このページの本文へ

電気自動車で家電を動かす! 日産が考えるサスティナブルな暮らしをメタバース上で体験

2023年01月29日 12時00分更新

文● スピーディー末岡 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 先日、日産が発表したメタバース内のゲーム型コンテンツ「NISSAN EV&Clean Energy World」(日産自動車、EVを活用してサステナブルな暮らしを楽しむゲーム型コンテンツ「NISSAN EV & Clean Energy World」を公開)。日産の電気自動車「ARIYA」を使って、家庭内の電気をまかなったり、太陽光や風力を利用してARIYAを充電したりと、実際のARIYAでもできるが体験することがなかなか難しいことを、メタバース(VRChat)内で楽しめるものだ。自動車担当として、NISSAN EV&Clean Energy Worldの内覧に参加してきたのでレポートしよう。

日産自動車の「NISSAN EV&Clean Energy World」

 まず大前提として、VRChat内はヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着することが前提だが、ナシでも問題はない。筆者もHMDはナシで参加した。もちろん、あったほうがユーザー体験は向上するかとは思うが、予算の都合や家庭の都合など、人にはそれぞれ事情があるのだ。

V2Hの仕組みや概念を
ゲームをしながら学んでいく

 NISSAN EV&Clean Energy Worldのテーマでもある、電気自動車に搭載されている大容量のバッテリーで家庭内電源を動かす、いわゆるV2H(Vehicle to Home)は、ここ数年の自動車業界では当たり前になっている。今回の日産以外にも、電気自動車やプラグインハイブリッド車をリリースしているメーカーが積極的に取り組んでおり、バッテリー容量にもよるがフル充電なら2~3日くらいは一般家庭の電力をまかなえるのだ。災害が多い日本で、いざというときの非常電源として使える安心感と、キャンプなど屋外でのアクティビティーでも使える便利さが魅力だ。

メタバース内の日産「ARIYA」

実車の日産「ARIYA」

 そんなV2Hを、仮想空間でクイズやゲームを通じて体験してみようというのがNISSAN EV&Clean Energy Worldだ。まず、ワールドにログインすると、目の前にログハウスと、日産のARIYAが置かれている。仮想空間上だが、実際の車体データを使っているのでARIYAの完成度は非常に高い。内部もパネルの質感などが再現されており、実車に何度か乗ったことのある筆者としては驚きだった。

メタバース内のARIYAの車内

実車のARIYAの車内

 なぜARIYAがここに止まっているのかというと、となりのログハウスへの給電を行なうためだ。ARIYAの付近にあるパネルでV2Hとはなんぞや? を学ぶこともできる。そしてV2H Poweredと書かれたボックスをタップ(クリック)すると、充電ケーブルが伸びるので、ホールドしたままARIYAの給電口近くで離す。これでARIYAからログハウスに給電され、室内の家電を動かせるようになった。

充電ケーブルをARIYAに装着

ARIYAの電池残量などを確認できる

 家の中に入ると、なにやら煙っている。どうもゴミが散らかっており、トイレから悪臭が漂っているらしい。これはどげんかせんといかん! ということで、換気扇を回し、ロボット掃除機を動かして家の中を綺麗にしていく。ついでにIHキッチンで料理も作れるのだ。ひとつひとつの家電を動かすたびに電力が消費され、徐々にARIYAのバッテリーが減っていくのも目視できる。

汚れている室内。なんかニオイもきつそうだ。なお、ドクロのパーカーのアバターが筆者

トイレの換気扇を動かせばニオイは消える

ロボット掃除機を動かして床のゴミを綺麗にする。もちろん電力を消費する

キッチンはIHなので、使えば電力を消費する。ARIYAのバッテリー残量と相談して上手にやりくりしよう

 次はARIYAのバッテリーを充電するために、風力発電のエリアに移動。移動はARIYAに乗っていく。ここでは目の前にある巨大な風車に向かって、これまた巨大なウチワを使って風を起こし、風車を回すのが目的だ。風車のスピードが上がると充電が始まる。ある程度充電ができたら、またエリアを移動する。

巨大ウチワで風を起こしている図

 キャンプエリアに到着すると、EVから直接家電に電気を送るするV2L(Vehicle to Load)を学ぶ。ここではARIYAからコーヒーメーカーに繋いで、コーヒーを沸かした。最近、アウトドアでEVが注目されているのは、こういった利便性もあるからだ。

ARIYAから直接給電してコーヒーメーカーを動かしている

 次のエリアは地熱発電。ツルハシで岩をたたくと溶岩が出てきて、その熱を電気に変換して充電されていく。このように様々な発電方法が見られるのも仮想空間ならではだ。

なんとなく荒涼とした世界だが、地熱発電を体験できる

この岩をツルハシで叩いてマグマを出す

 最後は太陽光発電エリア。ここではいろんな方向を向いた太陽光パネルを、太陽の向きに合わせてセットすると充電される。

太陽光発電についての○×クイズで豆知識を得られる

太陽の方向にパネルを向ければクリア!

 このようにV2Hにかかわる一通りのことを体験できるNISSAN EV&Clean Energy World。筆者は以前、別のメーカーのV2Hを取材したことがあるのだが、とある地方の山の中まで行かなくてはいけなかった。もちろん、実際にクルマや家電を触って体験できるメリットは大きいのだが、家にいながらにして仮想空間でV2Hを体験し学ぶことができるのはメタバースならではだろう。

今回のツアーで解説をしてくれた日産自動車 商品企画本部商品ラインナップ戦略部 加部 俊氏(のアバター)

 今後、ほかの自動車メーカーももっと参入してくるだろうし、諸事情により現地に行けない人も参加できるメタバースでの発表会も増えてくるに違いない。リアルだと数人しか呼べないが、メタバースなら何十人も同時に集まれるって体験をみんなで共有できるというのは、今後の発表会や体験会のあり方を変えるだろう。

NISSAN EV & Clean Energy World
公開先:VRChat上 ワールド検索から「NISSAN EV & Clean Energy World」を選択
公開日時:1月20日14時~
対応:Meta Quest 2対応
費用:無料

■関連サイト

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

ASCII.jpメール アキバマガジン

クルマ情報byASCII

ピックアップ