるように設計されている機能だからです。
コンピュテーショナルオーディオを持たないシンプルなスピーカーと比べてみると、HomePodの賢さは明らかです。それぞれのスピーカーを部屋のコーナー、テーブルの上など置き場所を変えながら音を鳴らしてみると、HomePodは音の聞こえ方が一定であることがよくわかると思います。
空間オーディオ・ステレオペア再生を聴く
筆者宅のリビングルームで、新しいHomePodの実機を鳴らしてみました。楽曲はApple Musicからセレクトしています。第2世代のHomePodは中高域の音抜けがよく、透明感が高まった印象を受けます。低音の分離もよく、パンチの効いたパワフルなビートを鳴らし切ります。音場の広がりがとても豊かです。歌ものの楽曲はボーカルのディティールがクッキリと浮かび上がります。
Apple TV 4Kの設定から「デフォルトオーディオ出力」としてHomePodを設定すると、Apple Music、Apple TVのサウンドも一段とリッチな環境で楽しめます。「ドルビーアトモスによる空間オーディオ」の立体音響体験にも対応。HomePodは単体、または2台をペアリングした環境のどちらでも空間オーディオ再生ができます。
1台のHomePodで、Apple TV+のオリジナルコンテンツ「太古の地球から〜よみがえる恐竜たち〜」を再生すると、映像に描かれる世界をよりリアルに感じさせる雄大なサウンドがわが家のリビングルームを満たしました。新しいHomePodは高さ方向に広がる音の立体感と見晴らしの良さ、繊細な効果音も引き立たせるシャープな解像感を特徴としています。
「太古の地球から」では、まさに“大地を揺るがす”ような重低音を味わうこともできますが、特に集合住宅の場合、夜間のコンテンツ鑑賞時には低音が出すぎる感じがするかもしれません。その場合は「ホーム」アプリからHomePodの設定に移動して「低音を減らす」のチェックをオンにすると良いでしょう。
HomePodを2台揃えると、ステレオペア再生が楽しめます。なお、新旧世代のHomePod、1台ずつをミックスしてステレオペアにすることは不可です。2台の新HomePodを用意できたので、Apple Musicのコンテンツをステレオ再生で聴いてみました。やはり中高音域の透明度がとても高く、ボーカルや楽器の音像が力強く浮かび、ステージが奥行き方向へ限界を感じさせることなく広がる臨場感に息を吞みました。
2台揃えると約9万円の出費になりますが、それでもアンプやプレーヤーなどピュアオーディオのコンポーネントを揃える予算と、その場合必要になる設置スペースを考えれば、2台のHomePodだけでこれだけ本格的なサウンドにのめり込めるのであれば「お買い得」と言えそうです。