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YAMAP、登山の消費カロリー計算式を刷新、疲労を把握し事故リスク軽減を図る

標高差や距離など、登山活動中の変数を考慮した消費カロリー計算式

 株式会社ヤマップは2022年12月5日、登山地図GPSアプリ「YAMAP(ヤマップ)」において、従来提供していた消費カロリー計算式を、標高差や距離など登山活動中の変数を考慮した消費カロリー計算式にリニューアルした。登山における「自分に必要な体力」や「補給すべきエネルギー量」への理解を促し、疲労に起因する遭難リスクの軽減に寄与することを目指す。新たな消費カロリー計算式はアプリの最新バージョンから順次適用。利用料は無料。

「YAMAP」は電波が届かない山の中でも、スマートフォンのGPSで現在地と登山ルートを知ることが可能な登山を安全に楽しむためのアプリ。日本最大級の登山、アウトドアプラットフォームで、山行の軌跡や写真の記録、山の情報収集、全国の登山好きと交流できる機能を搭載する。

「YAMAP」では、これまで「どれくらいのエネルギー消費量(kcal)に相当したか」を把握する指標として「活動時間」や「体重」、運動と身体活動の強度を示す「METs(メッツ)」にもとづく計算式を導入し、活動ごとのカロリーを算出してきた。しかし、登山者一人ひとりの個人差を考慮し、消費カロリーをより精確に算出するために山ごとに異なる「標高差」や活動ごとに異なる「距離」などの変数も考慮する必要があった。

 新たな消費カロリー計算式は、ヤマップが鹿屋体育大学と始めた「安全登山・ウェルネスプロジェクト」の一環。登山の運動生理学の第一人者である同大学の山本正嘉教授が考案、推奨する「登山における消費エネルギーを推定する方程式」を踏襲して、「上り/下りの累積標高差」、「距離」、「装備重量」を考慮した計算式を導入した。登山者は活動中や活動後の表示カロリーをより緻密に把握できるようになる。

 警察庁による「令和3年における山岳遭難の概況」では、山岳遭難事故の最多要因(約4割)である「道迷い」以外にも、滑落、転倒、病気、疲労など「疲労の蓄積による体力や判断力の低下」に起因した事故が数多く発生しており、ヤマップは「体力の適切な把握」や「体力に見合った山選び」が十分でない可能性があるという。登山に必要な体力やトレーニング、適切なペース配分と自分の体力を把握したうえで訪れる山を選ぶことは、登山者の安心、安全を守ることに繋がるとしている。

「疲労の蓄積による体力や判断力の低下」に起因した事故が数多く発生 (出典:警察庁「令和3年における山岳遭難の概況」)

「YAMAP」と「安全登山・ウェルネスプロジェクト」は今後、各登山者の体力レベルを分析、数値化し、一人ひとりに必要な体力づくりの支援を図るという。身体に高い負荷がかかったときのアラートなど新たな機能開発も予定している。

「安全登山2.0構想」(安全登山・ウェルネスプロジェクト)

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