毎年12月恒例、PFUの高級キーボードHHKBのユーザーミートアップイベント「HHKB User Meetup Vol.6」が開催された。コロナ禍のため今回もオンライン配信となった。500人限定の「Zoom配信」に加え、エバンジェリストなどの招待客が集まる原価BAR三田本店でのパブリックビューイングも開催された。
コロナ禍でも販売台数が伸びているHHKB
まずは、原価BARから、PFU コミュニケーション戦略室 室長 松本秀樹氏からの挨拶。HHKBをここまで引っ張ってきた立役者であり、HHKBコミュニティでは顔となっている人物だ。
「ご承知の通りPFUは、今年激動の1年でした。親会社が富士通からリコーに変わり、皆さんもHHKBがどうなるのか、と思われる方もいるかもしれませんけど、大丈夫です。皆さんがいる限り、HHKBはなくなりません。引き続き、応援よろしくお願いします。皆さんもビールでも飲んで、今日も楽しんでいただきたいと思います」と松本氏はHHKBオリジナルのビールHHKBEERを片手に開会の挨拶を行なった。
続いて、ドキュメントイメージング事業本部 販売推進統括部 統括部長の山口篤氏がHHKBのオーバービューを紹介してくれた。まずは累計出荷台数が64万台を突破。コロナ禍で4万台も売れており、伸び幅も高く、絶好調だ。市場の割合は、日本国内が83%で、海外が17%。
仕事もプライベートもオンラインという人が増えている中、HHKBの認知度も高まっているので、販売台数が増えたのだろう。ここで、HHKBファンは一人2~3台持っている人が多く、実際のユーザーは半分くらいと思われるので、まだまだこれから、とジョークを飛ばした。実際、その一面はあるので、まだまだユーザー数の伸びしろしかない、という状態だろう。
販売の内訳では、相変わらず最上位モデルの「HYBRID Type-S」が8割以上とダントツに売れている。面白いことに、アメリカでは「HYBRID Type-S」は49%で、スタンダードモデルの「HYBRID」が18%、有線モデルの「Classic」が18%となっている。アメリカと比べると、日本は静音性を重視する傾向にあるようだ。
カラーではダントツに「墨」が多く、過半数を占める。続いて、「白」が3~4割、「雪」が1割弱といったところだ。配列は英語配列と日本語配列が4割強で、若干日本語配列の方が多い。そして、HHKBと言えば「無刻印」。キートップに何も書いていないモデルが14%もいるという。昨年は9%なので、大幅な伸びだ。
ユーザーの年齢層にも変化があった。2021年、30代までのユーザーは22.8%だったのだが、なんと今年は31.1%。1年で8%以上も増えたのだ。山口氏は「雪」モデルを出したおかげで、若い世代のユーザーが増えたと分析していた。10代、20代にとっては3万円前後するHHKBは高い買い物だと思うが、その価値を見出している人が増えているというのはすごいことだ。
男女比は、10月時点で女性が4.7%。「雪」モデルを出した昨年は5.3%まで伸びたので、今後に期待。
2022年は5月に日本語配列の無刻印キートップセットを発売した。これまでは、無刻印というと英語配列しかなく、日本語配列ユーザーは横目で見ているしかなかったのだ。それが「雪」モデル発売時に、日本語配列の無刻印を出したことで、大きな反響があり、「白」と「墨」の日本語配列でも販売する流れになったという。
9月にはリファービッシュ品の販売も開始。これはさまざまな理由で返品となった製品を点検・清掃したものを割引価格で販売するというもの。もちろん、購入からの1年間保証もついてくる。「さまざまな理由」というのは、英語/日本語の配列を間違えた、刻印/無刻印を間違えた、カラーを間違えた、などだという。購入時にはよく確認しよう。
そして10月25日、「HHKB Professional HYBRID Type-S 雪」が販売された。純白カラーで、キートップにカナがなく、中央印字デザインになっているのが特徴だ。もちろん、英語配列にも日本語配列にも無刻印モデルが用意されている。しかも、「雪」モデルの無刻印モデルは、左上のHHKBロゴもなくなっているこだわりぶりだ。
これまでと雰囲気が異なるためか、女性誌や音楽誌など、IT業界ではない媒体への露出が増えたそう。これまでリーチしなかった層にアピールできたことが、販売増につながったのかもしれない。